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英会話学校のブース

VMDでイベントブース・販促ブースに客を集める

0.イベント・販促ブースにも役に立つVMD

皆さんは、VMDというとお店の集客をアップさせるノウハウと思っていませんか。
VMD、実はイベントブースや販促ブースにも役に立つんです。

ショッピングモールや駅ビルでよく見る勧誘ブース、例えば

  • クレジットカードのデモブース
  • 酒メーカーの試飲ブース
  • プロバイダーの勧誘ブース
  • スクールの勧誘ブース
  • ケータイショップのデモブース

などなど、イベント販促ブースのVMDは、道行く人を捉える貴重な技術となるんです。
「なかなかお客様がブースに寄ってくれない」とお困りの販促関係の方は、ぜひVMDによる集客のコツを掴んでください。

そのコツは下記の4つです。

  1. 見通しとブランドサイン
  2. GP(グランドプレゼンテーション)
  3. ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ
  4. POP編集

ひとつひとつ解説していきます。

1.見通しとブランドサイン

駅ビルやショッピングモールのコンコースに設けられたところに必ずあるのが販促ブース。

よく見るものに商業施設のクレジットカードがあります。
ルミネカードやイオンカードなどよくやっていますよね。
単独のクレジット会社だとVISAやアメックスなどもよくやっています。

また、施設にオープンする料理教室や英会話学校の勧誘ブースなどもよくあります。
家電店のフロア・メイン通路にはプロバイダーやケータイキャリアのブースもお目見えしています。

ブースの形態はパラペット型の展示会ブースや机を並べただけのブースなどさまざまあります。
これらのブース、15m離れて見てください。
何をやっているブースかわからないですよね。

次に10m、5mとだんだんブースに近づいてください。
それでも何やっているのかわからないですよね。

なぜかというと、ブースの見通しが悪いから。
ブースの見通しが悪い原因は下記です。

a. 商品ブランドサインが小さすぎるか、掲示されていない。
b. 取り扱い商品やサービスが書いていない。
c. ブースサインがパラペットに貼られているだけなので、横から来たお客様には見えない。
d. ブース前にスタッフが集まっているので、ブース自体がよく見えない。
e. のぼりが多数ブース前に立っていてブースの中が見えない。
f. 宣伝のポスターやPOPが小さすぎるて何が書いてあるのかわからない。

まずa.b.cについて解説します。

たとえブースが有名なクレジット会社やケータイキャリアでも、15m先の客が認識できるくらいに大きくロゴサインを掲示しないと遠目から何屋か分からないです。
ガソリンスタンド並みに遠くの客に大きく見えるように掲示しましょう。

ただ、ロゴサインがみんなに馴染みがない場合は、いくら大きく掲示しても何屋かわかりません。
例えば、和菓子の「雫」という商品ロゴをすごく大きく掲示したとします。
しかし、「雫」が地域で有名でないと何の商品か分からないでしょう。
線香かもしれないし、墓石販売かもしれません。
この場合は、商品ブランドロゴよりも、「あげまんじゅう」というアイテム名を大きく掲示した方が何屋かわかるんです。

図1 サインはコンコースに対して垂直に置く Before

しかも、掲示位置はコンコースに対して直角です。(上図) これではいけません。
コンコースに平行に掲示してしまうと、あちらから来る客に見えません。
T字路にあるブースならよいのですが、殆どの客はブースの左右から来ます。
なので、左右の客に向かって垂直にサインを置かなければいけません。
下図のようにします。

図1 サインはコンコースに対して垂直に置く After

dについては下図をイメージしてください。

客はどんどんブースに近づいてきます。
しかも、スタッフの人だかりでブース奥が見えにくくなっています。

図3 ブース前の人だかり

客らしき人が集まっているならにぎやかな雰囲気はしますが、販促スタッフだけが集まっていると、なんだか勧誘されそうな雰囲気まで感じられます。

そうならないために、販促スタッフだけでブース正面を固めないで、適度にブース周りに散って気軽に客に寄ってもらうようにしなければいけません。
数人が客のフリをしてブース内外をウロウロという形にしてもよいです。

でないと危険を察知しそのまま客はスタスタ歩いて通過してしまいます。

eとfは、4.POP編集のところで詳しく論じます。

例えば、私が広告会社に勤めていた時に英会話学校をクライアントに持っていました。
その学校は、書店店頭や駅前で数人の販促スタッフが道行く人をキャッチして入学いただくというプロモーションを展開していました。

英語の勉強をしていたものの、海外に行ったらなかなか英語が通じなくてがっくりとした経験が私にありました。
そこで8月の末に、海外に行ったが英語が通じなくてガッカリして帰った客向けに、下記のようなキャンペーンを提案しました。

「海外で英語が通じなかったあなたに朗報」
というキャッチフレーズをブースにでかでか掲示し、7回レッスン7,000円という格安の企画名を打ち出しました。

この学校、通常は高い授業料をとるのですが、このような魅力的なコピーをつくって、学校サインの下に掲示したのです。
遠くから来る人に見えるように、なるべく目立つように掲示しました。
結果はまずまずでした。
後で夏休み後よりも前の方が効果があるというのがわかったのですが、単に「英会話しませんか」みたいなキャッチよりも、こちらの方がインパクトある!」とクライアントも喜んでくれました。

