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VMDインストラクター 横山 まどかさんを取材しました2013年5月

文具はライフスタイル商品になる 〜MIDORI ビジュアルブランディング〜

VMDインストラクター 横山 まどかさん

横山 まどかさん

株式会社デザインフィル

クリエイティブセンター チーフデザイナー

VMDインストラクター

文具業界のしくみ

ひみつ付せん まず、この写真を見ていただきたい。これは付せん紙である。商品名は「ひみつ付せん」といい、中を開くとメモやメッセージが書かれているというもの。見られたくない内容を二つ折りにすることで隠すことができる。

 ちなみにこれも付せん紙だ。「付せん紙 3D」という、立体になる付せん紙だ。机の上にこういうものが貼ってあったら一番に目につくだろう。忙しいときの私は、机のメモを気にも留めない場合が多いが、これなら気になって手に取りそうだ。そしてメモを貼った人のキャラクターとセンスに敬意を表すだろう。

付せん紙3D これらは、文具メーカーの株式会社デザインフィルが製造販売している、「ミドリ」という文具ブランドの製品だ。「ミドリ」というと、女性なら誰でも知っているブランドで、幼いころは便せんやシールで遊んだ記憶があるだろう。今は、デザインステーショナリーのリーディングカンパニーとして、紙素材製品以外にも、のりやカッター、ホチキスやクリップなどいろいろなアイテムを取り揃えている。

 同社広報に訊くと、文具業界にはパーソナル文具市場と事務用品市場があるとのこと。「ミドリ」はパーソナル市場の雄で、アイデア文具が時折話題になっているテレビのバラエティ番組にもよく登場しているそうである。そういえば、同社の「ミニクリーナー」という、消しゴムのカスを掃除してくれる商品は番組で見た記憶がある。自動車のカタチをしたそれは、中にほうきが2本入っていて、机をころころ回すと消しゴムカスが簡単にとれるシロモノだ。

 アスクルやカウネットで買うような商品は事務用品のジャンルに入り、こうした個人で楽しむものはパーソナル文具という。ほとんど雑貨に近いといっていいだろう。番組でウケるのがよくわかる。 「以前は、事務用品は、会社から従業員に支給するのが一般的でした。それが次第に、従業員が必要なときに自分で買うものに変わっていきました。リーマンショック以降はこの習慣が一気に加速しています」こう語るのは、同社マーケティンググループ・マネージャーの中村雅美さん。事務用品市場には向かい風の中、買う手間はかかるが、自分の好きなもの、気に入ったものを買うパーソナル市場は時代の趨勢といえる。

「パーソナル文具は、デザイン性や遊び心が重視されますので、色や形もさまざまです。文具としての機能をしっかりと持ちあわせていることが基本ですので、そこにいかに楽しさをプラスした製品にしていくかが重要です。」

 デザインと機能が両立しているのが同社の強みだという。よくよく話を聞いてみると、私が長年日記帳として使用している「MDノート」という商品も同社のヒット商品だそうだ。毎年紙質を厳しくチェックし、改良に改良を重ねている。

アクセント オン ライフ

 実は、私が「ミドリ」というブランドを知ったのは、銀座・伊東屋の軒先だった。VMDの職業上、銀座でショーウインドウの物色をしていた私は、伊東屋のウインドウでカラフルなディスプレイに出会った。そのディスプレイはオリガミでできていた。同社製「オリガミオリガミ」でつくられたブロックチェックのタペストリーやテトラのオブジェが店舗の軒先を華やかにしていたのだった。昨年8月の銀座・伊東屋店頭の「ミドリ」フェア昨年8月の銀座・伊東屋店頭の「ミドリ」フェア

 伊東屋の中に入ると、ランチテーブルがオリガミでコーディネートされており、箸置きやコースター、フラッグピックなどがオリガミで彩られていた。紙でこんな表現ができるのか、と思った私はさっそく「オリガミオリガミ」を購入し、ディスプレイツールとして使ってみた。

それがこれだ。プレーンな展示用ボックスが、それを入れるだけでカラフルに変わった。これが「ミドリ」のVMDに興味を持ったきっかけである。

「オリガミオリガミ」を使用した展示台

 文具のパーソナル市場が拡大し、テレビの番組で話題になっているパーソナル文具。「足りなくなったら買うもの」「通販で買うもの」と思い込んでいた文具は、実は買う人のセンスや個性を際立たせるファッションのような存在だった。こう思った私は、昨今の文具売場のVMDをぜひ取材したと思い立ったのである。

