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陳列「ヨコからタテの法則」

商品陳列「ヨコからタテの法則」

1.商品陳列はヨコからタテの動きをもとに設計する

今回は、コンビニやスーパー、ホームセンターなどの一般消費費材をたくさん棚に陳列している量販店のVMDについて語ります。

スーパーマーケットは、図のように逆時計回り、つまり左回りに買い物客が歩いていきます。
矢印のようにお客様は歩いていきます。

お酒売り場に差し掛かりました。
あなたは6パック入りのビールを買おうとしています。
どのような棚割りだったら買いやすいですか。
AとBを比べてください。

そう、Aですよね。

なぜなら、Bだとアイテムが決まっているお客様は買いにくいからです。
6パック入りのビールを買おうとしているのに、5スパン(5つの什器)を横に歩いて探さなければいけないからです。

Aだと、横にスススーと歩いて行って、ビールスパンを見つけ、そこでメーカー銘柄をタテに探せばよいです。(下図)

買う優先順位がメーカー銘柄ではなくて、350mlというサイズでしたら下記の図の棚割りの方がお客様は選びやすくなります。(下図)

ともかく、例外を抜かして棚に何かを陳列する場合は、

●客はヨコに進みながら売場を探し
●立ち止まってタテに商品を探す

ということを思い描いてください。

写真を使って説明します。

例えば、上は外国コンビニのビール売場ですが、タテに銘柄別になっていて、横にサイズ別に展開しているのがわかりますか。

角の目立つところにバドワイザーやコロナビールがタテに陳列しているのがわかります。
で、上はサイズが大きい500ml、下の方は350mlが並んでいます。

これを見れば、お客様はビールの銘柄を探してヨコに歩いてバドワイザーにたどり着き、タテを見て上にある500mlの缶を掴んでかごに入れる、という動作になります。
つまり、メーカー銘柄が優先で次はサイズを探すということになり、先ほどのDの買い方に近くなるわけです。

こんな感じで、量販店の多くはタテからヨコのお客様の目の動きに合わせた棚割り設計になっています。

2.ゴールデンゾーンとは

余談ですが、量販店の棚割りには「ゴールデンゾーン」というものがあり、上図のように、お客様の目に留まりやすく商品を取りやすく戻しやすい棚を指します。
当然、ゴールデンゾーンにある商品は売れ行きがよくなります。

ゴールデンゾーンはメーカーが喉から手が出るほど欲しい棚です。
当然、上や下の棚に行くほどメーカーは不利になります。
理由はゴールデンゾーンでないとお客様の視界に入りにくいから。

お客様がヨコに歩くとき、いちいち1スパンごとに目を上下に動かさないからです。
ゴールデンゾーンをススーッと目で追ってヨコ移動しますので、メーカーとしてはやっぱりお客様の目の先に自社商品があってほしいのです。

3.例外はカセット方式

先ほど、タテからヨコの法則は例外があるといいました。
それはカセット方式を採用した売場の場合です。
Eの図を見てください。

ビール売場が2スパンに拡張されています。
そのビール売場において、各アイテム別のくくりはヨコになっています。

これ、なぜタテくくりにしないかというと、2スパン全体をお客様に見ていただくビール売場設計になっているからです。

カセットは服や雑貨売場でよく採用されている売場のつくり方です。
例えば、このキッチン用品の売場ですが、2スパンになっています。

マグカップやグラス、皿が陳列されていますが、2スパンの棚にそれらがヨコに並んでいるのがわかります。
これが2スパンのカセット方式です。
2スパンで売場全体を見てください、という売場なんです。

もしこの売場で、マグカップやグラス、皿がタテくくりになっていたら、とてもバランスが悪い売場になってしまいます。
カセット方式は、1カセット・1テーマになっていることが多いです。
テーマとはMDテーマのことで、先ほどの例だったら「ビール」、上写真では「食器」というMDテーマになります。

スパンは2から長くて5スパンに及びます。
前述の通りカセット方式の売場はアパレルや雑貨店で顕著です。
ユニクロや無印良品、ラルフローレン、アフタヌーンティーやフランフランなどで普通に見られます。

スーパーやコンビニでカセットにするということは、1テーマで売場を見せたい場合に多いです。
例えば、クラフトビールの特集を酒ゾーンにつくるとか、クリスマスギフトの特集をお菓子ゾーンでつくるとか、お客様を特別コーナーとして強力に誘客したい場合などに使います。

4.デパ地下菓子・惣菜フロアの場合

スーパー・コンビニではなくて、デパ地下の場合はどうでしょうか。
ヨコからタテの法則は通用するのでしょうか。

今はクリスマスシーズン。おいしそうなケーキやお菓子を探しにデパ地下にあなたは訪れているとします。

ここでもあなたは、ススーッとガラスケースの中のお菓子を見ながらヨコに進みます。
ショーケースは高さが1.2m位と低く、お客様は視線を落として「何かいいお菓子しないかな」とススーッとヨコに動いてお菓子を探します。

お菓子店は、A店、B店・・・とブランドごとに分かれていて店舗別にレジ清算するようになっています。
ただ、目を下方向に向けてヨコに移動していくので、店舗ごとにいちいち顔を上げて店名を確認することはしないし、ショーケースのデザインはどの店舗も似ているので、どの店のどのカステラか?なんてお客様は気にしません。

さて、ここで問題です。
A店、B店ともフィナンシェ、マドレーヌ、タルト、パウンドケーキを扱っていました。
各アイテムとも5個入、10個入、20個入などと個数が違う箱がGケース内に陳列されているとします。
FとGの棚割り、どちらがよいと思いますか。

Fでは、フィナンシェを買う人は1.5m幅のショーケースをヨコに見てどの箱入りを買うか選びます。
Gでは、フィナンシェを買う人は1.5m幅のショーケースをタテに見てどの箱入りを買うか選びます。

答えは~。

この場合は、どっちもアリというのが正しいです。
Fの場合は、棚がそのままアイテムくくりになり、棚1枚=アイテムという棚割りです。
視覚的にくくりはわかりやすいです。
ケースの中央に立てば、左右に目をやることでフィナンシェの箱どれかを選ぶことができます。

Gはタテに目をやってフィナンシェの箱のどれかを探すことになります。
Fよりも左右に目をやったり体を移動せずに済むので、こちらの方が使うエネルギーは少なくて済みそうです。