従いまして、ブースの見通しがよいということは、文字がよく見えるということでした。
しかも文字が客にインパクトを与えるものならばなおさら近寄ってくれます。

具体的には下記のように文字を配置しましょう。(4.POP編集で詳細解説)

  1. 何屋かわかるようにサインを掲示する ・・・新聞の大見出しに相当
  2. 取り扱いサービスを掲示する ・・・新聞の中見出しに相当
  3. 何が客にとって得かベネフィットを掲示する ・・・新聞の小見出しに相当

2.GP(グランドプレゼンテーション)

グランドプレゼンテーションとは、遠くからブースがひとつのカタマリに見えるようにするデザイン的な技術です。

このGP、詳しくはこちらにも書いてあります。
メーカーのショップインショップによく使う手法です。

●メーカーの売場自体を広告にする方法

例えば、下の雪肌精とバーミキュラの売場を見てください。
ブランドコーナーとして一体化していますよね。
それは柱や壁といったコーナーを陳列、展示、サイン、POPを色で一体化しているからなんです。

写真1 雪肌精の売場GP

写真2 バーミキュラの売場GP

図に書くと下記のような感じになります。

図4 柱周りのブース

あなたのブースがせっかく柱ぐるりを獲得しているのに、左のPOP配置になるだけで、客はあなたの催事ブースがあること自体わからなくなるのです。
右のようにタテヨコのグリッドラインを合わせて、統一されたPOP配置にしてください。

例えば、下の写真はショッピングモールのハワイ土産売場。

写真3 ハワイ土産売場

什器上部分が赤い帯POPがレールのように敷かれていて、このゾーン全体がハワイ土産売りだとわかります。
丸いタイトル「the aloha shop」という売り場名も見えます。

3.ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ

ランディングゾーンとは、客が店前に気軽に寄ることができるゾーンを言います。

例えば、下の写真のドール売場例を見てください。
DFS内にあるドールのショップインショップです。

写真4 ドール売場とランディングゾーン

店頭左部分がマルシェのようになっていて、パイナップのぬいぐるみやパインチップスが積まれているのがわかります。
このマルシェぐるりをランディングゾーンと言って、客を立ち止まらせる地帯になっています。
「なんかやってんな」という雰囲気を持たせるゾーンで、左右、正面どちらからでもランディングできるようにつくってあります。

上の写真左側を拡大したのが下の写真です。
このマルシェの部分は「ウエルカムディスプレイ」といい、客の目に留まり集客するきっかけとなるディスプレイです。

写真4-1 ドールのウエルカムディスプレイ

実はショッピングモールのテナントで入りやすい店というのは、ランディングゾーンがつくってあり、そこにテーブルがVPとして置かれているケースが多いです。
下の化粧品ブースの売場を見てください。
矢印がウエルカムディスプレイになっていて、周りランディングゾーンになっているのがわかります。
文字通りウエルカムディスプレイは鳥が留まってくれる止まり木になってくれるんです。

写真5 ラリンのウエルカムディスプレイ

まとめとしてランディングゾーンの作り方を下図にしました。
ランディングゾーンにディスプレイを置きます。
物販なら商品を使ったディスプレイができますが、英会話学校やクレジット会社はモノはではなく無形サービスが商品になりますので、差別化された特徴をきちんと明記したPOPを置いてください。

図5 ランディングゾーンの作り方

英会話学校などは教科書がありますので、それらを置くのもいいし、生徒のTOEIC点数の伸び率グラフ、就職先外資系企業をPOPに掲示すると効果的でしょう。

ダメな例は、店頭に受付を置き、ブース奥のみに展示物やPOPを置くこと。
繰り返しになりますが、下記のように店頭にたくさんの販促スタッフが待ち構えていると、客は寄り付きません。

図3 ブース前の人だかり

VMDでいうところのVPをウエルカムディスプレイとしてテーブル展開し、受付はブースの奥に配置し、販促スタッフはブースから離れて待機すれば、客がブースに寄りやすい環境になります。

4.POP編集

POP編集とはPOPの位置を正しい位置に直すルールのことです。
先ほど話したGPと連動しています。
のぼりと壁面POPの直し方を例に挙げます。

a.のぼりの配置

図6 のぼり配置のコツ Before


上図を見てください、
ブースの前にのぼりが密集しています。
これでは遠くからブースの中が見えません。
ウエルカムディスプレイも見えなくなっています。

しかも、Aの商品とBの商品とでのぼりのデザインが違い、A,B入り乱れて置かれています。
これでは客にA,B両方の商品とも認識させることができません。

図7 のぼり配置のコツ After

今度はPOP配置を直しました。上図を見てください。
のぼりが通路沿いに等間隔で平行に置かれているのがわかります。
しかも、右からくる客にはB商品ののぼり、左から来る客にはA商品ののぼりがリピートしています。

こうすると右から来る客にはB商品、左から来る客はA商品を印象付けさせることができます。
しかもブースの見通しはよくなり、ウエルカムディスプレイも認識することができます。
のぼりは最低同じ商品のものを3連続で等間隔に置くようにしてください。

b.壁面POPの配置

図8 ブース集客のコツ POP Before

次は壁面POPの位置です。
上図を見てください。

ブース奥の壁面はこんな感じになっていませんか。
先ほどの柱周りのブースと同じような感じです。
チラシやポスターをただ貼っただけになっています。
これでは何も訴求することはできません。