 最初に、今の文具売場はどうなっているか、彼女にひも解いてもらった。

 まず、メイン販売チャネルは量販店・専門店・バラエティ雑貨店・書店などだそうだ。同ブランドの世界観を伝え、センスやテイストがマッチする環境で販売するのがベストだという。丸善やTSUTAYA、東急ハンズやロフトのような、店舗コンセプトが確立されていて、気持ちよさや楽しさが感じられる環境がマッチしている。最近はアパレル店での取り扱いも増えているし、雑貨店やセレクトショップも多いという。

 前出の「オリガミオリガミ」も、昨年末、女性ライフスタイル誌「OZマガジン」とのタイアップ企画としてナチュラルローソンのエンドでコラボレーション展開をした。11・12月はヌーボー解禁やクリスマスがあるのでパーティシーンを彩る使い方を提案した。ワインボトルやお菓子など、おもたせのラッピングとして使ってもらうためだ。

「オリガミオリガミ」を使った食卓シーン展示  このような販売チャネルを見る限り、同社製品はライフスタイル文具としてかなり定着しているようだ。「Accent On Life (アクセント オン ライフ)」というキャッチコピーが付いている「ミドリ」の主力製品の面目躍如たるところだろう。

売場づくりの中枢 クリエイティブセンター

 ただ、「ミドリ」の世界観といっても、競合メーカーが群雄割拠する文具売場では、その実現がなかなか難しいようだ。

「家電やスポーツ用品店のように、メーカーブランドのインショップをつくるのは、文具売場では難しいです。そこはほとんどカテゴリー別になっていて、ペンやノートのように同アイテム内での棚の奪い合いです。空いているスペースがあったら、すぐに別のメーカーで埋まってしまいます」

 ちょっとした置き方の工夫で商品らしさが伝わるのに、そうなっていない売場が多いという。棚はたくさんの商品でぎっしり並べられている。文具は細かいものが多く、小売店によって少量多品種のボリューミーな売場がつくられてきた。陳列商品の種類があまりに多いので、来店客は手に取っていちいち比較しなければよさがわからなかった。

  2007年に、社名をミドリからデザインフィルに代えた同社は、売場づくりを本格化させ、「ミドリ」のブランディングを組織全体で徹底させた。営業部とは別にクリエイティブセンターという部署を立ち上げ、その中に広報・宣伝を司る「マーケティング」、商品開発・売場表現を担当する「デザイン」、生産管理・企画進行を行う「プロダクト」の3つのグループをつくり、3者が連携して売場づくりを進める体制となった。

  営業部には、本部商談をするお得意先担当と、店頭を回って日々売場づくりを実施するラウンダーという専門スタッフがいる。クリエイティブセンターは、営業やラウンダーをサポートして、売場づくりを企画・推進する。具体的には、お客様が気づきやすくわかりやすいパッケージデザインに改善したり、POPや展示台などのディスプレイツールを制作して現場にセットしている。

「人々の気持ちに訴える「ミドリ」の製品は、コーナー展開にするとイメージが醸成できます。それをいかんなく発揮できるのが、催事です。前出の「オリガミオリガミ」のディスプレイは、伊東屋様で行った「ミドリ」フェアの一部でした。催事スペースで世界観を表現し、「ワクワクする」や「楽しい」といったエモーショナルな空気を醸し出すことができるのです」

VMDの仕事 その1

 その売場の空気感を醸成しているのが、横山まどかさんだ。彼女は、デザイングループに所属しているチーフデザイナーだ。「ミドリ」メイン商品のVMDを遂行している。前出の伊東屋店頭の企画制作も彼女が主に行った。

チーフデザイナー 横山まどかさん 彼女はプロダクトグループの商品企画意図やデザインコンセプトをくみ取り、それを売場で表現する。マーケティンググループは、広報やWeb等でこの情報を発信し、マス媒体と売場とで統一された企業ブランドや商品ブランドのイメージを形成していく。こんな連携をとっている。