ただし、それほどFとGではお客様の労力は変わりません。

Gがよいとよるケースば、バレンタインやクリスマスの当日か催事フロアに出店している時でしょう。
ショーケースの前は常に人だかりになります。
その場合、お客様は各アイテムを一堂に見ることはできません。

ショーケースの左右がよく見えないので、どれを選ぶか一苦労します。
そんな時、Gの棚割りになっていれば、買うアイテムさえ決めていれば、人だかりでもタテに目をやって箱を選べばよいので、こちらの棚割りの方が有利なはずです。

ただ、Gの場合はくくりを明確にした方がよいです。
フィナンシェとマドレーヌ、タルトとパウンドケーキの間に隙間を入れて各アイテムのくくりを分かりやすくするのです。
くくりはアメーバにせずになるべく四角にしましょう。
その方がくくりは鮮明になります。

くくりに関し詳しくはこちらをご覧ください。

●陳列の整理整頓は get thigs square

5.リレーションの考え方

ところで、リレーションという言葉をご存じですか。
売場と売場のつながりのことです。

同じようなアイテム、同じようなMDテーマ、同じようなブランドなど、似ている商品を隣通しに置くことによってお客様の買い上げ率を上げるやり方をいいます。

例えば、図HのA店とB店の境に注目してください。
パウンドケーキが隣通しになっていますよね。
これがリレーションです。

●リレーションとは「売場と売場のつながり、商品と商品のつながり」

お客様はケースを見ながらススーッとヨコに歩いていくので、パウンドケーキが好きなら、パウンドケーキが固まっている方がありがたいのです。
お客様は店名を見ずにヨコに進むので、店が違っても違和感はありません。

あなたがデパ地下のお菓子店ならば左右の店舗、向かいの店舗が何を販売しているか観察しましょう。
向かいがチョコを売っていたならあなたのお店もチョコ(売っていれば)、右がクッキーを売っていたら、左側にクッキー売場を持って行きましょう。
リレーションがよくなり、買い上げ率は上がります。

また、リレーションは先ほどのお酒ゾーンにも適用できます。
上図を見てください。
焼酎→ウイスキー→カクテル→ビール→ワインというのもリレーションなんです。
焼酎、ウイスキー、カクテルは「水や炭酸をミックスして楽しめる飲み物」ということでリレーションがよいです。
カクテルはハイボールみたいなものもありますので、ウイスキーと相性いいですし、ビールもビアカクテルという飲み方があるので、カクテルと相性いいです。

リレーションは、ショーケースだけではなく壁面ラック、島ワゴンなど、あらゆる売場に適用できるフレームワークですので、ぜひご活用ください。

6.まとめ

スーパーにしても百貨店にしても、お客様はススーッとヨコに動いて商品を探し、目的の売場に着いたら今度はタテに目を動かして商品を探します。
これが「ヨコからタテの法則」です。

  1. 客はヨコに歩いて該当売場を探す。
  2. その時、ゴールデンゾーンである目の高さから腰の高さの棚を見る。
  3. メーカーはゴールデンゾーンを確保した方が売上は上がりやすい。
  4. 客は該当売場に着いたら、今度はタテに商品を探す。
  5. その場合、「くくり」で商品を探すので、ビール売場なら銘柄でくくるか、サイズでくくるか考えて陳列する。
  6. 銘柄を重視する客が多ければ、一番搾り、ドライなどとメーカー銘柄でくくる。
  7. サイズを重視する客が多ければ、350ml、500mlというサイズでくくる。
  8. リレーションを重視する。なるべく似たような商品、関連商品を隣同士に置く。

「ヨコからタテの法則」「くくり」「リレーション」などわかりましたでしょうか。
毎月恒例のオンラインセミナー「センスアップセミナー」では、これらの法則がさらに理解できます。
機会ありましたら、ぜひご参加下さい。

●センスアップセミナー「商品陳列」5月開催

(VMDインストラクター協会事務局)

フォルダー中の写真

タイパ!売場写真整理術

1.店舗や売場の写真を撮る機会とは

VMD担当の皆さんは、売場や店舗を撮影する機会がたくさんあると思います。

自社チェーン店の臨店指導や期ごとのリバイス(売場編集)の記録として撮っているケースが多いと思いますが、下記の撮影機会もありますよね。

2のテーマハンティングというのは、ーマを持って街中に事例写真を撮りに行くことを言います。
例えば、下記のような場合です。

  1. 話題の店がオープンしたとき
  2. テーマハンティングをしているとき
  3. あるお店を定点観測しているとき
  4. 海外視察に行ったとき

2のテーマハンティングというのは、テーマを持って街中に事例写真を撮りに行くことを言います。
例えば、下記のような場合です。

●今研究しているテーマ
・ショップインショップ形態の什器レイアウトのタイプ
・ゴールデンデーンにおける商品のローテーション変遷
・カテゴリ別プライスカードのデザインとテキスト表現

●研修に活用できそうなテーマ
・1カセット1テーマの売場と、1カセット2テーマの売場
・ウォールウォッシャーがある売場とない売場
 ※ウオールウオッシャーとは壁面照明のこと
・陳列がヨコくくりになっている売場とタテくくりになっている売場

●ベンチマーキングしている店舗
・リブランディング中の「ファンスタイル」店舗
・「ツタの道書店」の新業態店舗
・リサイクルショップ「ファンファーズ」の大型店
 ※店名は架空です3は競合店などが対象になると思います。

1から4以外でも、今はスマホの時代。
街中歩いていても買い物中でも、気になった売場や店舗はカシャカシャ撮影していると思います。

それに今では、ヨドバシカメラのように店内撮影OKを公に謳っている店舗や、伊勢丹や島忠のようにSNS撮影コーナーを設けている店がたくさん出てきています。
フロアはみんなフツーにスマホで撮影する環境になっており、SNSにはたくさんの店内写真がアップされています。

※ただ注意しておきたいのですが、基本的には店内写真は撮影禁止になっています。

2.写真の整理の仕方

撮影した写真をあなたはどうしていますか。
よくある話が、スマホで写真を撮ってずっとそのままにしているケース。
写真はまったく振り返えられることなく、スマホの中に置き去りになっています。
これではもったいないと思います。

上記のようなVMDの参考写真のみではなく、レストランの料理、買ったスイーツ、紅葉の景色などもスマホに収まったままでは、そのうち忘れてしまうますよね。

私は、折に触れてスマホやデジカメの写真を整理しています。
その手順は下記です。

  1. スマホまたはデジカメのデータをパソコンに移す
  2. ツカエル写真は残して、ツカえないものはゴミ箱に入れる
  3. ツカエル写真にキャプションを入れる
  4. 写真をフォルダーに突っ込む

