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2001年に独立しtasu_craft communication設立、以後多くの商業施設の店頭演出のデザイナーとして活躍。近年は三越、伊勢丹、島屋など国内外の百貨店のウインドウをデザイン・制作。DDA Award for Display Design、VM+SDMagazine Award of Merit等数々の賞を受賞しているVMDのスペシャリスト。
N Y渡米歴31年、旅行会社インバンウンドツアーコーデイネイターを10年勤務、その間に日本のカップル向けデステイネーションウエデイングN Yを担当、2000年に独立 してEtsuko Planning を設立。 花にも興味を持ち、ルイス・ミラーを初めN Yのトップフラワーデザイナーの下で修行。フリーランスフラワーデザイナーとして、多数のデザインチームに加わり、セレブリテイ、大富豪等のミリオンダラー結婚式、イベント、テレビ「Sex and the City 2022年版」の装花にも携わっている。
セミナー「NYディスプレイ・インサイト」を振り返ってみましょう。NYディスプレイ・インサイトとは、米国ニューヨークの店舗ディスプレイをいつもと違った角度から見ようという試みで始めたセミナーです。ニューヨーク在住のスペシャリストをZoomでつなぎ、クリスマスシーズン真っ盛りの街の店舗ディスプレイをフォーカスしたVMDセミナーです。単に百貨店やショッピングモールのディスプレイ写真を見せただけではありません。日本と格段に違うディスプレイ制作のしくみと構成素材を解説するものでした。折しも、当協会が月次開催してるオンライン「センスアップセミナー」の12月に当たるテーマは、プロップス(プロップスとはディスプレイの装飾品のこと)だったので、タイミングがバッチリ合いました。
セミナーのホストは、瀬谷ゆみこさん。スペースコーディネーターとして、 国内外の商業施設の環境装飾のデザインをしている人です。ショーウインドウ等のデザインも担当し、DDA
Award for Display Design入賞等、ショーウインドウデザインにて、幾度か賞も受賞してるVMDのスペシャリスト。(株)オーバルリンクの運営しているVMDの学校「売場塾」での縁もあってセミナー1部の司会進行を務めてくれました。
そしてNYのディスプレイ中継を務めてくれたのは、千葉恵津子さん。渡米歴31年にしてNYでウエディングプランナー兼フリーランスフラワーデザイナーとして活躍しています。デザイナーとしてはブライダル装花を担当することが多く、米国のセレブや大富豪のミリオンダラー結婚式に関わっている他、テレビドラマ「AND
JUST LIKE THAT/ Sex and the City 2022年版」のロケシーン装花にも携わりました。
こんな二人のNY商業ディスプレイ・トークの中身を以下に解説します。
セミナー画像は、コロナ禍直後のNYの街角から始まりました。NYも諸外国と同じく、コロナ禍での人々の気持ちの落ち込みや店舗離れに喘いでいました。NYでもSNSを使ったBtoCやECの施策で何処を切り取っても楽しい空間作りの中での商品の発信をかわきりに、沈んだ街に活力を感じさせるインタラクティブな店舗内での演出の施策を続けられています。コロナ禍における3年間、企業やアーティスト達が一丸となり試行錯誤し取り組んだ背景が読み取れました。例えば・・・レストランやアパレルショップの店頭入口をグリーンやフラワーで覆う演出。(写真1)
色とりどりの草花で覆われた店頭は、コロナ疲れで疲弊した街ゆく人々の心に潤いを与えています。
「店舗のファサードや路上インスタレーションのフラワーアレンジは、華やかさがあり、気持ちを明るくしてくれます。生花ではなく、多くは、アーティフィシャルフラワーを使用して製作されていて、長期間楽しむことが出来る仕様になっています」と千葉さんが説明したのは下記写真2でした。
カフェやレストランは、コロナの感染対策もあり店頭にテラスを設けてオープンエアで密を避ける施策が施され、規制緩和された現在は、そのスタイルが定着しています。スターバックスの新たな施策としては、テイクアウト専門の店舗ができました。
「印象に残ったのはセントパトリック教会です。多くの人が訪れる名所ですが、やはり、コロナ禍以降、ファサードを花で包んでいます。イベント毎に、デザインが変わります。教会でここまでコストがかけられるケースは、世界でも少ないのではないでしょうか」
店頭を制す者は競合を制す。店頭が華やかだと他店よりも入りたいと思う気持ちは強くなります。こういった取り組みは、ロンドンは、昔から取り入れていて、近年では、日本でも店内の天井にびっしりドライフラワーを下げる等の映えスポットを作る店舗が増えていたりします。前述の写真2は、日常の中に、ちょっとした非日常を体感させてくれます。
「フラワーデザイナーが道路の工事現場に花を生けたり、使っていない昔の車輪工場を大改装してイベントやウエディングの会場として再生したり、柔軟に建物を再生させたり、自由な発想で空間をリノベートしていくことは、コロナ以前からも多いと思います。」
「今回のNYレポートで私が印象に残ったディスプレイ素材は、紙です。百貨店など商業施設は、どこもコストを例年より抑えている印象があります。バーグドルフやノードストロームもペーパーツールを多用して館内装飾しています。路面店でもその傾向は強く、キッチュな素材を上手く組み合わせる事で、チープにならない、チープに見えないテクニックを感じます。それは、構成と分量のバランスなのかなと・・・」
掛け合いをしながらトークを続けた二人が使った写真は191枚でした。1時間のセミナーでこの量です。しかしアンケートを取ると「短かった」という回答は多かったです。日本では見られないNY写真の数々はインパクトが大きく、もっと聞きたいとの声がありました。百貨店や専門店のVMD担当者が多く参加した今回のセミナーは、そのまま日本に落とし込む事は、難しいと瀬谷氏は語りました。
「店舗ファサードや店舗内での法的規制が、厳しい日本の商業施設ではNYのディスプレイをそのまま、まねるのは難しいですが、その制限の中、更に今回のNYの装飾マインドみたいなものを感じて、どんどんデザインに取り入れて各々の取り組む案件等の空間作りを楽しんでもらえたら嬉しいです」
今回はディスプレイツールに焦点を当てていたので、クローズアップ写真、ディティールがよくわかりました。海外の環境デザインを知り尽くしている瀬谷さんの百貨店のデザイントレンド解説はとても興味深かったです。写真セレクトもお見事。瀬谷さん、お疲れさまでした。NY在住の千葉恵津子さんにも感謝です。
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