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インディジョーンズの倉庫

マグネット売場で店内回遊率を上げよう

インディジョーンズの倉庫

この写真を見てください。
●インディジョーンズの倉庫

ご存じ、映画インディジョーンズシリーズ「レイダーズ 失われたアーク」に出てくる倉庫です。
危険なアークを壮大な倉庫に保管してしまう、というラストシーンです。
これなら、誰も柩を探すことができないから安心ですね。
めでたし、めでたし。

と、さーて、本題に入りましょう。
今日は、「寄りどころ」の話です。

上図を見てください。
なんだか、インディジョーンズの倉庫みたいですよね。
これはあなたのお店かもしれません。

お店に入って、180度見渡してもすべて同じような風景に見えるフロアは、どこに何があるかわからず不安です。
とりあえず、探偵のように手前から棚をしらみつぶしに見ていくしかありません。

でも、よい商品に出会えるのか不安なうえに、どこまで行っても同じような雰囲気なので、歩く気力がだんだん失せてきます。
そのうちに、先に行くのもおっくうになって買い物するのをやめてしまいます。
失われた柩は永遠に見つからないでしょう。

そんなあなたのお店はインディジョーンズの倉庫になっているのです。


「寄りどころ」とは

砂漠の中にぽつんと1人でいると不安です。
敵に見つかりやすいうえに、何かあった時に身を隠す場所もありません。

大きな岩があったり、木が立っていたり、池があったらそこをめがけて歩いていくでしょう。
そこが安全そうに見えるからです。
これが「寄りどころ」です。

同じように、倉庫のような店は砂漠と同じ。
整然と什器が並び、品物が整理整頓して棚に収まっていては、寄りどころが見えません。
フロア内見渡しても、すべてが同じ風景に見えるからです。

上図を見てください。
寄りどころをつくってみました。

倉庫のような店の中に、赤い売場をつくりました。
すると、お客様にとってはそこが気になって「オアシスかもしれない」と、踵を赤い売場の方に向けて歩いていきます。

このようにフロアの中に目標物をつくってやると、人はそれを意識して歩くのです。
これは建築心理学でおなじみの現象で、

  • 人は公園の木の周りに集まる
  • 休憩するときは、壁や柱を背にする
  • 山に登るとき、ランニングするとき、道しるべとなる目標物を設定する

フロアを180度見渡した時に、視覚的に目立つ場所をつくると、人はそこに注視します。
注視するところが来店客の寄りどころになるんです。

「寄りどころ」を色でつくる

上図のように、色で目立つ売場をつくりましょう。

その場所だけ色を変えると、そこだけ目立ちます。
白い壁の中に黒い場所をつくるようなものです。
すると、そこが注目点になります。

色はどのようにつくってもかまいません。
壁紙の色を変える。天井の色を変える。床の色を変える。
中でもお店は壁が一番目立つので、まずは壁の色を変えるのがベターでしょう。

その他、什器の色を変えてもいいし、陳列されたパッケージの色を統一してもいいのです。
遠くから見る売場は、色のカタマリに見えるので、他と違う色を用いて、なるべく単色にするとよいです。
多色にする場合はトーンを合わせて色のカタマリにします。

「寄りどころ」を構造物でつくる

店内店、いわゆるショップインショップのように、フロアの中に別の構造物が立っていると目立ちます。
通常は什器で埋まったフロアなのに、そこだけやぐらがあったり、オーニングがかかっていたりして、まるで店の中に店があるようなつくりをした売場です。

盆踊り会場の中のやぐらを思い出してください。
やぐらは会場の中心にそそり立っていますよね。
こういう構造物をみたら、「なにかやっている!」という感覚でお客様は寄ってくるのです。
上図を見てください。
同じ風景の見通しの中で、丸い赤い柱が目立っています。
これが店内店のイメージです。

やぐらやオーニング以外でも、柱を違うデザインの什器で囲ったり、天井からパラペットを吊るしたりしてもOK。

下図を見てください。パラペットを吊るしています。
このように、ある空間が閉合して見えれば、視覚的に目立つ売場になります

「寄りどころ」を展示物でつくる

展示物とは狭義で言うと、プロップスを利用したディスプレイのことです。
百貨店に行くと、フロアの天井から大きなオブジェが吊るされているのを見ますよね。
クリスマスシーズンには、大きなサンタが宙に浮いています。
テーマパークでは、アラジンの大魔神が天井からにらんでいます。
こうした展示物、特に人型の造作物はとても遠くから目立ちます