順を追って説明します。


1.スマホまたはデジカメのデータをパソコンに移す

スマホの場合は、USBのケーブルを使ってスマホとPCをつなげて写真データをフォルダーごと移しています。
スマホのメモリは2.3枚の写真を残してスッカラカンになります。
デジカメはメモリカードからデータをPCへ抜き取って完全に空にしています。

こうすると本当に気持ちいい!
スッキリしますよ。(^^)


2.ツカエル写真は残して、ツカえないものはゴミ箱に入れる

ぼけている写真、構図がイマイチの写真、たいして必要ない写真はすべてデスクトップ左上のゴミ箱に捨てます。
iPhoneの場合は、自動的に動画がセットで静止画に添付されているので、動画もすべて削除します。


3.ツカエル写真にキャプションを入れる

ここが一番大事なところ。
ツカエル写真にキャプションを入れます。
JPEGのナンバーになっているキャプションを日本語にするんです。

そのキャプションは下記のタグキーワードで構成されています。

  • 撮影した日にち 例)2024.11.16
  • 撮影した場所 例)銀座 上野 広島など
  • 撮影した商業施設 例)伊勢丹 イオン京都店 ルミネ新宿 丸井上野店
  • 撮影した店 例)プラザ キッチン212 セオリー
  • フレームワーク用語 例)オーケストレーション ディスプレイ構成 什器デザイン
  • VMD用語 例)VP PP IP ゾーニング 定数 定量 グリッド ネガティブスペース
  • その他のキーワード 例)みやげ店 家電 雑貨 コンビニ スーパー スペイン

1つの写真に対して、これらのワードを1角スペースを入れて下記のように羅列します。

例)2024.11.18 上野 丸井上野店 プラザ オーケストレーション PP IP 三角構成 雑貨

これでキャプション明記は完成、あとはひとつのフォルダーに放り込むだけです。

3.写真を探す時間が劇的に減る方法

こうして、ひとつのフォルダーに写真を放り込んだらどうなるか。
写真を探す手間が劇的に減るんです。

例えば、VMDの勉強会をあなたが行うことします。

「あしたは、みんなにオーケストレーションのよい例を紹介したいな」
「ハワイで撮ってきた写真にいいのがあったな」

と思ったら、写真を収納したフォルダーを開いて下記のよう検索窓に入力します。

「ハワイ」
「オーケストレーション」

すると、ハワイで参考になったオーケストレーション写真がすべて出てきます。(下写真)

「カラーが絞り込まれた店の写真を見せたい」

と思ったら

「ハワイ」
「カラーライゼーション」

と入力すると下のように写真が出てきます。

これを

「アパレルに絞ろうかな」

と思ったら

「ハワイ」
「カラーライゼーション」
「アパレル」

と入力し検索します。
すると下のようになります。

ここから「いいな」と思った写真を抜き取れば作業終了。
簡単です。

いかがですか。
スマホやデジカメの写真を面倒くさがらずにちゃんと整理していれば、あとあとタイパになるんです。

昨今ほとんどのセミナー講師が、セミナー前日に半日かけて写真を探しているのではないでしょうか。
私だったら1分で済みますよ。(^^)

4.ポイントはVMD用語とフレームワーク用語

写真のキャプションは長くなっても大丈夫。
思いつくまま、どんどん単語を入れましょう。
このやり方は、データにタグを付けるのと同じなんです。

売場塾生は特に、タグとして「フレームワーク用語」を入れるといいです。
フレームワーク用語はいわゆるVMDの型を表す単語です。
55あり、
・ディスプレイテーマ設定
・スペーシング
・フロアレイアウト
など多岐の用語に分かれています。

売場塾のテキスト巻頭にはフレームワーク用語の表があり、どのページでどの用語を解説しているか明記しています。
キャプションに「スペーシング」と書き込むと、スペーシングに長けた売場写真を見つけることができ、それを見ながらテキストの該当ページを紐解くと、効果的な復習になります。

フレームワークにつきましては、売場塾のメソッドになっているので、下記を参考にしてください。
●フレームワーキング(R)

売場塾受講していない人は、単純に VP PP IP とか 三角構成 リピテーションなどを検索語とすればいいんですが、用語の引き出しが少ないと効率は下がります。

例えば、「オーケストレーション」という用語を知らなければ、「壁面のきれいなディスプレイ」または「PPとIPが一緒になっている壁のディスプレイ」などと検索することになります。

これでは写真すぐに出てこないですよね。
専門用語をたくさん知ってボキャブラリーを増やす努力をしてください。

5.写真でショップスタッフを理解させる

キャプションによる写真整理の利点はまだあります。
本部のVMDインストラクターがお店のスタッフに売場づくりを教えるのに一役買います。

本部のインストラクターの方は、店から写真を送ってもらって売場やディスプレイをチェックしています。
その時、下記のようにテキストで、報告シートまたはメールに書き込んでいると思います。

A「壁面カセットのMDテーマが2テーマになっているので1テーマにして下さい」
B「オーケストレーションのキャッピングをシンメトリーにして下さい」

※キャッピングとは

その時に、参考写真を添付してあげると、現場スタッフは理解しやすくなります。
Aの場合ですと、1カセット1テーマの写真と1カセット2テーマの写真を添付するといいです。
Bの場合ですと、キャッピングがシンメトリーになっている写真を添付するとよいです。

Aの場合ですと、検索窓に「カセット」を入力するだけ、
Bの場合ですと、検索窓に「キャッピング」を入力するだけで写真が出てきます。

私の場合はさすがに22年VMDの会社やっているので、写真は1万枚以上保存しています。
キーワード検索すれば、すぐに該当写真は出てきます。

コンサル契約したクライアントにアドバイスするとき、よく参考写真を送っています。
国内よりも海外で撮影した写真が多く、惜しみなく送っています。
分かりやすいと好評です。