先ほど述べたように、壁面を新聞の表紙と考えてください。
新聞には大見出しがあって中見出しがあって小見出しがあります。
それと同じようにPOPを配置します。
すると、ブースに入った人は奥に何があるのか一目瞭然になります。

例えば、英会話学校の勧誘ブースという感じで下記のように作ります。

図9 ブース集客のコツ POP After

5.まとめ

だいたいわかりましたか。販促ブースの集客の仕方。
下記4つを念頭に置いてプランしてください。
メーカーや施設販促部だけでなく、広告代理店や販促会社の方にも役に立ちます。

  1. 見通しとブランドサイン
  2. GP(グランドプレゼンテーション)
  3. ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ
  4. POP編集

VMDに興味がわいた販促関係の方は、ぜひ銀座のVMDセミナーにお越しください。
3か月に一度行っています。(^^)

●VMD売場づくりの基礎セミナー
●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

モデルの写真

演出POPでブランド空間を演出する

以前、このブログでPOPの種類は6つあるといいました。
商品・演出・告知・誘導・注意・案内の6つですが、今回はそのうちの「演出POP」について講義します。

※参考/POP6つの種類

1.演出POPとは

演出POPとは、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記の様なものが演出POPです。一つ一つ解説します。

●タレントのポスター 

タレントのポスター
  • 雪肌精の新垣結衣や大谷翔平
  • SKⅡの綾瀬はるか
  • CWXのイチロー
  • スカイナーの浅田真央
  • ソフトバンクの「お父さん」 etc

これらはテレビや新聞の広告と連動してることが多いです。
タレントをアイキャッチに、商品写真は小さめにレイアウトしています。
タレントが商品やブランドの推奨役になっています。
タレントのキャラクター性を商品やブランドに刷り込んでいます。

●モデルのポスター

モデルのポスター

下記の店内に掲示されているモデルのポスターがこれに当たります。

  • ユニクロのようなSPA
  • ルイ・ヴィトンのようなブランドショップ
  • ゼビオのようなスポーツ用品店
  • ヤマダ電機のような家電量販店
  • テンピュールのような寝具店 etc

これらの店ではモデルが商品を使用しているシーンが多いです。
服を着てゆったりした生活を送っているシーン、アスリートがランニングしているシーン、キャンバスでケータイを使っているシーンなど。
ライフスタイル、ステイタス、テイスト、トレンド、エイジなどを商品やブランドにスライドさせています。

●絵画・風景写真ポスター

絵画・風景写真ポスター

これはファッション店でよく見ると思います。
服と直接関係ない、海や山の風景、鳥や動物、都会の街並み、部屋のインテリアなど、風景を切り取った写真がフレームに入れて飾られています。
これは、服を着たシーンを切り取った一コマの場合もありますが、多くはブランドや商品の世界観を表している抽象的な写真です。
例えば、サーファーの店なら、ビーチや波のうねり、海の家、駐車場のオープンカーといった風景写真になります。

また、インテリアディスプレイと呼ばれるもので、スターバックスにあるような絵画フレームも演出POPです。

  • コーヒー店、レストランなどの額縁
  • 保険ショップ、ブライダルショップなどの壁面の額縁
  • ヘアサロン、マッサージ店などの壁面の額縁
  • 百貨店、ショッピングモールの待合いスペースの額縁
  • 歯医者や耳鼻科などクリニックの待合いスペースの額縁 etc

●商品ポスター

商品ポスター

これは商品を説明する説明POPではなく、商品を拡大してドラマチックに見せるためのPOPです。

  • ケータイショップにおけるiPhoneのポスター
  • カーディーラーにおける車のポスター
  • ジュエリーショップにおける結婚指輪のポスター
  • 食器店におけるワイングラスのポスター
  • ハンバーガー店や回転ずし店におけるメニューポスター
  • 家電店における家電品のポスター
  • 旅行代理店による旅行先の風景ポスター etc

2.演出POPの注意点

演出POPは文字通り、商品やブランドを演出するPOPなので、貼り方を間違えると、ブランド台無しになってしまいます。
注意点を述べましょう。

  • 空いているからといって貼らない
  • フレームに入れる
  • 商品の近くに置く
  • グリッドラインを揃える
  • アートになるように貼る

などです。
ひとつひとつ解説していきましょう。

●空いているからといって貼らない

POPの貼り方悪い例

ドラッグストアやスーパー、家電店のタレントポスターはほとんどメーカーの持ち込みです。
そのため、商品陳列の空いたスペースに演出POPを張るのが常になっています。

  • 棚の空いたところ
  • 壁の空いたところ
  • 天井近くの空いたところ
  • カウンターの下
  • トイレの入り口
  • ドアのガラス面
  • 商品陳列の後ろ

などなど、売場が商品とPOPでごちゃまぜになっているケースが多いです。
これだと、モデルやタレントがかわいそう。
シャンプーに押しつぶされている美人のポスター見たくないですよね。
「赤札市!!」のPOPに押し切られそうになっている野球選手のポスターも見たくないですよね。
トイレりサインの横に貼られているハリウッドモデルも見たくないはず。