それはデパートの屋上から揚がっているバルーンのようなもの
いろんな方向からお客様が注視し、その正体を明かそうと「行ってみよう」ということになるのです。
上図はそのイメージです。

このような展示物は、ディスプレイが上手な人なら100円ショップの装飾品でも作ることができます。
テーマや構成、色使い等をしっかり行って造作物をつくれば、遠くのお客様を引き付けることができます。
プロップスの展示物のつくり方は、下記を参考にしてください。

●ディスプレイの装飾品「プロップス」とは

また、VP(ビジュアルプレゼンテーション)、PP(ポイントプレゼンテーション)も、この原理を生かした展示物です。
プロップスを使っていない場合も多く、商品同士を魅力的に組み合わせることによって、目立つ展示物をつくることができます。

「寄りどころ」をMDでつくる

今まで述べて来たことは比較的、目にすぐ訴えることのできる視覚反応に基づいた売場づくりです。
今度は情報を与えることによってできる、心理的反応に基づいた売場づくりについてお話しします。

MDとは品ぞろえのことです。
品ぞろえをそこだけ変えることにより、目立つ売場に変化させることができます
例えば、下記の様な品ぞろえです。

  • CMなどマス広告で話題になっている商品
  • 花見やハロウイン商品など季節もの商品
  • 廉価商品
  • 人気のブランド商品 etc

これらを遠くの人にわからせるには、文字という情報が有効
つまりサインやPOPが売場に設置されていれば、読んだだけで何の売場かわかります。
それが自分に価値ある情報とわかったら、お客様はその売場に近づいていくでしょう。
上図がその象徴です。
クリスマスと書かれているので、クリスマス用品に関心ある人を引き付けることができます。

人気のブランド商品ならそのブランドロゴ、CMなどマス広告で話題の商品ならCMに出演しているタレントのポスターやパネルが設置されていれば、注目率は増します。

これら情報は、プライスカードのような小さいものではなく、10m位からある程度読める広告の大きさが必要です。

「寄りどころ」をプロモーションでつくる

「寄りどころ」という文字は人が寄っているところという意味があります。
(実は、私の造語です)

つまり、フロアの一角に人がたくさん集まっている風景を設けると、人は「なんだろう」と、そこを注視します。
その要因は、店頭販促(プロモーション)であるケースが多いです。
下記の様なものです。

  • 試飲・試食
  • メイクデモ
  • 作家のサイン会
  • ミニセミナー etc

人が集まる場所は、来店客の注目を集め、文字通り「寄りどころ」となります
東急ハンズの店頭デモ、大丸デパートの試飲・試食、伊勢丹ミラーのメイク相談カウンターなど、多くの場所で見られるのがこの、店頭プロモーションです。
図にすると上の様になります。

人は元来、人が集まるところに注視する性質があるので、フロアの中にこのような寄りどころをつくってやりましょう。

マグネット売場を戦略的に配置する

そろそろ「寄りどころ」を「マグネット売場」に言い方を替えます。
マグネット売場の原理が今までの話で分かったと思います。

マグネット売場づくりには注意点があります。
お客様を歩かせて店内滞在時間を長くつくるには、ただ「目立つ売場」を作るだけでなく、これらを戦略的にフロア内配置しなければいけません

最初のマグネット売場に人が集まったら、そこから第2のマグネット売場に誘導する、第2のマグネット売場からまた第3、第4・・・に誘導していきます。

フライングタイガー・コペンハーゲンのように、一方通行の強制的な順路ならまだしも、普通の店は入ってすぐにUターンして帰ることができます。
お客様の進行方向に矢継ぎ早にマグネット売場を設定していかないと、動線長(お客様の歩く長さ)は長くなりません。

そこで、下記のマグネット配置が望まれます。

  1. 第1マグネット売場から第2マグネット売場が見える配置
  2. 第2マグネット売場から第3マグネット売場が見える配置(あとはこの繰り返し)
  3. フロア内主通路沿いにマグネット売場がある配置
  4. 通路の突き当りにマグネット売場がある配置
  5. 店の奥にマグネット売場がある配置