6.キャプション整理テクは趣味にもツカえる

実は、こうしたキャプション整理テクニックは、日常のプライベートにも活用できます。

私は、お菓子や飲み物が好きなので、買って食べたお菓子・弁当・パン、飲んだワイン・ビール・コーヒー・紅茶などはすべて写真にキャプションを入れて整理しています。

このことは、下記ブログでも紹介しました。
●買うのにわかりにくい商品をどうVMDでわかりやすくするか

ワインとビールは上記ブログにある通り、ワインブックとビールブックを作って整理しています。
他の飲み物やお菓子は、VMD写真整理と同じで、キャプションを書いてフォルダーに放り込んでいます。
下記の様な感じです。

試しに「クリスマスケーキ」で検索してみましょうか。
こんな感じで、今まで買ったクリスマスケーキが出てきます。

キャプションには、下記のような感想が書かれています。

「味がはちみつやクリームなど幾層にもなっている」
「レーズンがたっぷり入っていて食べ応えあり」

これを参考にすれば、クリスマスケーキを買う時ハズレも少なくなります。

コーヒーに関しても同様です。
コーヒーは見た目よりも味と香り、産地が肝心なので、大いに買う時の参考にしています。
今はいろいな店のマンデリンを飲み比べています。

 

いかがでしょうか、写真整理テク。

面倒くさがらずに習慣化すれば、あなたの貴重な宝になりますよ。
ぜひトライしてみてください。(^^)

なお、キャプション写真を使った店舗スタッフトレーニングや教材制作などは、売場塾「VMD教育指導講座」でみっちり教えています。
興味ある方はぜひお越しください。(^^)
オンライン講座も併設しています。

●VMD教育指導講座

※今回の関連ブログリンク

●テーマハンティング型店舗視察
●日常からVMDの法則をつくる方法

(vmd-i協会事務局)

スターバックス店舗

VMDをサービス店物販コーナーに生かして売上を上げる方法

0.サービス業のVMDとは

今回はサービス業のVMDについて論じたいと思います。
サービス業とは、下記のようなお店です。

  • カフェ
  • レストラン
  • ヘアサロン
  • 整体院
  • フィットネス
  • 歯科 etc

食事を提供する店もあるし、施術を提供する店などがあります。
病院もサービス業のひとつと考えます。

VMDは物販店だけの技術だと思われがちなんですが、サービスという無形商品を売っているお店にも応用が利くんです。
VMDは店内・院内の物販スペースの売上強化にとっても有効なんです。

事実、上記のお店のVMD担当がたくさん売場塾には来ていまして、そのノウハウを持ち帰って、物販の売上を伸ばしています。

まずはカフェの物販スペースの話をします。

1.スターバックスは物販が20%の売上

みんなが利用しているスターバックス。
スタバはカフェだけでなく、心地よい空間を提供しています。
「第三の場所」というコンセプトだけあって、いつもくつろげますよね。

そんなスタバの「売場」を見たことがありますか。
下記のような「コーナー」になっています。

スターバックスの物販コーナー

この物販コーナーの売上って、全店舗売上の20%あるんです。
つまり、お茶を飲みに来るだけではなくて、コーヒー豆やタンブラー、マグカップやドリッパーなどのモノを買う人もたくさん来ているんです。

スタバだけでなく、ドトールコーヒーやタリーズも物販コーナーがあって、それなりに売上を上げています。

詳しくはドトールコーヒーの売場塾生を取材した記事を読むとよくわかります。
●郡司由紀さんインタビュー

また、ヘアサロンではカウンターの近くに物販コーナーを設けてヘアケア用品を販売しています。
主にシャンプーやリンスなどですが、これらも店の売上に貢献しているんです。
例えばアヴェダというヘアケア用品メーカーの提携ヘアサロンでは、アヴェダ製品の売上がヘアサロン全体売上の30%ある店もあります。

アヴェダの物販スペース

コーヒーにしてもシャンプーにしても、普段使いの消耗品です。一度気に入っ商品だったら、毎回買い足すことになります。
スタバのコーヒー豆がおいしかったらそのまま買い続けるし、シャンプーやリンスが髪になじんで気に入ったら使い続けるでしょう。

同じように、整体院では枕やクッション、サプリメントやハーブティーを売っていますし、歯科では歯ブラシ、歯間ブラシ、歯磨き粉、デンタルリンスを売っています。
フィットネスジムでは、プロテイン、サポーター、ウエアやバッグなどを売っています。

これらの商品も、ヘアサロンと同じように継続して買う消耗品がメインなので、リピーターが獲得でき、店の売上拡大に貢献します。

 

2.VMDをどのようにサービス店舗は導入すればいいのか

売場塾のフレームワークを使って、あなたの店の物販スペースを高収益にしましょう。
下記のフレームワークが有効です。

●売場をつくる
・GPグランドプレゼンテーション
・什器レイアウト
・什器デザイン
・導線

●ディスプレイをつくる
・PPとIP
・AP

●POPをつくる
・POP編集
・POP制作

それでは3つの項目ごとにお話しします。

3.売場をつくる

「売場をつくる?すごく当たり前じゃん」とあなたは思うでしょう。
「バカにするな!」かもしれません。

しかしほとんどのサービス店・・・それがフィットネスであれヘアサロンであれ・・・売場があると来店客が気づくことは稀です。
こんな風に商品を置いていませんか?

  • 商品を店内の開いているところに分散して置く。
  • とりあえず会議室テーブルの上に置く。
  • 段ボールが積んである在庫置き場にラックを置き、そこに商品を並べる。
  • 待合室から見えない奥の奥にラックを置き、商品を並べる。
  • カウンターの空いているところに商品を山積みする。
  • 飾り棚にPOPもプライスカードも付けずに、造花といっしょに商品を置く。

これだとお客様はただ通り過ぎるか、「在庫置き場があるな」としか思えません。
つまり、売場だと思っていないんです。

それ以外でも、売場の立地の悪さも物販売上に影響します。
私の経験でお話しします。

ある歯科医では、歯ブラシなどの口腔ケア用品がガラスケースにて展示されていました。
しかし、入口の自動ドアの横にそれがあるため、見ようと思っても立ち止まることができません。
自動ドアは開いたままになってしまうからです。
客の出入りがあるため、そこでじっくり商品を見ることができません。

また、ある歯科医では、口腔ケアグッズが支払いカウンターの右にありました。
そのカウンターには二人、受付が立っていました。
20客ほどの待合椅子はそのカウンターの方向に向いています。
そんな状況下、椅子から立ち上がって売場に行き、待合客の目線を浴びながら商品を見る勇気ある人は誰もいませんでした。