演出POPは家のインテリアと同じ。
優雅に貼られることによってその価値を発揮できます。
お客様が見やすいところに、そのためのスペースを取って、きちんと貼りましょう。
一度、ラルフローレンやユニクロ、無印良品のお店を見に行くといいです。

●フレームに入れる

フレームPOP

演出POPはフレームに入れましょう。
額縁にいれることによって価値が高まります。

セロテープや画鋲、ホチキスで貼ると、ビラのように見えてしまいます
大きい演出POPは額に入れると様になります。
額といっても、おおげさに考える必要はありません。
モナリザを飾るわけではないので、プラスチックの薄いフレームでよいのです。
ほとんどのポスター用額縁はネットやディスプレイ用品店、ホームセンターで買えてしまいます。

例えば、マクドナルドやケンタッキー、ガストやミスタードーナツの壁面のポスターを見てください。
「月見バーカー」や「ガーリックホットチキン」のポスターはポスター用フレームに入っています。
壁面に等間隔で並んでいて、とてもきれいです。
これらが、カウンターの下やレジの仕切り、ドアのガラスにセロテープで貼られていないですよね。

大きなものは額、小さなものはアクリルスタンドに入れて掲示することを心がけましょう。

●商品の近くに置く

ウイリアムソノマのPOP

演出POPは商品を演出することが多いです。
商品の持つ世界観を醸し出すことができます。
例えば、ウイスキーのディスプレイ背後に、富士山の雄大なポスターを設置するとします。
すると、お客様は「このウイスキー、富士山の恵みでできているんだな」「このウイスキー、おいしい富士山の水でできているんだな」と感心してくれます。

ところが、この富士山のポスターがウイスキーから1m離れた場所に置いてあると、お客様はもう富士山とウイスキーを結びつけることができません。

演出POPは商品の近くに置くことを心がけましょう。

●グリッドラインを揃える

ホノルルクッキーのPOP

演出POPは家の額みたいなものです。
グリッドラインを揃える、等間隔展示にするのが基本です。

JTBのお店にあるハワイの写真のように展開しましょう。
これはフレームのサイズが違っていも同じです。

等間隔、グリッドラインフィックスが基本です。
写真上は額の底のラインにグリッドを合わせています。
写真下は、額の中央にグリッドを合わせています。

線を取ってみましょう。
ほら、きれいに壁に展開しているのがわかりますよね。

●アートになるように貼る

DFSのPOP

ブランドショップやセレクトショップのような店は、インテリアディスプレイとしてポスターを掲示しています。
風景ポスターや絵画をお店を家と見立てて文字通り、額として壁に掲示します。
住宅展示場やモデルハウスで見るように、センスよくアート的にPOPを掲示します。

これ、下記のブログで詳しく写真入りで解説していますので参考にしてください。

●演出POPでアートな売場をつくろう

3.まとめ

わかりましたでしょうか。演出POPの種類と注意点。
演出POPがあると、売場にブランド空間を作ることができ、商品も魅力的に見えます。
ぜひあなたのお店に演出POPを掲示してみてください。

なお、POPの活用方法に関しましては、センスアップセミナー「POP活用体系」で詳しく講義しています。
●センスアップセミナー「POP活用体系」
7月に行う予定ですのでその時はぜひご参加ください。

(VMDインストラクター協会事務局)

ギンザシックスのディスプレイ

ディスプレイをふわっと浮かせる2つのテクニック

1.ワフティングとフローティングとは

今回はワフティングとフローティングについてお話しします。

どちらもディスプレイ制作のテクニックです。
ワフティングは、ふわっと商品を持ち上げること。
フローティングは、ふわっと商品を宙に浮かせること。

英語に直すと下記です。

waft = 漂わせる ふわりと運ぶ
float = 浮かべる 浮かせる

どちらも似ています。
どちらも、重たい商品をフワリとさせることを言います。

では、二つの違いはなんでしょう?
それはライザーが見えるか見えないかの違いです。

ライザーとは、展示台のことです。
ライザー忘れた方は、こちらを見てください。
●ライザーの使い方

それでは実際にどんなディスプレイか見てみましょう。
ワフティングとフローティングを使って、テーブルディスプレイをそれぞれ作ってみました。
インスタグラムでお馴染み、カフェテーブルです。(^^)

●商空間スタイリスト インスタグラム

テーブルカフェ
テーブルカフェ2

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

もう少し、近づいて見てみましょう。

ワフティング
フローティング

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

二つのディスプレイテクの違い、わかりましたでしょうか。
どちらも商品をふわっと浮かせています。

両者の違いを種明かしをしましょう。

ライザーの様子
ライザーの様子

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

わかりますか。
ワフティングは、商品を足で支えています。
フローティングも、商品を足で支えています。

足とはライザーのことです。

「なーんだ、ワフティングもフローティングもライザーを足ゲタにして商品を注に浮かせている、同じじゃん」と思うかもしれません。
確かにその点では同じなんです。

大きな違いは、足が見えるか、見えないか。
そこだけです。

足が見えると、「おー、商品を空中に上げているなあ」というのがわかります。
足が見えないと、「あれ、なんでこの商品浮いているんだろう?」と不思議になります。

つまり、フローティングの方がワフティングよりもオドロキが大きいんです。
デパートや駅ビルに行くと、大きなオブジェが空中をふわふわと浮いていますよね。
下の写真を見てください。