4,5のイメージは上図になります。

上記1~5のように客導線を想定した配置プランを立てて、どのようなストーリーでお客様を歩かせるのか考えなければいけません。
これを「導線ストーリー」と言います。

導線ストーリーがうまく行くと、お客様の店内滞在時間は増えます。
売場立ち寄り率、買い上げ率も増えていくので、お店の売上は上がります。

まとめ

あなたのお店は、インディジョーンズの倉庫になっていませんか?
フロアが倉庫状態になると、お客様は手探り状態で商品を探さなくてはいけません。
それはまるで砂漠をさまよっているよう。

適度なオアシスをそこかしこにつくって、お客様に歩く目標をつくってやりましょう。
それがマグネット売場です。

マグネット売場を戦略的に配置すると、来店客の店内回遊率は増え、お店の売上も上がります。

(vmd-i協会事務局)

自店の店舗デザインはどうあるべきか

デザインとは何でしょう。ウィキペディアでは次のように定義しています。
「ある物事について、それを真に理解し、ふさわしい姿を与える。そのとき顕れた美しみを、人々はdesignと称する。」

これを、A店を新装する場合に置き換えてみましょう。
「新装するA店舗において、それを真に理解し、ふさわしい姿を考える。その結果、新しくできたA店舗表現を、人々は店舗designと称する。」
こんな感じだと思います

さて、「A店にふさわしい姿」とは何でしょうか?
ふさわしい店舗の姿というのは、店舗ブランドによって違います。
ユニクロのふさわしい姿は無印良品とは違い、スターバックスのふさわしい姿はドトールコーヒーとは違います。

ユニクロは色とりどりのにぎやかな姿であり、無印良品はシンプルでナチュラルな姿です。
スターバックスはモダンで落ち着く姿ですが、ドトールはさっと入ってさっと出るピットインのような姿です。
だから小売店を営んでいるあなたは、自店のふさわしい姿とは何か?から店舗デザインを考えなければいけないのです。

よく見る有名店舗のデザインを模倣しても仕方がありません。
そのような行為はあなたのお店の顧客を遠ざけるでしょう。
今回は、自店の店舗デザインをどうやって決めるか、お教えします。
それによって、店舗デザインを施工会社に丸投げする常態から脱却できるのです。

さて、VMDとはビジュアルマーチャンダイジングの略で、直訳すると「品揃えを視覚化する」ノウハウです。
実はVMDにおける店舗デザインは、通常思いつく建築デザインよりも定義が広いんです。
店頭・床・壁・天井・什器のデザインだけではない、下記の4分野のデザインを担います。

  1. ショップデザイン分野 →店頭・床・壁・天井・什器・照明など、店の構造物全般
  2. マーチャンダイジング分野 →商品のパッケージデザイン・包装紙・ショッピングバッグ、場合によってはプロダクツデザインそのもの。商品に関わるもの全般
  3. ディスプレイ分野 →マネキンや展示台などのディスプレイ用品、花や壺などの装飾品、ウインドウディスプレイ、商品群の佇まいなど、展示・陳列全般
  4. ロモーション分野 →ポスターや値札などのPOP、ビジョン、テーブルの腰巻・柱巻、バルーンなどの販促ツール全般

早い話が、店舗にやってくるお客様が見るものすべて、と考えていただければ。
したがって店員のユニフォーム、店員そのものも店舗デザインの一部であり、ここではプロモーション分野に入ります。
VMDを知ることによって、店舗デザインの監修ができる。自店にふさわしいデザインを決めることができるのです。

次に、店はコンセプトでできていることをお話しします。

店舗をハコです。
お客様はハコに買い物にやってきます。
そのハコのデザインを買い物しながら体感するのです。
床・壁・天井という構造物ひとつひとつに感心するわけではありません。
ハコの中の雰囲気を体感するのです。
きれいなパッケージの商品がたくさん並んでいる佇まい。
手書きPOPが林立している賑わい。
品のある店員の立ち振る舞いとユニフォーム。
これら目に見えるすべてのデザインが、場の雰囲気としてお客様に感動を与えているのです。

では、自店のハコのデザインをどうやって決めればいいか?
ズバリ店舗コンセプトを決めればよいです。
「わが店舗はどんな店舗なのか」という概念を言葉にしたもの、それが店舗コンセプトです。
あなたが店の経営者、バイヤー、SV、店長、店員、販促担当、商品開発担当という店舗に関わりのある方なら、店舗コンセプトを決めるのは必須です。