試しに私がそれをやってみましたが、カウンターの女性も気になり、とても緊張しました。
とても買い物する気にならなかったです。

こんな問題は下記のフレームワークで解決します。

  • グランドプレゼンテーション
  • 什器レイアウト
  • 什器デザイン
  • 導線

グランドプレゼンテーションとは、「目立つようにコーナーのデザインを一体化させる」ことを言います。
ニトリでカラーボックスを買って待合スペースの空いたところに置くだけでは、やはり在庫置き場にしかなりません。

●グランドプレゼンテーションとは

売場だと一目でわかる目立つコーナーを作るには、待合スペースとカウンターの位置も含めてレイアウトし直す改善が求められます。
そもそもお店を作るときに、施工会社にすぐ丸投げせず、入口から客がどのように入ってカウンターに行き、待合い椅子に座るか、導線ストーリーをプランしなければいけなかったのです。

「いやもう無理。お店出来上がっているからカウンターは動かせない」
のでしたら、下記のように売場の什器レイアウトを施して下さい。

  • コーナー型 ・・・店内の入隅に什器をL字に置く。
  • アイランド型 ・・・テーブル什器を置き、テーブルをぐるり客が回れるようにする。
  • 柱型 ・・・柱を利用して棚をつくり、柱の上に商品展示を設置する。
  • 通り化型 ・・・受付に行く通路の左右に販売棚をつくる。
  • 什器デザインはすべて統一し、ありあわせのカラーボックスでデコボコにしないこと。
  • 待合客や受付の目線が直接届かないところをコーナーとして選ぶ。
  • 必要なら植栽や衝立で売場を半遮蔽する。

なども留意してください。

4.ディスプレイをつくる

これも「当たり前だろ!!」と、ヘアサロンのあなたは思うかもしれないんですがただ商品を置くだけではいけません。
今のままだと、商品が棚に置いてあっても売り物だと客は思わないんです。
単なる「インテリアディスプレイ」としか思わず、売っている商品だと気づきません。
こんな風になっていませんか。

  • 店主はバリ島の置物やアタ小物が好きなのでしょうか、そのディスプレイの中に売り物のシャンプーが混じっている。
  • 子供が学校の習字で花丸取れたので、それを美容室のウインドウにディスプレイする。その下にはヘアケア用品が置いてある。
  • カウンター後ろにシャンプーとリンスを等間隔で並べただけで、何のPOPもない。しかも、商品が小さすぎて商品ラベルも読めない。
  • カウンターの隅に商品を積んでおく。

このように商品を陳列している、展示しているとは思えない佇まいになっていませんか。
売場は「在庫置き場」と化しているんです。

ディスプレイはPPとIPという種類を知りましょう。
PPはポイントプレゼンテーションと言って、展示のこと。
IPはアイテムプレゼンテーションと言って、陳列のことです。

●VP,PP,IPとは

PPは、商品をそのまま棚に置くのではなく、下記のように置いてください。

  1. 展示台を用意
  2. 展示台に商品を載せる
  3. 展示台に商品説明POPを載せる、または展示台と一体化したPOPを作る

イメージ的には下記写真のような感じです。
このように、展示台・商品・POPが一体化した展示物をAPアーティクルプレゼンテーションと言います。

ビックカメラのディスプレイ

そのまま商品とPOPを置かずに、展示台を用意しPOPと一体化して商品を見せないといけません。

なぜなら口腔ケアもヘアケアもサプリメントも説明POPが必要です。
ただ商品を置いただけでは、商品の持つ効果・効能がわかりません。
しかし、POPを商品の横に置いただけだと、どのPOPがどの商品を指しているか分からなくなります。
また、展示物とわかるように置かないと、客は商品を持って行ってしまいます。
すると残ったのはPOPだけになってしまいます。

APの横に陳列商品をたくさん置くことによって、陳列と展示を視覚的に区別させるのです。
例えば、下の手帳を見てください。

ロルバルーンのディスプレイ

「旅するロルバーン」は展示台・POP・と商品が一体化されたAPになっているが分かります。
展示台の下に陳列商品があります。
展示と陳列が段差で明確になっているので、客は展示台の商品は取らずに下の陳列物の中から好きな手帳を取ってレジに行くことになります。

あなたの店で物販している商品も、このように展示と陳列を区別して置くと、お客様は買いやすくなるのです。

●APとは

5.POPをつくる

POPを置く。これも当たり前なんですが。(笑)
しかし前述のように、POPなしで商品を素置きにしているお店は多いです。

フィットネスにしても、ヘアサロンにしても、売るアイテムはドラッグストアやスポーツ用品店に置いてある商品とあまり変わりません。
それら店舗は、メーカーのPOPがたくさんついています。
テレビCMでお馴染みのタレントの推奨や、商品の効果・効能を謳っています。

これら化粧品やサプリメントは、スイーツや服と違って「見た目で買わない商品」なんです。
いくらパッケージデザインがきれいでも、自分の髪に合うのか、摂取して健康にどんな効果があるのか分からないと買わないですよね。

なので、絶対説明POPが必要なんです。
先ほど言ったように、展示品と展示台と一体化させたPOPを作りましょう。

またメーカー持ち込みのPOPもよいのですが、自分の店の言い回しに変えることをおススメします。

ある時、肩が凝ってしょうがない私は整体院に行きました。
待合室に座っていると、テーブルの上に黒いイガイガがありました。
POPには、それを肩やアタマに使うとすごくラクになると書いてありました。
さらに、寝る前にこれで肩をマッサージするとよく眠れる、と院長の推奨がありました。
そのコピーは、寝つきが悪い私の琴線に触れました。
そしてそれを買ったのです。

タイミングもあると思いますが、整体院の先生が手書きでつくったその商品POPは説得力ありました。
このように、POP制作の際は貴店の言葉で綴ったオリジナルなものにすることをおススメします。

次に行うのは、POP編集。
売場コーナーだとわかるように什器レイアウトし、商品を展示・陳列したら、POPでコーナーパネルをつくってください。
●●コーナーという名称でも、●●カウンターという名称でも構いません。
つまり、コーナー名を大きく掲示するんです。

できれば、単に言葉だけではなく、演出パネルもつくった方が魅力的に見えます。
サプリメントコーナーだったら、女性がジュースを飲んでいる運動後のシーン、
口腔ケアだったら、白い歯の女性顔写真などをパネルにして、コーナー名の下に掲示するんです。
すると、遠目からコーナーが目立ち、来店客や待合客を売場に誘導できます。

