ディスプレイはなぜ三角形がよいのでしようか。
今日は美術用語を使ってこれを解き明かしたいと思います。
三角構成がよいのは、下記で説明がつきます。
●リニア・スキーム
●フォーカルポイント
●フォーマルバランス
●バランサー
リニア・スキームとは、メインの線とそれを支えるサブの線を活用した構図をいいます。
絵画を鑑賞するときに、これらを活用すると便利です。
上の絵を見てください。
例えばモナリザは、頭から下にすそ広がりになった三角形の構図になっています。
顔から胸のラインはメインラインでモナリザの頭と手を結びます。
サブラインはサックドレスの左右の輪郭線になります。
このメインラインとサブラインは三角形の構図になっており、富士山のようにすそ広がりになっているので、安定しています。
すそ広がりの方が重しが下にあるので安心感があるんですね。
リニア・スキームをコップのディスプレイを使って表すとこうなります。
モナリザと同じですよね。
フォーカルポイントとは視線が集中するポイントのことです。
人は線の帰結線をとても気にしますので、線の後を追っていくんです。
メインラインとサブラインを追っていくと、交わった頂点がフォーカルポイントになりますから、一番上のコップが目立つんです。
何かを目立たせるためには、ラインの交わったところに置くとよいです。
次に、フォーマルバランスについてですが、下の写真のコップのディスプレイがフォーマルバランスになっています。
つまり、左右に均等にコップが置かれている状態で、すごく安定しています。
重量が均等なんですね。
落ち着いたどっしりした商品は、この方が優雅で安定します。
高そうな食器や時計はこのようにディスプレイすると効果的です。
でもこのような完璧なシンメトリー(左右対称)は、ややもすると飽きます。
バランスが整いすぎて変化がないのがつまらないんです。
芸術は変化を好みます。
そこでコップをアンバランスにしてみます。
どうですか。
左に支えがないので不安定ですよね。
右の斜めの線だけでは、おっとっと!という感じですよね。
実はこのおっとっと!という不安定な感じ、このように展示を繰り返すリピテーションに効果的なんです。
でも、どうしてもバランスを取りたい!という方は、バランサーを使いましょう。
バランサーとは継ぎ手のようなもので、バランスをとるための線なんです。
これを見てください。
この矢印がバランサーです。
バランサーを使うと少し安定してくるでしょう?
改めてこの2つを比較してみてください。
左がバランサーなし、右がありです。
バランサー、売場塾の古い写真を振り返って応用してみましょう。15年前の写真です。
左に物足りなさを感じるのは、右のライナーがめくれていてそこに重さを感じます。
なので、左にシュガースティックをバランサーとして置いてみます。(矢印のもの)
すると安定しました。
まとめです。
- ディスプレイにはリニア・スキームというメインの線とサブの線があり、それらを支えあうように構成すると安定してくる。
- 三角構成は左右の輪郭ラインが末広がりになっているのでとても安定している。
- 三角構成は左右の重心を同じにすればさらに安定する。
- ただし、重心を崩させバランサーで適度に安定感を与えてやると、ディスプレイは個性的になる。
いかがでしたでしょうか。
今日は、リニア・スキームを使って三角構成を説明してみました。
絵画の見方とディスプレイの見方は実に類似点がありました。
実は、今回の緊急事態宣言下、売場塾のすべてのテキストを改訂しました。
その中でディスプレイ指導講座には上記のような美術用語も取り入れています。
受講する方はお楽しみに。(^^)
(vmd-i協会事務局)