東京駅

おー、あんなでっかいねぶたが浮いている~!!と来店客は感動します。

これが、床に置かれた状態だとあまり目が行きません。
床には他のディスプレイや什器、柱、店舗スタッフその他大勢でごちゃごちゃしているからです。

空中は、他に遮るものがなくノイズも少ないので、まるで飛行機を見上げる様。
地上のものよりも、注目率は高まります。
地上のディスプレイが3次元なら、こちらは4次元のディスプレイなんです。

論より証拠。
お菓子のディスプレイを浮かしてみましょう。

お菓子箱を使ったフローティング1

これが3次元の普通のディスプレイ。

お菓子箱を使ったフローティング2

これがフローティング。
あれれ、浮いているー!!と驚いたと思います。

改めて見比べましょう。
下の写真を見てください。
左が普通のディスプレイ。
右がフローティング。

お菓子箱を使ったフローティング3

これ、黄色いルックチョコを後でライザーが支えているだけなんです。
でも、ライザーは見えないですよね。
だから不思議に見えるんです。

2.ワフティングの実際

ワフティング

今度は実用編。
上の写真はアラモアナのショーウインドウ。
ミラーボールがライザー代わりになり、靴をワフティングしています。
キラキラボールがふわっと靴を持ち上げていて、靴に注目が集まります。

シュガーフィナ店内

上の写真はシュガーフィナのテーブルディスプレイ。
赤と金色のクリスマスチョコがワフティングされています。
ワフティング、お菓子のディスプレイにとてもいいです。

3.フローティングの実際

あなたが文具店にクルトガを買いに行ったとします。
シャープペン売場に行きますよね。

売場を見ると、ユニのシャープ芯のディスプレイが。

UNIのディスプレイ
シャー不便の芯のディスプレイ

近くに行くと、「あれれ、浮いている!!」
と覗き込むようになりませんか?
これ、フローティング効果なんです。

PPとしてユニのショーケースがあるけれど、思わず見入ってしまいます。
それはシャープ芯が浮いて見えるからなんです。

ライザーは何てことない、にょっきっと後ろから出ている棒なんですが、透明プラスチックで出来ている上に背景がメタリックなので、客は棒に気が付かないんです。

これがフローティング効果です。

4.ワフティング・フローティングに有効な商品

ワフティングとフローティングは、下記の効果があるのがわかったと思います。

  • 商品を高く持ち上げ、遠くから目立たせる
  • ふわっとした軽さを表現できる
  • ディスプレイのフォーカルポイントになる
  • 動いているような躍動感ができる
  • 商品のくくりをわかりやすくできる

このようなディスプレイに向いている商品は下記です。

●お菓子
・ギフト箱をふわっと持ち上げて、陳列に動きをつける
・マカロンやシュークリームをふわっと浮かせて軽快感を与える
・皿を浮かせてそこに商品を陳列すれば、皿がくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる

●スポーツ用品
・靴や帽子を浮かせることで躍動感が出る
・サングラスやバッグを浮かせることでカジュアル感が出る
・板を浮かせてそこに靴を展開すれば、板がくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる
・釣り用ルアーやビーチバレーボールなどボールを浮かせることで、動きが出る

●パーティ用品
・クラッカーや風船を浮かせることで、華やぎが出る
・オブジェであるシャンパンボトルやグラスを浮かせることで躍動感が出る
・ランチョンマットを浮かせてそこにつまみを載せれば、メニュー提案になる

●ジュエリー・腕時計
・指輪や腕時計を浮かせることで、一点豪華なフォーカルポイントになる
・スポーツウォッチを上下に浮かせることで、躍動感が出る
・ステージを浮かせてそこに商品を展開すれば、ステージがくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる

なお、フォーカルポイントの用語忘れた方は下記ご覧ください。
●フォーカルポイントとは

上記以外にもいろいろな商品が使えます。
ぜひ、ワフティング・フローティングを使って、来店客にオドロキを与えてください。

なお、毎月開催のセンスアップセミナーでは、上記を始めいろいろなディスプレイテクニックを教えています。
興味ある方は、ぜひお越しください。お待ちしております。(^^)

●センスアップセミナー


(VMDインストラクター協会事務局)

アパレルのPPとIP

VP,PP,IPとは

1.VP,PP,IPとは

VP,PP,IPとは、ディスプレイの種類のことです。
ディスプレイの種類は3つあり、種類ごとにタイプ・場所・役割・構成が違います

それぞれ、下記の様に要約します。

●VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 店舗の入り口、ゾーンの入り口、インショップの入り口
役 割/ 通行人もしくは来店客に、店や商品に関心を持たせ、立ち止まらせる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●PP(ポイント・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 商品グループの売場上部、売場手前、売場横
役 割/ 店内を歩いている来店客に、商品に関心を持たせ、引き寄せる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●IP(アイテム・プレゼンテーション)
タイプ/ 陳列
場 所/ 什器の中・上、テーブルの上、冷蔵庫・車など大きな商品は床に直置き
役 割/ 店内にいる来店客に、商品を選択・購入させる
構 成/ 等間隔、タイト、リピート、シンメトリー他