POPは商品を説明する他に、コーナーデザインとしての役割も発揮できるので、ぜひPOPで売場を編集してみてください。

6.まとめ

だいたい分かりましたでしょうか。
VMDによるサービス店舗の物販活性化。

売場塾にサービス店舗のVMD担当がたくさん来る理由はこれでした。
VMDを習って店内に物販スペースを正しくつくり、売上を35倍にした例もありますよ。

また、卒業生の福島翔平さんは歯科物販卸のVMDインストラクターになって、数々のお得意先歯科医の物販業績を上げています。
詳しくはYOU TUBEで歯科医向けVMDチャンネル持っているのでご覧ください。

●福島 翔平さんのYOU TUBE

自店の物販の売上を上げたい方、商品を提供しているメーカーや卸の方、興味ありましたら、ぜひセミナー、説明会にお越しください。
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(VMDインストラクター協会事務局)

北千住駅

日常からVMDの法則をつくる方法

1.北千住の商店街のブランドサイン・POP

今日は、我が街、北千住散策です。(^^)
北千住の通りを歩きながらサインの法則を考えました。

このブログを読み終わった後は、日常生活からいかにVMDの法則を作り出すか、わかると思います。

さて最近、人気の街として注目されている北千住。
駅から降りると、魅力的な商店街が縦横無尽に広がっています。
北ロード、宿場町通り、本町商店街などと名前がついています。

商店街は洒落たお店やカフェがたくさん。
近年大学が5つでき、、若者が闊歩しているキレイな街になっています。
駅には大型商業施設も丸井やルミネが隣接、ファッションやグルメのハブになっています。

北千住はもともと江戸時代の宿場町であり、ところどころに歴史が残っていて、名所目当てに散策するのにも適しています。

この間、郵便局にオンライン売場塾の教材を届けてから、ぶらりと街を歩きました。
すると、サインの目立つ通りと目立たない通りがあることに気がつきました。

ここでクエスチョンです。下の写真を見てください。
どちらの商店街が印象に残りますか。

商店街サイン街比較1

今度はどうですか。

商店街サイン比較2

最後に3つ並べてみます。
今度は3つの商店街のフラッグに注視してください。

商店街サイン比較3

これでわかりましたね。
そう、本町商店街→宿場町通り→サンロードの順に、フラッグが景色の中に目立って見えます。
サインの印象度が違うんです。

商店街サイン比較4

そんなわけで、その日は郵便局と昼飯の買出しに行ったのに、商店街サイン比較をしながら40分商店街をぶらついているのでした。

2.サインの見やすさは視認性・誘目性・可読性で決まる

サンロードのサイン

どうしてサンロードのフラッグが見やすいのか?

それは、視認性、誘目性、可読性に優れているからです。
3つのフラッグデザインを比較してみましょう。

商店街フラッグデザイン比較

●視認性

視認性とは、風景の中でサインやPOPが目に入るか?ということです。
サンロードを見ると、黄色い旗がリピートしているのがわかります。
宿場町通りを見ると、赤い旗がリピートしているのがわかります。

一方、本町商店街はまったく旗がわかりません。
風景の中に溶け込んでいます。
なぜかというと、同じデザインがリピートしていないからです。
もうひとつは、デザインが細かいからです。

本町商店街のフラッグは黄色い矢印の先にあります。
これでも文字は読めないし、絵もわからないですよね。

千住本町商店街のフラッグ遠景

●可読性

可読性とは、文字が読みやすいということです。
本町商店街のフラッグの絵を拡大してみました。
住民参加型のこのデザイン、とても意義はあると思います。
でも実用的かというとそうではありません。
絵が細かすぎて遠目にはわからないです。

特に左の富士山の下の「千住本町商店街」近くに来ても全く読めないです。
つまり可読性が著しく低い。

一方、サンロードはフラッグの上に「サンロード」のサインが別建てで付いています。
文字も濃い緑に白抜き文字になっていてバッチリ読みやすいです。
黄色い旗で通行人の目を引き、その上の文字が目に入るようにしています。

宿場町通りのフラッグは近くで見ると読みやすいのですが、遠くから見ると漢字が読みにくいです。
これは勘亭流という太いフォントを使っている上に、白抜きの袋文字になっているからです。

●誘目性

誘目性とは文字通り目を誘う色のことで、黄色や赤がそうです。
踏切が黄色と黒だったり、信号が赤だったりするのは、通行者に注目させるためです。
サンロードのフラッグがどうして目立つかというと黄色だからです。
補足すると、黄色は有彩色の中で最も明るい色であり、暗い背景とコントラストがつきます。
写真を見ると、フラッグの背景は電柱や店のひさしが多いです。
それらはグレーや茶色のダークトーンなので、明るい黄色がより目立つということです。

一方、千住本町商店街のフラッグデザインは、いろいろな色を使っていて、遠くから見ると「濁色」になっています。
その背景も店の看板、電柱、ひさしなどがゴチャゴチャひしめいているので濁色になっています。
つまり濁色の背景に濁色のフラッグが配置されているので、ますますその存在は皆無になっています。

●同じデザインがリピートしている

実はもう一つ付け加えたいのがリピートです。
サンロードと宿場町通りのフラッグは同じデザインのリピート(繰り返し)でした。

ところが、千住本町商店街のフラッグは下写真のように、ひとつひとつ違うデザインでした。
違うデザインが等間隔に繰り返し並んでいても、デザインが違うのでリピートしているように見えないのが難点でした。

千住本町商店街のフラッグ

3.事象をどう自分の理論にするか

どうですか。
私が郵便局に行った帰りに見つけたサインの法則。
「そんなことは、看板屋さん知っているよ」とあなたは言うかもしれませんが、それは暗黙知(言語化されていない知識)として知っているということ。
コンサルタントはきちんと理論化し証明された形式知にしなければいけないのです。

