ホームセンターと雑貨店、什器の配置方法を見てみましょう。
ホームセンターは、倉庫型什器配置をしていて、主通路・副通路はまっすぐ伸びていて、見通しもよいです。
200坪以上の広いフロアにズラッと同じようなデザインの什器がタテヨコ整列正しく並んでいます。
一方、雑貨店、セレクトショップなどは什器の並びが不一致で、
グリッドラインに合わせて同じ方向を向いていないケースも多いです。
フロアのところどころにテーブルが置かれていて、什器もゾーンによってデザインが変わっています。
特徴的なのは、什器で空間を囲っている点です。
コーナー囲い、柱周り囲い、アイランド囲い、テーブル囲い等を駆使してMDテーマに沿った品揃えを展開しています。
例えばキッチン用品店では、バーベキュー、カフェ、包丁・ナイフ、調味料、お酒、和食器、スイーツ用具、テーブルカバーなどがMDテーマです。
ホームセンターの売場にももちろんMDテーマはがありますが、MDテーマによる囲いは、水平的、連続的に配置されています。
例えば副通路8スパンに、スパンのカタマリごとにグリッドラインに沿って同じアイテムのものが並べられています。
MDテーマは、雑貨店がライフスタイル別やデザイン別だとすれば、ホームセンターがアイテムテーマが主流です。
ホームセンターと雑貨店の違いは他にもあり、売場面積と取り扱い数量です。
雑貨店が30坪~50坪標準だとすれば、ホームセンターは200坪かそれ以上のフロア面積で、2,3層のフロア構成も珍しくありません。
雑貨店は、ホームセンターにおける日用品ゾーンの中の取扱数量が少ない店のようなもの。
客層を絞った品揃えをしているため、日用品のセレクトショップといっていいでしょう。
この日用品のセレクトショップである雑貨店は、先ほど言ったようにデザイン別、ライフスタイル別のフロア展開が多いため、暮らしの世界観の演出が大事になってきます。
什器という壁で囲い、その中に世界観を演出しています。
例えば、「大人のカフェタイム」というMDテーマの売場をつくるとします。
MDは本格的なコーヒー抽出器と質感のあるコーヒー食器、ナチュラルなデザインのランチョンマットや丸山珈琲店のようなブランド豆を用意します。
それらを置く什器に、木目のカフェテーブルを用意し、PPとしてテーブルコーディネートを設置します。
世界観を演出するのに、こうしたPP(ポイントプレゼンテーション)があるとよく、品揃えや什器デザインだけでなく、展示で世界観を演出できます。
加えて照明の色温度や照度、床・壁、サイン・POPのデザインの演出があると、さらに世界観は深まります。
この極端な例がイケアで、囲いごとにライフスタイルを演出しています。
一部を採用しているのが東急ハンズやMUJIと言えます。
小さな雑貨店の例としては、アフタヌーンティーやフランフランが挙げられます。
アパレル店舗に照らし合わせてみれば、ユニクロが倉庫型、ビームスがインショップ型と言えます。
書店ならば、ジュンク堂が倉庫型、未来屋書店がインショップ型です。
未来屋書店では、例えばミステリー書籍、趣味の書籍、旅行の書籍というように、MDテーマごとに什器で囲われた部屋になっています。
中央が座り読みするスペースになっていて、そこにはミステリー作家がテーマのディスプレイが施されています。
天井には西洋のランプが吊り下がっていて、まるでアガサクリスティの世界に入り込んだようです。
さて、ホームセンター、GMS、スーパー、大型書店、図書館がなぜ倉庫型でアイテム別構成がメインなのか解説しましょう。
それは、これらの業態ではどこに何があるか、すぐにわからなければいけないからです。
広いフロアの中で迷子にならないように、分類サインを道しるべとしてフロアにめぐらせ、関連するアイテム同士を近くに集積しています。
通路もタテヨコまっすぐに伸びていたわかりやすく、モノも探しやすいです。
分類サインとは、本屋でいうと、小説、ビジネス、雑誌、キッズ、旅行、コミックといった表示サインのことです。
これが規則正しく通路沿いに並んでいるので、お客様は短時間でその売場に到達できます。
特に目的買いのお客様にとって便利です。
話しは変わりますが、倉庫型の店舗でも、インショップ型を取り入れることによって、セレクト的な売場を作ることができます。
単調な倉庫型のフロアにインショップ型囲いをつくると人目を引いて、ぶらっと寄れる憩いのスペースになります。
買い物という作業ではなく、見て触って楽しむ、比べて商品をせる、と言った娯楽の売場にもなります。
これが広いフロアのところどころにあると、「買い物作業」をして苦労して歩いている方の憩いのスペースになります。
私はこれをコネクトポイントと言ってまして、東急ハンズやロフトのような都市型ホームセンターではよく見ます。
東急ハンズの主通路沿いのテーブル売場がそれにあたります。
これがあると、目的買いだけでなく、アミューズメントとして売場に寄るお客様も多くなります。
これからは、倉庫型・インショップ型の折衷型の店舗が有効だと思います。
なぜならば、目的買いの場合はインターネットで済んでしまうことも多くなっているからです。
自分のお店は倉庫型がよいのか、インショップ型かよいのか、一度考えてみましょう。
(vmd-i協会事務局)