次にVP,PP,IPについて個別に述べるとしましょう。

2.VPについて

一番わかりやすいのが、ショーウインドウです。
すなわち百貨店やアパレルショップのウインドウがVPとなります。

通行人の目を留め立ち止まらせるのに有効な手段と言えるのがこのVPです。
若い女性がウインドウのウエディングドレスに見入ったり、子供が楽器店のトランペットを凝視したりするシーンをイメージできると思います。

VPは、ウインドウでなくてもOKです。
路面店よりもショッピングモールやGMSにテナントとして入居している店は、そもそもドアがなくウインドウもありません。
なので、店頭の展示台にマネキンを置いてVPにしている店はたくさんあります。(下記写真)

アパレルテナントのVP

VPのディスプレイは、店内で販売している商品を展示するのが最低条件です。
なので、単なる花のブーケやクリスマスツリーを置いてもそれはVPになりません。
販売する商品を置かないとVPの意はありません。
また、店内商品をただ置くだけではなく、テーマ性を持って展示するのが原則です。

テーマとは、「お客様が感じること」を言います。
Tシャツ3枚とGパンを置けばよい、というものではありません。
それを見ても、ただTシャツ3枚とGパンがあることがわかるだけです。

  • どこでどんなシーンで着るとよいのか?
  • どんな人が着ると様になるのか?
  • どんなテイストを醸し出してくれるのか?

など、客がVPを見ただけで服を着た情景が浮かぶようにしなければいけません。
例えば、ナチュラルなTシャツとショーパンのデニムをマネキンに着せて、リュックサックを掛けて駆け出すようなしぐさをマネキンに持たせます。
すると、アウトドアというテーマをお客様が感じるのです。

VPは通年計画としてローテーションするのが常で、1週間から1か月単位で変えていきます。商品は時間とともに変わるからです。
通常は、VPに店の打ち出し商品を出すケースが多いです。
アパレルショップなら、店側がその時強力に推し進めたい商品や色、素材、デザイン、シルエットをテーマ設定に基づいてVPとしてディスプレイすることになります。
基本的には、VPは店やゾーン全体を代表するディスプレイと捉えるとよいでしょう。

参考)
●テーマとは

3.PPについて

PPもVPと同じ展示の仲間ですが、VPよりも即興性の強いディスプレイと言えます。
店舗の代表的なディスプレイであるVPに対して、PPは売場の代表的なディスプレイであるため、カセットまたはコーナーと呼ばれる商品グループに連動して決めます。

こちらも展示のため、陳列棚と分けてディスプレイする必要があります。
商品見本展示の意味合いが濃いため、商品グループ直上に置いたり、突き出しテーブルの上に置いたりします。
服の場合はハンガーやマネキンを使うことが多いので分かりやすいと思います。
下記写真の什器上部、壁面上部にあるのがPPです。

PPもVPと同じくテーマ性が必要です。単純に什器の上に商品を一つ置いてもPPとは言えず、「在庫が置いてある」としか見えません。
VP程入念なプランは要りませんが、先ほどの審美性のセンスはほしいものです。
服だったらどんなテイストを発進するか、キッチン用品だったらどんな料理がつくれそうか、おもちゃだったらどんな子供向けにぴったりか、などのテーマを考えてつくります。

なお、PPについてはVPとあいまいな場合が多いので、あなたの店に合った定義が必要です。
それにつきましては下記参照ください。

●ディスプレイの定義をつくろう

4.IPについて

ドラッグストアやコンビニは、店舗デザインやオペレーションの都合上、VPやPPがない場合が多いのですが、最低IPはあります。
IPこそが、客が時間をかけずに

・商品を理解し
・ほしいものを選択でき
・掴んでかごに入れられる

便利なディスプレイです。
下記はスニーカーのIPです。

流通業界では「棚割りをする」という言い方がありますが、これは什器の棚に商品を置く位置決めをするということで、IPもこの働きをするものと考えてください。
ただし、IP=棚割りではありません。
フェイシングと言い、商品がよく映える置き方を考えたり、ハーモニゼーションと言ってリズミカルな並べ方をしたり、と棚割り以上のスキルが求められます。

このIP、難しいのは流動性があることです。
VPやPPはある程度の時間そのまま放っておけますが、IPは忙しい棚のため、欠品や補充が常です。
朝の始業時はきれいな棚だったのに、時間がたつにつれ、崩れていきます
お客様が商品を出し入れ、店側が商品を出し入れするからです。
現場のスタッフのメンテナンスが行き届いている棚はいつもきれいで、歯抜けがありません。
それは棚が乱れたらどのように対処するか、のIPコントロールのスキルが現場にあるからです。無印良品の棚がいつ行ってもはきれいなのは、現場教育がしっかりしているからでしょう。

また、客は商品をひとつひとつ眺めて店内を歩くわけではありません。
商品のカタマリである売場全体をサーッと眺めて歩きます。

売場という大きいくくりは商品で構成されていますが、IPが美しくないと売場全体のたたずまいは汚く見えます
商品を突っ込んただけの棚では、倉庫のようなたたずまいと化すだけです。
美しい売場のたたずまいは、それが壁であれ、島什器であれ、Gケースであれ、IPの総合力がモノを言います。
商品の量、色、置き方、並べ方など、什器1台~5台位を一つの売場単位としてIPを組み立て、たたずまいが美しく見えるようにしましょう。

VP,PP,IPをもっと勉強したいという方のために、毎月ディスプレイセミナーを行っています。
下記で日程とタイトルを確認ください。
●オンライン・センスアップセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

買い物客の手2

VMDとは何か?