私たちVMDのコンサルタントは、売場づくりの型がアタマの中に入っているので、なにげなく見た商店街の風景でも、型を使って法則を発見することができるんです。

で、VMDインストラクターのやることは、日常出くわした事象をVMD理論に昇華させるということです。

「商店街のサインの視認性、誘目性、可読性のフラッグの違いはわかった。
これは我が店舗のPOPに応用できるな」

とか

「この3つの法則は、店の看板を有効に設置するのに役立ちそうだ」

とピンとくるでしょう。

そして今度は「目立つPOPをテーマハンティングしよう」ということで、カメラ片手に次なる事例を撮ってみるんです。

北千住マルイの告知POP

「丸井のレジ、赤い誘目性あるPOPは目立つなあ」とか

イオンマリンピアPOP

「マリンピアのクリスマス告知POPは左は目立たないけど、右は目立つ」とか

グランドオープンの誘目性ないデザイン

「グランドオープンの告知POP、まったく目立たない。視認性、誘目性、可読性がないからだ」

などと眺めて写真を撮ってケーススタディを積み上げていきます。

そうしてケーススタディで蓄積した写真を眺めて、POPの法則に進化させるんです。
例えば下記です。

●セールやキャンペーンの告知POPは以下を守ると通行人によく目立つ。

POPの配置は、

  1. 同じデザイン
  2. 同じサイズ
  3. 同じ高さ
  4. 同じ間隔

で最低3回はリピート配置し、

POPの制作は

  1. 視認性
  2. 可読性
  3. 誘目性

を意識してデザインすればよい。


という理論をつくってみます。


一旦つくった理論は、あなたの店で試すとよいです。
セールやキャンペーンの時に、上記理論を守ってPOPを制作してみるんです。

すると、今までサイズの違う告知POPをレジ下や壁の空いているところに貼るなどしていた欠点が払しょくされ、「あれ、なんだかセール告知がわかりやすくなった」と実感するでしょう。

そして、自社チェーン店を臨店指導したときなどは、上記の理論をスタッフに言って聞かせ、やって見せるんです。
その結果、店舗スタッフに法則の効果を実感させることができます。

4.セレンディピティを発見しよう

フレームワーキングとは、VMDの型をつくって型を使うことを言います。
それは当社VMDコンサルのメソッドにもなっています。

●フレームワーキング(R)

当社が普段クライアントや売場塾受講生に教えているVMDの型の原点は、こんな風景から出来上がってくることが多いです。
それは、何気ない風景をひとつの事象と捉えるセレンディピティに他なりません。

セレンディピティとは「偶然の発見」という意味で、外国の寓話に出てくる言葉です。
ある国の王子が道の片側の草だけ減っていることに気がつきます。
そして「先を歩いているロバは片目である」と結論付けました。
実際に片目しか見えないロバは、見える方の目で草をはんで歩いていたのでした。

あなたの売場を見てください。
何か発見するものがあるはず。

他のお店も見てください。
何かピンとくるものがあるはず。

それはお店でなくてもよいです。
デート中の遊園地、動物園。
週末の映画館や美術館。
朝読む新聞の中、好きなマンガの中。
どんなところにもセレンディピティは潜んでいます。

そしていつでもセレンディピティは発見することができます。
あなたが感覚を研ぎ澄ませば、です。

VMDインストラクターの方は、ぜひ日常から売場づくりの法則を発掘してほしいです。
売場塾の法則は55ですが、それが70にも100にもなりますよ。(^^)
ぜひあなたのお店の役に立つ法則を構築してください。
期待しております!!


なお、関連記事はこちらをお読みください。

●VMD理論のつくり方と活用の仕方

●店舗視察の仕方

●アバレルVMDはセレンディピティ

(vmd-i協会事務局)

テーブルディスプレイ

ディスプレイ布の美しい敷き方

0.はじめに

今回は、ディスプレイ布の美しい引き方についてお話しします。

街中のウインドウやお店のテーブルディスプレイに布が使われていますよね。
大半は、テーブルクロスみたいに使っています。

ドラッグストアのディスプレイ悪い例

ドラッグストアでは、こんな感じで展示物に布を敷いています。
でもキレイでないケースも多々見受けられます。

下記は過去の売場塾のワークショップ作品なんですが、やっぱり布の敷き方、工夫していない人多いかな、と思います。
テーブルにふわっと掛けるだけでは、しわも寄るし、リムやドレープも汚く見えてしまいます。

ディスプレイ授業作品悪い例

今日は、美しい布の敷き方についてお話しします。

1.布はレイヤーする

敷き布がレイヤーされていないディスプレイ

まずは上の写真を見てください。
テーマは「贈り物」だったと思いますが、赤い布が敷かれています。
でも敷き方は何の変哲もない、テーブルクロスのような感じ。

敷き布がレイヤーされているディスプレイ

次に上の写真を見てください。
ちょっとした変化が生まれています

中央に金色の布がライナーのように敷かれています。
なんだかアカデミー賞授与式のじゅうたんみたいですよね。

このように、2枚以上の布をクロスすることをレイヤーと言います
オシャレな人はTシャツ2枚をレイヤーしていますよね。
それと同じです。

1枚だと、ただのランチョンマットもしくはテーブルクロスだけど、2枚以上レイヤーするとディスプレイがおもしろくなります。

おもしろい、というのはinterestでして、funnyではないことに注意してください。

2.ただふわりと掛けただけでは趣は出ない

ここでinterestを趣(おもむき)と解釈しましょう。
アートは趣があったほうがおもしろいんです。

敷き布の敷き方の悪い例

上の写真aを見てください。
布ではないんですけど和紙を1枚ふわりと掛けただけの写真です。

ディスプレイ敷き布のよい使用例

次に写真bを見てください。
和紙を2枚レイヤーしたディスプレイです。
青い和紙とピンクの和紙を使っています。

a,bどちらの方が趣ありますか。
そう、bですよね。

どうしてbの方がおもしろいかというと、変化があるからです。
その変化を細かく言うと下記です。

  • 青い部分とピンクの部分が見える
  • ピンクの和紙は波打っている
  • ピンクの波と桜の枝はテーブルをタテに横切っている
  • 青い和紙も裾がやや波打っている

一方、aのディスプレイは、

  • ふわっと和紙をテーブルにかぶせていて、ところどころ盛り上がっている
  • 桜の枝はテーブルに対して横に置かれている

こんなところでしょうか。

a,bどちらも和紙の軽くて淡い質感、ザラメのつぶつぶ感はします。
でも、bのディスプレイの方が、リズム感があります

リズム感とはなんでしょう?
aのディスプレイは、ボワッボワッという感じのリズムですが、bのディスプレイはサラサラ、サラサラと川が流れているような感じがしませんか。

向こうからピンクの波が押し寄せてきていて、手前ではそれが青に変わって波は収まり静寂が訪れる・・・。
しかも、その波に呼応するかのように桜の枝が、波の波紋に添ってリピートしています。
ちょうどピンクと青の境目に桜の枝が来ているので、奥から手前に色がグラデーションしているようにも見えます。

