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キレイキレイ

スタイリングで店頭品質を守ろう

1.店頭品質の3つの課目

今日は、店頭品質についての第2弾「スタイリング」について話します。
店頭品質とは、そのブランドらしい心地よさをを保つ上で必要なルールです。
店舗スタッフがその要で、常に店頭品質をキープする役割を担っています。

ちなみに、店頭品質は、

1.スタイリング・・・整然さ、ブランドテイスト
2.クリンリネス・・・清潔さ、新鮮さ、身だしなみ
3.快適性・・・・・・明るさ、プライバシー程、広さ

の3つの課題と8つの細則に分かれています。
2.クリンリネスについては、年末にアップしたブログを読んでください。

●クリンリネス

それではスタイリングについてお話しします。

2.スタイリング「整然さ」

スタイリングの細則「整然さ」とは店内のインテリアである什器や家具、照明やオブジェが、ブランド空間に支障をきたしていないか?ということです。
下記のようなケースが考えられます。

●余分なものが見えている

代表格が段ボール箱。
入荷したままの段ボール箱がそのままカウンター前や通路に置きっぱなし。
これは店を倉庫と化してしまう要因になります。
確かに売場、特に棚の足元に段ボールを置けば商品補充は楽ですし、いちいちバックヤードに行く手間も省けます。
しかし、それは店舗の都合でお客様と関係ありません。。
お客様にとっての段ボールは見苦しい以外の何物でもありません。
歩く邪魔になるし、せっかくラグジュアリーなブランド商品が棚に並べられても、その下に段ボールが転がっていてはガッカリしてしまいます。

段ボールの他にも、脚立、掃除用具、使わないのぼりなどのPOP類、ティッシュなどのノベルティ類などが売場に露出していませんか。
これらも段ボール箱同様、お客様にとって余分なものなんです。

スタッフは楽かもしれないけど、お客様にとって迷惑。
すぐにお客様の目に触れないところに収納します。


●ものが倒れていないか、傾いていないか、よれていないか

このタイトルの要素が売場にあると、お客様は不安になります。
なぜかというと危ない、または見苦しいからです。

  • のぼりが倒れている
  • モニタ台が傾いている
  • キャビネットの引き出しのしまりが悪く飛び出ている
  • ライトが切れている
  • ジャバラの窓シェードの2.3本が曲がっている

などなど、店内に配置されている小道具がグラグラ・ガタガタでは、お客様の心理もグラグラ・ガタガタになってしまいます。

店内備品は整然と配置し、老朽化しているものは修理するか新品に換えましょう。

3.スタイリング「ブランドテイスト」

チェーン店というものは、本部が決めたショップ・ブランドコンセプトによって佇まいに規律を与えています。

ルイ・ヴィトンはルイ・ブィトンらしさ、ユニクロはユニクロらしさ、レクサスはレクサスらしさが、ブランドガイドラインを通して守られています。

ところがブランドガイドラインにも落とし穴があります。
VI(ビジュアル・アイデンティティ)といって、サイン看板やロゴの設置について細かく規定はしていますが、店内備品・消耗品に関しては規定していない例が多いです。

例えば、あなたの勤めるラグジュアリーなブランドショップは下記になっていませんか?

●カウンターのペンは、100円ショップのペン
商品購入が決まるとお客様が宅配を頼むこともあります。
そんな時にカウンターであなたが差し出すペンは100円のボールペンになっていませんか?
3万円の高級皿を買ったのに、カウンターに置いてあるのは100円のペン。
せめて1,000円の見栄えのよいボールペンに換えましょう。
ペン立ても忘れないで揃えましょう。

●なぜか招き猫や七福神がいる
これは自動車ディーラーに多いんですが、ショールームのカウンターに招き猫がいたり、七福神がいたりします。
インテリアオブジェとして飾っているのですが、社長の趣味なんでしょうか。
トレンディなRVや高級セダンを展示しているのになんだか場違いですね。
店のテイストにあったオブジェに換えましょう。

●ゴルフコンペの立てが置かれている
営業所も兼用している不動産屋のような店に行くと、ゴルフコンペの立てが置かれ、「優勝・葛城営業所」などと書かれていたりします。
これは取りましょう~。
お客様に見せるものでもないです!