VMDとは、当社ホームページに定義してありますが、今回はさらに掘り下げて解説します。
●VMDとは
それでは行ってみましょう~。

1.売場づくりには手法がある

VMDとはビジュアル・マーチャンダイジングの略で、売場づくりのノウハウを言います。
一般の人にとっては、売場づくりには手法がある、というと何それ?という人も多いと思います。

お店のこと?それとも商品が棚に収まっている陳列のこと?
いろいろな解釈があるでしょう。

端的に言うと、売場は「売る場」です。
だから店員さんがいる空間で、店員さんがモノを売っている空間、と解釈できます。

売場に手法なんているの?
仕入れた商品をただ棚に置けばいいんじゃないの?
そんな風に思っている人も多いと思います。
事実、流通業以外にいる方に「VMDって知ってる?」と聞くと、ほとんど「知らない」と言います。
自分たちが普段行くコンビニやドラッグストアは、仕入れた商品を単純に棚に置いている、と思っています。

私は、以前広告会社にいました。
モノを売る前段階の、モノをPRする側にいました。
20年いた広告会社をやめて、オーバルリンクというVMD会社をつくろうとしていました。
「売場づくりの広告会社つくるんですよ」と同僚に行ったところ、「何それ」「売場づくりなんてどうでもいいんじゃないの」と返してきました。不信そうな顔です。

モノを売る、というのはマーケティングといってとても大事な経済活動です。
モノを売る行為があるから広告会社が存在する、と言っても過言ではありません。
広告はマーテケィングの重要なツールです。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌はもとより、SNSなども大事な広告です。

しかし、VMDという新しいマーケティングもあるんです。
売場で商品をPRする、それこそがVMDだと思って起業しました。

でも、皆さんはこう思うでしょう。
マーケティングなのに、なんでマーチャンダイジングなの?

マーケティングとは、モノやサービスを売るための企業・団体や個人の販売活動を言います。
マーチャンダイジングは、品揃えのことを言い、仕入れてモノを売る企業・団体や個人の商業活動をいいます。
マーチャンダイジングは、マーケティングの部分集合と考えてよいでしょう。

2.ビジュアル・マーチャンダイジングとは

なので、広義のビジュアル・マーチャンダイジングは、「どんなモノを売っているのか、目で見てわかるようにしろ」ということになります。
ところが売りモノというのは、季節や場所、売る対象者、トレンドなどによって目まぐるしく変わります。
通常の売場というのは、1年中ずっと同じものを置いているわけではありません。
MDの5適とは、1.その時期に、2.その場所で、3.そのお客様にふさわしい商品を、4.適正量と 5.適正価格で売る ことを言います。
ビジュアルマーチャンダイジングは、この5適を目で見てわかるようにしなければいけないのです。

VMDの最大のメリットは、目的買いでなく衝動的に買わせること。
例えば、タバコはほとんどの方が目的買いです。
衝動的にタバコを買うというよりも、切れたら買う、というものです。

  • 買うつもりがなかったのに買っちゃった。
  • 入るつもりがないのに、お店に入っちゃった。

これが、流通業者が一番求めていることかもしれません。
もともと買うつもりのなかった客に、自社の商品を即買わせるということは、自社の売上に貢献すること大です。
特に食品や化粧品・服を含めた日用品などは価格は比較的安いので、その場その時が勝負です。

高価な時計・家電品・インテリア・自動車・住宅なども同様。
今は買うつもりがないけど将来的に買うといいかも、を演出できるでしょう。
価格の安い日用品と違い、熟考に掛ける時間が必要ですので、その場で買うということはあり得ません。

  • 今の自分、将来の自分にプラスになりそう。
  • いつか買うといいかも。

と、ビジュアル・マーチャンダイジングできっかけを与えることはできます。

こう考えると、VMDは人々の生活を瞬間的にも、将来的にも豊かにできる売場づくりのノウハウと言えます。
生活を快くできる機会を与えてくれる売場、それが「快場」へつながる一歩になります。
本来、快場は「心地よくショッピングできる売場」を意味しましたが、これに加えて上記の意味も含まれるんです。

3.VMDの4大要素

VMDをもう少し掘り下げていきましょう。
VMDには下記の4つの要素があり、それが快場をつくる源になっています。

  1. ショップ空間
  2. 品揃えと展開
  3. ディスプレイ
  4. 体験販促

個々に解説します。

1.ショップ空間

商品は店というハコの中で売られています。
コンビニというハコ、スーパーというハコ、百貨店というハコ。
ハコとは、床・壁・天井で囲まれた空間です。
大概の商品はハコの中に収まっています。

この空間には、ブランドの世界観というものがあり、それぞれ店名というブランドネームがついています。
無印良品、伊勢丹、マツモトキヨシ、カインズなどなど。
ハコの中はショップブランドの世界観で充満しています。

※空間のブランドの考え方は下記を読んでみてください。
●VMDとは空間のブランディング

例えば、無印良品に入ると、白い床に木材でできた背の高い什器、商品が整然とボリューミーに並んだ棚、廃材でできたカウンター、などなどシンプルで自然を重んじる無印良品の世界観が広がっています。
銀座や梅田にあるような旗艦店ほどブランドの世界観を強く打だしています。
インターネットでも同じ商品は買えますが、ブランドの世界観を感受することは、お店に行かなければ得ることはできません。