 とはいえ、お得意先あっての売場づくり。間に卸企業も入るので、打ち合わせやプレゼンも多く、企画書作成や図面制作など細かい作業も多い。売場の事前視察もあるし、直接設営に行くのもしょっちゅう。出来上がった数日後はお客様の入りを観察にいくなど、店舗に頻繁に通う。クリエイティブセンターは、現場に近い部署といえる。

「週1回、ラウンダーミーティングを行って、売場の定期点検をしています。その報告書をクリエイティブセンターの3グループがいつでもネット上で閲覧しています。すると、「POPのデザインを変えてみよう」とか「商品フェイスがよく見える新しいディスプレイツールをつくってみよう」など、いろいろなアイデアが湧き、意見交換も活発に行われます」と、横山さんは言う。

 この過程で、「オリガミオリガミ」の巨大テトラも考えた。オブジェとして作りやすく、売場で非常に目立つところが小売店からもウケている。製品付属のしおりにテトラの折り方も記載した。

「オリガミオリガミ」の巨大テトラが宙に舞う ハンディVMDマニュアルは折りたたんで手の平大 彼女のアイデアはまだ続く。それはVMD豆知識ツールだ。商品ディスプレイのコツをまとめ、手のひらに収まるVMDマニュアルとして制作した。ディスプレイ構成や色の陳列、棚割りの基本などがイラストや写真で掲載されている。これを教科書にした研修会も開いた。結果、売場づくりの知識を披露するスタッフも現れ、お得意先に感心されたという。彼女、さすが「VMDインストラクター」の肩書を持つだけのことはある。ラウンダーのモチベーションアップに効いている。

 

VMDの仕事 その2

展示会「MDS年末フェア」での壁面展開 横山さんは、展示会の企画・制作もしている。年4回のお得意先を集めてのメイン展示・商談会、そして新商品発売時に行う「プライベートショー」と呼ばれる単発の展示会だ。得意先を招待するイベントなので、営業と入念に話し合い、テーマやコンセプトを決め、会場レイアウトを図面に落とし、商品展示方法を決めていく。もちろん、ディスプレイを実行するのも彼女だ。

  メーカーVMD担当は何でもこなさなくてはいけない・・・を地で行くようだ。アパレルチェーン店の場合のVMD担当の役目は、売場をプロデュースする人(VMDマネージャー)、売場づくりを企画立案する人(VMDプランナー)、売場づくりを管理する人(VMDラウンダー)、売場づくりを実行する人(デコレーター)と職種が多岐に渡っているが、アパレル以外、しかもメーカーの場合は販促担当がそれらすべてを兼任することが多い。アパレル以外の店舗を持たないメーカーのVMDは、社内専門家が少ないのが現状。同社もVMDと名のつく職務は彼女ただ一人だ。

コーポレートゾーン「「ミドリ」アクセント オン ライフ」ブース  取材の最後に、ショールームを見せていただいた。コーポレートゾーンというスペースが本社フロア中央にあり、カウンターをぐるっと囲むように5つの商品ブランドの展示ブースがある。「ミドリ」2ブース、法人向け提案コーナー、「KNOX(ノックス)」、「トラベラーズノート」と右回りに続いている。これらブースの展示は彼女も担当している。

主なブースを彼女がエスコートしてくれた。これは「「ミドリ」アクセント オン ライフ」のブースだ。ここは「ミドリ」のメイン商品が展示されている。「オリガミオリガミ」もここにあった。中央にテーブルがあり、展示壁面がぐるりとそれを囲んでいる。まゆの中に入っているような感覚で、取引先との親密な商談ができそうだ。

 こちらも「ミドリ」のブース。メモやシールなどの商品が展示されている。冒頭の「ひみつ付せん」はここにあった。

「ミドリ」のブース その2 「トラベラーズノート」POPパネル   そして、「トラベラーズノート」のブース。「トラベラーズノート」は、個人のクリエイティブを発揮する、日常を旅するように過ごすためのノートというべきもので、使い方は自由だ。日記をつけたり、絵を描いたり、情報をスクラップしてもOKだ。

 その使い方の事例がパネル化してあった。スクラップブッキングのような使い方もできるんだなと感心する。何枚かつくって全国の売場に貸し出しているとのことだった。下地に使用した世界地図は、水彩とマーカーで塗ってエイジング処理を施していた。細かい作業のほどが伺える。

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