●信用金庫からもらったカレンダーが置かれている
店のカウンターや商談コーナーに置かれているカレンダーには○○信用金庫と書かれています。
明らかにノベルティとわかるカレンダー。
これも厳禁です。
カレンダーは無印良品やフランフラン、ハンズやロフトなどでデザインがよいものを買ってください。
会社名が書かれていない、お店のテイストに合ったものを選びましょう。

●消毒液が「キレイキレイ」になっている
これはたとえです。キレイキレイにするな、というわけではありません。
私もオフィスでキレイキレイ使っています。(^^)

ラグジュアリー専門店のトイレを拝借したときのこと。
なんとキレイキレイのパッケージそのままが置かれていました。
その横には「クリネッシュティシュ」そのものの箱が・・・。

これでは高級ブランドを買ったお客様はげんなりしてしまいます。
液体ソープは無地のボトルに入れ替え、ティッシュ箱も雑貨店でよいものを購入し入れ替えましょう。
リッツカールトンがトイレでこんなこと、しないですよね。

4.スタイリングってどうやって考えればいいの?

上記のように、店内備品やインテリア小物は店舗のデザインテイストに合わないものは換えるか、排除します。
では、我が店のデザインテイストはどうあるべきか、どうやって考えたらいいの?ということですが、答えは簡単。
あなたがおうちのリビングルームのデザインを考えるのと同じようにすればいいんです。

例えば、あなたが「うちのリビング、ハワイのホテルみたいにしたいなー」とテイストを考えるとします。
テイストとは、住居人であるあなたの感じる感じ方を言います。
そしてテイストは人によって違います。
「ナチュラルで北欧調」とか「ガーリーなカジュアル」とか「シンプルでクール」とかテイストの表現はいろいろです。
例えば、我が家のリビングは「ナチュラルでシンプル」です。
だから、時計やフレーム、家具や家電に至るまで「ナチュラルでシンプル」なものを選んで設置しています。

 

我が家のスタイリング

家具屋や雑貨屋に行ったとき、ネットで何かを買う時、まずこのテイストが頭の中にあるので、数種類いいのがあって迷ったときは「テイストに合うかどうか」で選んでいます。
これをトーンアンドマナーといいます。

トーンアンドマナーとは文字通り、家具や備品を置く時のマナー(ガイドラインみたいなもの)なんです。
だから、我が家では、赤や黄色のべたべたのインテリアや、刺繍模様や幾何学模様の華美な備品は買わないんです。

同じようにあなたの所属するブランドショップは、本部で決めたテイストとトーンアンドマナーがあるかもしれません。
店の備品を買う時にまずそれを確認しましょう。

これはフランフランのトーンアンドマナーのガイドライン。
https://francfranc.io/design-system-guidelines/

例えば、フランフラン店内に写真をPOPとして設置するにも、このようなガイドラインを守らなければいけません。
https://francfranc.io/design-system-guidelines/design-system/essence-of-basic-design/image

なるほど、これだと招き猫は完全にペケですね。(^^)
バラの花が好きだから~と言ってバラの写真を飾ってもいけません。

VMDは文字通り、視覚的にブランドらしさを感じさせるしくみです。
にわかインテリアコーディネーターになったつもりで、備品やインテリア小物を選んでください。
テイストやトーンアンドマナーについては下記で詳しく解説していますので参考にしてください。

●トーンアンドマナーのフィルターで売場デザインを決めよう

5.スタイリングはクリンリネスと快適性とリンクする

ということで、スタイリングの細則「整然さ」「ブランドテイスト」をお話ししてきました。
スタイリングの考え方と活かし方、わかったと思います。

さて、このスタイリングは「クリンリネス」と「快適性」にリンクしているのです。
冒頭で言った様に「店頭品質」は下記の3つの課題で構成されているからです。

1.スタイリング・・・整然さ、ブランドテイスト
2.クリンリネス・・・清潔さ、新鮮さ、身だしなみ
3.快適性・・・・・・明るさ、プライバシー程、広さ


スタイリング能力がスタッフに備わってくると、いっしょにクリンリネスと快適性もキープしようとする姿勢が芽生えます。
理想の店舗や売場に近づけるために、自分で率先してクリンリネスも快適性も守るようになるんです。

これも、我が家と同じと考えていいでしょう。
私の家は先ほど言ったように、「シンプルでナチュラル」というトンマナを大切にしているんですが、自然とクリンリネスを気を付けるようになっています。