例えば、スターバックスは「第三の場所」という店舗コンセプトがあります。
家でも職場でもない第三のリラックスできる場所である、という意味です。
だから、店内は落ち着いたたたずまいになっているはずです。
ダークトーンの木のイスとテーブル、照度を落とした照明、漆喰の壁、そこに掲げられている絵画、そしてバリスタの威勢のいい声。目に見えるものすべてが第三の場所としてふさわしいデザインになっています。

このようにコンセプトは店舗デザインを決める考え方のもとになっているのです。
ほとんどのブランドショップにはコンセプトがあります。

例えば下記です。

  • SHIPS DAYSのコンセプト「眺めのいい日々と、居ごこちのいい服」
  • フランフランのコンセプト「好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」
  • アフタヌーンティのコンセプト「spice of a day」

このコンセプトをテイスト、そしてトーンアンドマナーに意訳する作業をしましょう。
店舗コンセプトが決まれば、あとはそれをもとに前出の4分野のデザインに落とし込めばよいです。

ですが店舗コンセプトをそのまま業社に言っても伝わりません。
ここでクエスチョン!
例えば、あなたがPOP制作を外注するとします。

どのようにしたらよいか。下記からひとつ選んでみてください。

  1. なるべく優秀なデザイナーにデザインを丸投げする
  2. トーンアンドマナーをしっかりデザイナーに提示し監修する
  3. いつもの施工会社に頼んで店舗デザインに沿ったPOPを作成してもらう

答えは2です。

そう、トーンアンドマナーをデザイナーに提示しなくてはいけないのです。
トーンアンドマナーとはデザインのルールのことです。

「うちのコンセプトは「第三の場所」だからそのようなデザインにしてほしい」とPOPデザイナーに言っても伝わりません。
トーンアンドマナーを伝えないと店にふさわしい姿のPOPにはならないのです。

一番上の図を見てください。
これは店舗(ハコ)の構成要素です。
まずハコの左外の「デザインテイスト」に注目してください。
デザインテイストとは次のようなものです。

お客様は買い物をして出るまで店内で短時間を過ごします。
店内で目にするものはPOPだけでなく、商品だったり什器だったり壁紙だったりします。
スタッフも目にするし、テーブルのディスプレイも目にします。
この時、テイストというお客様の感じ方があり、「自然でナチュラル」「クールでモダン」「元気でにぎやか」「フレッシュでみずみずしい」などお店によっていろいろな感じをお客様は受けています。
これを司っているのがデザインテイストであり、デザインテイストはお客様の目に見えるすべてのものが発している感じや気持ちのことです。
その「感じ」をお客様は五感でハッシ!と受け止めるわけなのです。

チェーン展開しているあなたのブランド店舗もテイストを決めなければいけません。
それが空間ブランディングという行為で、同じ店なのに一方は都会的で一方は田舎っぽいとなると、妙な感じになります。
ブランドの世界観はないに等しいです。
無印良品やユニクロはどこに行っても世界観は一緒であるように、あなたのお店のデザインテイストは規格化しなければいけないのです。

VMDインストラクターはブランド空間の監修役なので、チェーン店全体のデザインテイストを統一して保つ役目を担っています。
チェーン店においては、POPはPOPデザイナー、商品はプロダクツデザイナー、床・壁・天井は店舗デザイナーなどと役割分担されています。
ところがデザインにルールがなくて、各デザイナーが好きなようにそれぞれ作ってしまったら、店内はいろいろなデザインでごった煮になるのです。
そうなると、お客様にとってどの店に行ってもテイストが違うため、店のブランド感はなくなり、よろず屋で買い物している感覚になってしまいます。
そうならないために、VMDの専門家はデザイナーにきちんとオリエンしなければいけないし、監修しなければいけません。
まずはあなたの店舗のデザインテイストを設定し、トーンアンドマナーを決めましょう。

最後に、トーンアンドマナー事例についておはなしします。
「屋根裏部屋のような秘密基地」とか「離島の人のいない自然観」とか「重厚で伝統的だがモダン」のような表現と模写でストーリーボードをつくり、デザインテイストをデザイナーに提示できるようにすします。
その上で、下記をチェックする。

「離島の人のいない自然観」の場合では、

  • 「離島の人のいない自然観」テイストが什器デザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがPOPデザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストが定数・定量に表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがディスプレイに表れているかどうか。