このディスプレイに音を重ねると、向こうから

  • ザザザー ときて、
  • チョロ、チョロ に変わり、
  • ピチョン という音に最後は変化しています。

このリズムの変化をおもしろくしているのが、和紙のレイヤーと言えるでしょう。

売場塾では、ハーモニゼーションとかオーケストレーションとか、音楽の名前の付いたディスプレイスキルを教えていますが、まさしくディスプレイは音楽なんです。
リズムを感じさせるディスプレイ、それが趣のあるディスプレイなんです。

3.どのようにレイヤーを考えればよいのか

さて、レイヤーのつくり方をお教えします。
まずは二つの和紙の重ね方をリハーサルするといいです。
テーブルに商品を載せる前に、どのように和紙を重ねるのか、推敲するんです。

推敲とは文章を寝るときに使う言葉なんですが、私はディスプレイをつくる時にも使っています。
創作や造作、制作などの言葉は似合わないからです。
「考えながらつくる」
まさに推敲なんです。

推敲は下記の2つを念頭に置くといいです。

●構図的なポイント
・重ねる範囲(オーバーラップ)
・敷く向き(グリッド)
・構造線(リニアスキーム)

●テクニック
・ドレーピング(ドレープさせる)
・タッキング(タックを入れる)


まずは構図的なポイントの3つを念頭に入れながら、最低5つ以上は構図を考えましょう
慣れてくれば、テクニックを使ってタックやドレープも取り入れて推敲します。
ディスプレイは三次元ですが、下に敷く布は絵のように二元的に考えるので、この場合は構成ではなくて構図になります。

A,B,C,D4つの敷き布の構図

試しにAからDの、4つ作ってみました。
どれがよさそうか、吟味しましょう。

ディスプレイABの構図

AとBはタックでつくった三角形を取り入れた構図です。
・重ねる範囲はAは大きめ、Bは小さめです。
・敷く向きはAはピンクの右を下げていて、Bは折り畳みの底辺を下に設けています。
・構造線は、Aは左下に角が向かうようにつくり、Bは右上に角が向かうようにしました。

CとDはタックを入れた四角形を組み合せた構図です。
・重ねる範囲はどちらも半分弱にしました。
・敷く向きはCはピンクが上から、Dはピンクが左から斜めに入るようにしました。
・構造線は赤いライン。ピンクの中央に2.3のラインが入るようにしました。

次に展示する食器やプロップスをどこに置けば、効果的な構図ができるか推敲します。
実際に食器とプロップスを置いてみてください。
その際には、構造線(リニアスキーム)を考えながら置くといいです。
結果、採用したのはBとDでした。

Bは上のディスプレイになりました。
もみじ饅頭ディスプレイです。
三角形の部分に桜の枝を入れました。
ブーケで包んだような、おもしろい構成になりました。

敷き布のよい使い方事例

B,Dとも使ったテクニックはタッキングでした。

三角形のテーブルディスプレイの構造線
ディスプレイのまっすぐな構造線

B,Dに構造線を入れる上になります。
Bは三角形を丸く囲うようにコーヒーカップとお菓子を配置しました。
推敲の結果、青とピンクは逆にし、三角形の方向は左上に変えました。

Dは前述のようにさざ波が川下に流れてくる構造線になっています。

こんな感じで、構図とテクニックを駆使して推敲してみてください。

ちなみに、一番上の写真はDに借景を取り入れたものです。
床に波をイメージする布を敷いてみました。
ますますおもしろいディスプレイになりました。

4.構図が複雑になると解釈は多様になる

生八つ橋のディスプレイ

今度は、先ほどのBとDの構図をミックスしたディスプレイを紹介します。
お菓子は生八つ橋にしました。

これをどう解釈するかはあなた次第。
ディスプレイは見る人にとって趣がありおもしろければいいんです。

私の見立ては左から来た川が、やがては滝となってドドーッと右下に落ちていくような様です。
だから一番目が行きつく先は右の生八つ橋になるんです。
三角形が矢印のようになって私たちの視線を導いてくれるからです。

生八つ橋のディスプレイの構造線

構造線を入れると上になります。
三角形と直線に丸が加わり、より複雑になっています。

ディスプレイ鑑賞も絵画鑑賞と同じだと考えてください。
実際、絵画や写真と同じようにディスプレイも複雑な構図から成り立っているんです。
複雑ながらもリズムを感じるから心地よいんです。

テクニックとしては、タッキングの他に相似形を使いました。
皿の上の生八つ橋を見てください。
三角形が三連続していますよね。

生八つ橋

生八つ橋の三角形も考慮して構造線を入れましたのが下記の写真です。
いかがですか。
三角形が8つ繰り返しているのがわかります。
これを三角形の相似形と言います。

人は同じものが連続しているとリズムを感じるんです。
街頭の電柱、ハイウェイの照明、天井の蛍光灯、教室の机・・・。
どれも同じカタチがリピートしていますよね。
これが人間には心地よいんです。

リピートしているもみじ饅頭ディスプレイ

5.まとめ

だいたいわかりましたか。
布ものの美しい敷き方。

構図とテクニックを駆使すれば、個性的であなたらしいディスプレイができるんです。

とはいえ、最初はシンプルにレイヤーしていくといいです。
アーチスト気取りで、いきなり複雑なレイヤーにすると失敗します。

レイヤーのある敷き布

まずは先ほどのこんなディスプレイから始めてください。
慣れてきたら、時と場合によって複雑なアート表現をするといいです。
画家やカメラマンと同じように推敲してください。

私は、ここ10年間、コーヒーを飲むときに毎週違うテーブルディスプレイを作っていて、早や1000回になりました。
こんな風に日常にディスプレイを取り入れれば、本番でも苦になりません。
インスピレーションはいつもひらめくようになります。

参考に下記のブログも読むと、ディスプレイの構造がますます理解できます。
時間あったらディスプレイの知識深めてください。

●リニアスキームと三角構成

●どうして上から見て三角形にするのか

●リニアスキームの種類


また、ディスプレイのスキルもっと得たい方は、9/26のセンスアップセミナー「展示と陳列の法則」にぜひご参加下さい。
実際にディスプレイをつくっていただくオンラインセミナーです。

●9/26(木) 11時開催「展示と陳列の法則」

●毎月やっているディスプレイ・オンラインセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)