  • 洗面ルームは雫ひとつ落とさない
  • ティッシュは惜しまず使って、常に机や棚の汚れをふき取る
  • 食器類を置いたテーブルは、食器の跡がつかないようにランチョンマットを敷く
  • テーブルや机の上は最低限のモノしか置かない
  • 衣類や文具など使ったものはすぐ片付ける

などなどして、ショールームのように佇まいをキープしています。
たまーに来る人が「これ本当に人が住んでいるの?」というほど、シンプルになっているんです。

同じように、あなたの店はクリンリネスを保つことによって、いつものブランドテイストの空間を作ることができるんです。
そう、チリ一つ落ちていないディズニーランドのように。

クリンリネスはスタッフの心がけそのものと言えるでしょう。

ということで、ブランドショップに勤務している皆さん、VMDの皆さん、お店のスタイリングぜひキープしてくださいね。
まだスタイリング決まっていないという店は早急にコンセプトづくりから始めてください。
詳しくは下記に書かれています。

●店舗コンセプトのつくり方

(vmd-i協会事務局)

モデルの写真

演出POPでブランド空間を演出する

以前、このブログでPOPの種類は6つあるといいました。
商品・演出・告知・誘導・注意・案内の6つですが、今回はそのうちの「演出POP」について講義します。

※参考/POP6つの種類

1.演出POPとは

演出POPとは、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記の様なものが演出POPです。一つ一つ解説します。

●タレントのポスター 

タレントのポスター
  • 雪肌精の新垣結衣や大谷翔平
  • SKⅡの綾瀬はるか
  • CWXのイチロー
  • スカイナーの浅田真央
  • ソフトバンクの「お父さん」 etc

これらはテレビや新聞の広告と連動してることが多いです。
タレントをアイキャッチに、商品写真は小さめにレイアウトしています。
タレントが商品やブランドの推奨役になっています。
タレントのキャラクター性を商品やブランドに刷り込んでいます。

●モデルのポスター

モデルのポスター

下記の店内に掲示されているモデルのポスターがこれに当たります。

  • ユニクロのようなSPA
  • ルイ・ヴィトンのようなブランドショップ
  • ゼビオのようなスポーツ用品店
  • ヤマダ電機のような家電量販店
  • テンピュールのような寝具店 etc

これらの店ではモデルが商品を使用しているシーンが多いです。
服を着てゆったりした生活を送っているシーン、アスリートがランニングしているシーン、キャンバスでケータイを使っているシーンなど。
ライフスタイル、ステイタス、テイスト、トレンド、エイジなどを商品やブランドにスライドさせています。

●絵画・風景写真ポスター

絵画・風景写真ポスター

これはファッション店でよく見ると思います。
服と直接関係ない、海や山の風景、鳥や動物、都会の街並み、部屋のインテリアなど、風景を切り取った写真がフレームに入れて飾られています。
これは、服を着たシーンを切り取った一コマの場合もありますが、多くはブランドや商品の世界観を表している抽象的な写真です。
例えば、サーファーの店なら、ビーチや波のうねり、海の家、駐車場のオープンカーといった風景写真になります。

また、インテリアディスプレイと呼ばれるもので、スターバックスにあるような絵画フレームも演出POPです。

  • コーヒー店、レストランなどの額縁
  • 保険ショップ、ブライダルショップなどの壁面の額縁
  • ヘアサロン、マッサージ店などの壁面の額縁
  • 百貨店、ショッピングモールの待合いスペースの額縁
  • 歯医者や耳鼻科などクリニックの待合いスペースの額縁 etc

●商品ポスター

商品ポスター

これは商品を説明する説明POPではなく、商品を拡大してドラマチックに見せるためのPOPです。

  • ケータイショップにおけるiPhoneのポスター
  • カーディーラーにおける車のポスター
  • ジュエリーショップにおける結婚指輪のポスター
  • 食器店におけるワイングラスのポスター
  • ハンバーガー店や回転ずし店におけるメニューポスター
  • 家電店における家電品のポスター
  • 旅行代理店による旅行先の風景ポスター etc