POPひとつとっても、「離島の人のいない自然観」テイストの下、書体はどうあるべきか、レイアウトはどうあるべきか、POP用具はどんなものがよいのか、考える必要があります。

POPデザイナーにデザイン発注してできたデザインを校正する場合は、デザインがトーンアンドマナーに沿っているかチェックします。

施工会社の設計士と改装について打ち合わせするときは、壁紙の柄、照明の明るさ、什器のデザイン、床のパターンがトーンアンドマナーに即しているのか監修しなければいけません。
これを「トーンアンドマナーのフィルターを通してデザインを見る」といい、店内デザイン物を精査する際、このフィルターを通します。

だいたいわかりましたでしょうか、あなたの店のデザインの決め方。
「どんなお店にするか」明確化するコンセプトが決まらないと、デザインテイストも決まらず、トーンアンドマナーもつくることができないのです。

もしあなたの店舗にコンセプトがなかったら、まずはとりあえずでいいのでコンセプトを決めましょう。
でないと、「私はモダンなデザインが好きだから、こんな什器にする」みたいに経営者の好みで決めることになりかねません。

もしあなたの会社にVMD担当がいないのならば、担当を育成しましょう。
店のデザインの指南役をつくるのです。
担当はVMD知識に加えてデザインセンスを身につけ、設計図面を読めたり、コピーを書けたり、色のコーディネート術を身に着けたりと、デザインについての知識やスキルは磨いた方がよいです。
でないとデザイナーや設計者と会話できないどころか、デザイン丸投げになってしまうからです。
またそのような人材育成の余裕がない場合は、VMDインストラクターという職業人がいるので利用してほしいです。
文字通り、あなたのお店のデザインを教えてくれます。

(vmd-i協会事務局)

売場のデコボコを改善しよう

売場が乱雑に見える原因に什器があります。

什器のデザインとレイアウトがバラバラだと、売場がきたなく見えます。
これ、どうしてそう見えるのか考えてみましょう。
色やサイズ、素材、高さ、棚の奥行きなど、隣同士の什器のデザインが違うことが挙げられます。

売場のデコボコは特にサイズが影響している場合が多いです。
什器は性格上、什器を隣同士にくっつけて繋げて、売場という空間をつくります。
なので、什器の高さや奥行きのサイズが違うと文字通り、売場はデコボコに見えるんです。

なんか売場が乱雑だな、と思ったら、什器を見ればよいです。
デコボコだということがわかります。
なおデコボコの原因は什器デザインだけではありません。
商品やPOP、ディスプレー用品にもあります。

例えば、最下段に置いている在庫の段ボール箱が
7cm前に突き出ているだけでも、デコボコに見えます。
在庫に布を掛けて隠しても、布そのものが通路にでっぱるのでデコボコに見えます。

その他、商品が什器の背板より高く棚に置かれていてもデコボコに見えますし、POPが什器より外れて突き出して貼ってあるとき、デコボコに見えます。

ジャンブル什器もそうです。
特売のワゴンやメーカー持ち込みの什器など、通路にはみ出して置いている追加の什器のことが、これらも売場がデコボコに見える要因です。

このように、売場のデコボコは、店内のきれいな佇まいを害してしまいます。
デコボコを防ぐにはどうしたらよいのでしょう。
それはカンタン。
空間規制をすればいいんです。

什器のサイズは縦横奥行き、そろえる。
POPやプロップスなどのディスプレイ用品は什器の中に収める。
もちろん、展示や陳列している商品も什器の中に収めます。
まずはこれにつきます。

商品を含めたすべてのディスプレイ用品がきっちり什器内に収まっているお店はきれいに見えます。
什器の色や素材を統一すると、さらにきれいに見えるでしょう。

あなたのお店の什器はデコボコになっていませんか。
今一度点検してみましょう。

(vmd-i協会事務局)

ブランド店舗の世界観演出の仕方

お店や売場でのブランドの世界観演出についてお話しします。

世界観とは、ブランドイメージを下記の空間要素で表現するものです。
佇まいは鉛直面が大きくないと訴求するのが難しいのですが、メーカーや卸などコーナー展開やエンド展開 しか許容されていない流通業者もあります。
その場合は、什器やPOP、装飾用品などのディスプレイ用品を駆使して世界観をつくるしかありません。