2.品揃えと展開

品揃えとは、先ほどお話ししたマーチャンダイジングそのものです。
品揃えは売れればなんでもいいかというとそうではありません。
流行っていてみんな買っているから自店の品揃えに追加する、というものでもありません。
商品はショップ空間の中にありますので、ショップの世界観に沿った品揃えが基本です。
先ほどの例ですと、無印良品はハコがナチュラルでシンプルにできていますので、そこで売られてい商品もまたシンプルでナチュラルなんです。
ユニクロのように派手な色のTシャツやパーカーなどないですよね。

さて、「展開」というのは、入荷した商品をどこに置くか?ということです。
商品は段ボール箱に入って店に入荷されます。
そしてあなたは商品を段ボール箱から出して棚に並べるはずです。
これを「展開」と言います。
展開は、ゾーニングというフロアの区分、展開分類というお客様目線の仕分け、棚に置く数量を調整する定量、などが作業内容になってきます。

回遊しやすくて、どこに何があるのかすぐわかり、商品が比較検討しやすい、歩いて苦にならない。
そういうお店は展開がうまいです。

3.ディスプレイ

ディスプレイとは、商品を展示したり陳列したりすることを指します。
大昔の店は、陳列自体ありませんでした。
客が来ると注文を聞いて奥から商品を持ってきて売りました。
つまり店とは、商品は言わないと出さない、という空間でした。
何年か経ち、人前に商品をズラーと並べて売るようになったのは、イスタンブールのバザールが最初だったそうです。
トルコ旅行の時に学びました。
今でいう青空市のような感じです。什器はほとんどありません。
しかし、自分の買いたいものが目で見ることができる、これこそがディスプレイの効能です。

現代のディスプレイは大きく分けて展示と陳列があります。
展示というのは、商品の見本展示のことです。
アパレルショップのウインドウや壁の上部分に飾られているディスプレイが展示です。
ドラッグストアやスーパーなど陳列主体で棚にぎっしり商品を置いている店舗でも、棚のわずかなスペースに展示をつくり訴求するケースがあります。
例えば、雪肌精やSKⅡ、モエエシャンドンやメルシャンの棚などが展示をしています。

このディスプレイ、テーマというものがあります。
単に商品を置いて見せるだけでなく、どんな時に使用するのか、どんな気分になれるのか、どんな効果があるのかなどが、テーマでわかるようになっています。
それが前述の衝動買いを促進させる力になっています。

陳列に関しては、商品を整理整頓して、わかりやすく選びやすいようにする力があります。
同じ商品でも、メーカー別、味の違い、色の違い、価格の違いなどいろいろあります。
それらが一目でわかり、選択比較でき購入しやすいようにディスプレイしなくてはいけません。
お客様にとってはほしいものがすぐに見つけられますので、時間の節約この上ありません。

4.体験販促

いまは昔と違い、ネットで当たり前に買い物をする時代になりました。
今年は「タイパ」が流行語になりました。
映画鑑賞や読書だけでなく、買い物もタイムパフォーマンスが当たり前になり、ネットでモノを買う「買い物タイパ」が当たり前になりました。
そしてリアルの売場は、客がわざわざ来てくれる場所になりました。
売場は今以上に、客に体験をしていただく場になっています。

商品が試せることはいうまでもなく、店員がアドバイスしてくれる、学習できる、人と集えるなど、リアルだからこそできる体験販促が店にとって必要になりました。

体験販促で古くからあるのは、試飲・試食・試乗・試着などがそう。
イセタンミラーのような誰でも相談できるカウンセリングカウンター、高島屋家具売り場のような、バーチャル3D間取り体験など体験販促の進化は著しいです。

特に今は「売らない売場」が百貨店では流行っていて、モノを試す、店員と話すなどショールーミング化しているのも体験販促の表れです。

今年は、当社も人がいないセルフワインバーでイベントを行いました。
ゲーム感覚でワインが飲めるワイパーは、買い物そのものを楽しむ体験の場になっています。
●wine@EBISU

4.VMDで売場を快場にしよう

売場づくりには手法があると、ということ、分かったと思います。

日本にVMDの考えが伝わったのは1970年代。
前後、マネキンメーカーが米欧に刺激を受け、マネキンとともに日本にやってきたのがVMDです。
その歴史的背景もあって、VMDは百貨店やブティックのウインドウづくりの技術という考え方が長い間席巻していました。
でも今は違います。
日用品を扱っているコンビニ・ドラッグストアはもとより、家電量販店やホームセンターもVMDを導入しています。
そして、カーディーラーやバイクディーラー、住宅展示場などと言ったショールーム型店舗もVMDを活用しています。
さらに、不動産、保険、レストラン、カフェと言った物販ではなく、サービスを提供する店舗もVMDを導入するに至ります。

そして今、VMDはバーチャルVMDの時代へ。
ネットで店舗や商品空間を体験できる、メタバースの時代が到来しました。
VMDをバーチャルに生かす技術をこれからも考えていきたいと思っています。

●バーチャル・マーチャンダイジングとは

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●オンラインVMDセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)