2.演出POPの注意点

演出POPは文字通り、商品やブランドを演出するPOPなので、貼り方を間違えると、ブランド台無しになってしまいます。
注意点を述べましょう。

  • 空いているからといって貼らない
  • フレームに入れる
  • 商品の近くに置く
  • グリッドラインを揃える
  • アートになるように貼る

などです。
ひとつひとつ解説していきましょう。

●空いているからといって貼らない

POPの貼り方悪い例

ドラッグストアやスーパー、家電店のタレントポスターはほとんどメーカーの持ち込みです。
そのため、商品陳列の空いたスペースに演出POPを張るのが常になっています。

  • 棚の空いたところ
  • 壁の空いたところ
  • 天井近くの空いたところ
  • カウンターの下
  • トイレの入り口
  • ドアのガラス面
  • 商品陳列の後ろ

などなど、売場が商品とPOPでごちゃまぜになっているケースが多いです。
これだと、モデルやタレントがかわいそう。
シャンプーに押しつぶされている美人のポスター見たくないですよね。
「赤札市!!」のPOPに押し切られそうになっている野球選手のポスターも見たくないですよね。
トイレりサインの横に貼られているハリウッドモデルも見たくないはず。

演出POPは家のインテリアと同じ。
優雅に貼られることによってその価値を発揮できます。
お客様が見やすいところに、そのためのスペースを取って、きちんと貼りましょう。
一度、ラルフローレンやユニクロ、無印良品のお店を見に行くといいです。

●フレームに入れる

フレームPOP

演出POPはフレームに入れましょう。
額縁にいれることによって価値が高まります。

セロテープや画鋲、ホチキスで貼ると、ビラのように見えてしまいます
大きい演出POPは額に入れると様になります。
額といっても、おおげさに考える必要はありません。
モナリザを飾るわけではないので、プラスチックの薄いフレームでよいのです。
ほとんどのポスター用額縁はネットやディスプレイ用品店、ホームセンターで買えてしまいます。

例えば、マクドナルドやケンタッキー、ガストやミスタードーナツの壁面のポスターを見てください。
「月見バーカー」や「ガーリックホットチキン」のポスターはポスター用フレームに入っています。
壁面に等間隔で並んでいて、とてもきれいです。
これらが、カウンターの下やレジの仕切り、ドアのガラスにセロテープで貼られていないですよね。

大きなものは額、小さなものはアクリルスタンドに入れて掲示することを心がけましょう。

●商品の近くに置く

ウイリアムソノマのPOP

演出POPは商品を演出することが多いです。
商品の持つ世界観を醸し出すことができます。
例えば、ウイスキーのディスプレイ背後に、富士山の雄大なポスターを設置するとします。
すると、お客様は「このウイスキー、富士山の恵みでできているんだな」「このウイスキー、おいしい富士山の水でできているんだな」と感心してくれます。

ところが、この富士山のポスターがウイスキーから1m離れた場所に置いてあると、お客様はもう富士山とウイスキーを結びつけることができません。

演出POPは商品の近くに置くことを心がけましょう。

●グリッドラインを揃える

ホノルルクッキーのPOP

演出POPは家の額みたいなものです。
グリッドラインを揃える、等間隔展示にするのが基本です。

JTBのお店にあるハワイの写真のように展開しましょう。
これはフレームのサイズが違っていも同じです。

等間隔、グリッドラインフィックスが基本です。
写真上は額の底のラインにグリッドを合わせています。
写真下は、額の中央にグリッドを合わせています。

線を取ってみましょう。
ほら、きれいに壁に展開しているのがわかりますよね。

●アートになるように貼る

DFSのPOP

ブランドショップやセレクトショップのような店は、インテリアディスプレイとしてポスターを掲示しています。
風景ポスターや絵画をお店を家と見立てて文字通り、額として壁に掲示します。
住宅展示場やモデルハウスで見るように、センスよくアート的にPOPを掲示します。

これ、下記のブログで詳しく写真入りで解説していますので参考にしてください。

●演出POPでアートな売場をつくろう

3.まとめ

わかりましたでしょうか。演出POPの種類と注意点。
演出POPがあると、売場にブランド空間を作ることができ、商品も魅力的に見えます。
ぜひあなたのお店に演出POPを掲示してみてください。

なお、POPの活用方法に関しましては、センスアップセミナー「POP活用体系」で詳しく講義しています。
●センスアップセミナー「POP活用体系」
7月に行う予定ですのでその時はぜひご参加ください。

(VMDインストラクター協会事務局)