まずはお店のハード面から。
大道具による世界観演出から見ていきます。
ポイントは下記です。

 

  • 天井
  • 什器

 

ひとつひとつ解説していきます。

●床
全体照明が直接反射する面ですので、壁と天井と共に世界観を表現する重要な3大要素のひとつです。
パネルやタイル、カーペットなど様々な製品が建築メーカーから出てますし、既製品を加工してオリジナルなデザインにすることも可能です。
また、床シートも一般的になり、POPや床の模様として重宝されています。

●壁
壁は鉛直面なので、来店客の視線に自然と入ります。
最強の世界観表現要素といっていいでしょう。
壁面用照明、ウォールウオッシャーをつければ、遠くからも目立ちます。
カウンター後ろでは屋号を付けることが多く、ブランド観を決定づけます。
壁紙やパネル、タイル、シートなど様々な製品が各メーカーから出ており、加工もできますので、世界観に最適なものを選びましょう。

●天井
天井方向の目線は、サイン、POPの他に照明や天井のデザインを捉えます。
空間の解放感は、天井と什器の高さのバランス、照度、POP類の数量によって左右されます。
ダウンライト・ペンダントライトなどの照明、オープン天井・ 幕天井などの形態、廻縁や野縁の意匠性、壁紙やパネルなどのデザインパターンや素材によって、世界観は七変化します。

●柱
平場は壁がない場合も多いので、柱ほど貴重なものはありません。
壁と同じく、PPだけでなく、サインやPOPを設置することができます。
壁紙が禁止の柱でもPOPを使用し柱ぐるりを意匠化することもできます。
また、小さい柱の場合は、柱自体を床・壁・天井に次ぐショップデザインの一部にする方法もあります。

●什器
什器メーカーの既製品は、ほとんどがオリジナルデザインに加工できます。
素材もスチール、アクリル、 木材、合成樹脂など多彩です。
意匠にこだわる場合は、図面を引いて色・形・サイズ・ 素材・機能などをブランドのトーンアンドマナーに合わせるとよいでしょう。

以上です。
(vmd-i協会事務局長)

オリジナル什器のつくり方

オリジナル什器のつくり方について解説します。
どこの売場でも什器がなんか違う・・・ということがありますよね。
什器をどうやって作ったからいいか、解説します。

要素として下記があります。

  • 目的
  • トーンアンドマナー
  • 背後の処理
  • 什器サイズ
  • 棚サイズ
  • 背後の処理
  • 展示の有無
  • 照明の有無
  • 機能
  • オリジナルor加工オリジナル
  • コスト

 

順に解説しましょう。
●目的
什器をつくる目的を決めます。什器デザインのフレームワークから導き出してもOKです。
●トーンアンドマナー
ショップブランド、プロダクツブランド等に合ったトーンアンドマナーを考えます。
→素材 素材の選択により、ブランドの世界観をつぶしもしますし、拡げもします。
→デザイン 形状、色、柄等什器デザインの要素をブランド・トーンアンドマナーに合わせます。
●背後の処理
キャビネットの形状を決めます。扉・スライド戸・引出し・カーテン・アコーディオンetc
●什器サイズ
店頭、壁面、アイランド島の立地、商品の定量、見通しに合った什器サイズを決めます。
●棚サイズ
商品の定量とフェイシングに合った棚サイズを決めます。
●展示の有無
最上段や最下段に展示固定棚をつくるかどうかを決めます。
●照明の有無
棚照明、展示照明、意匠照明をつくるかどうか決めます。
●機能
下記の各種機能を選定します。
→透過性 ガラス棚にすると、下段まで天井のライトが透過できます。
→可動性 什器脚にキャスターを付けると、什器移動が楽にできます。
→転化性 後々、他のアイテムの商品棚に転用できるような機能を持たせます。ラックをハンガーに、等。
→販促機能 POPを取り付けられる機能をつけます。ボード取り付け棚、プライスカード設置棚等。
→在庫保管機能 什器上段または下段にキャビネットやトロッコ、コンテナ機能を持たせ、在庫が保管できるようにします。
●オリジナルor加工オリジナル
まったくオリジナルで造るか、既存什器を加工するか決めます。後者は安く仕上がります。
●コスト
什器メーカーに見積もりを依頼します。

以上です。
(vmd-i協会事務局長)