1.オンスクの法則 プロローグ
今回は「オンスクの法則」についてお話しします。
POPを使って自社売場に来店客を導く法則と言っていいでしょう。
特にショップインショップを作っているメーカーコーナーにうってつけの法則です。
では、どんな状況でこの法則が使えるか解説しましょう。
あなたが駅ビルのフロア内通路を歩いているとします。
スリーコインズという雑貨屋さんにさしかかりました。
遠くの壁に何か書いてあります。(上写真)
12m先だからよくわかりません。
でも8mくらいに近づいたら、「FASHION」の字が見えます。(上写真)
もう少し近づいてみます。
2m手前に来ました。(上写真)
すると、「FASHION」のPOPの下に「SPRING COLLECTION 2024」の文字が見えました。
30cm手前。(上写真)
もう棚の商品の手前です。
「ファッショナブルなポーチがたくさんあるわね」と思うあなたはパッグのタグを手に取って商品説明を読みます。
オンスクの法則、なんとなくイメージはわきましたか?
そう、あなたが興味を持った売場に近づくにつれ、その売場の情報がPOPを伝わって分かってくるんです。
POPとは最初は「FASHION」、次は「SPRING COLLECTION 2024」、そして最後はポーチのタグでした。
2.オンスクの法則とは
オンスクの法則のイメージがわかったら、今度は図でわかりやすく説明します。
今度は、スーパーマーケット店内の壁「HAWAIIAN CAFE」のコーナーと仮定します。
あなたはスーパーフロア内通路を歩いています。
●おや (上図)
「おや、あそこになにか茶色の売場があるな、なんだろう」
壁の10m手前なので「、色がまとまった壁だな」としか思えません。
でも少し興味を引きます。
●ほう (上図)
8m手前に来ます。
すると、壁の上に大きく「HAWAIIAN CAFE」の文字が見えてきます。
「ほう、ハワイコーヒーの売場かあるのか」
とコーヒー好きなあなたきとても気になります。
●なるほど (上図)
5m手前に来ました。
「HAWAIIAN CAFE」のPOPの下に
「ビターエスプレッソ」
「バター風味」
「チョコレート風味」
「赤ワイン風味」
というPOPがあるのが分かりました。
「なるほど、いろいろな味のハワイコーヒーが売っているんだな」
と感心します。
●そーか (上図)
2m手前に来ました。
ここまでくると、先ほどの味別のPOPの下に
「ボトルタイプ」
「顆粒タイプ」
「粉末ステックタイプ」
と書かれているPOPがあるのがわかります。
「そーか、コーヒー豆が液体や粉末などで売っているんだな」
とかなり商品を理解してくれています。
●買おう!(上図)
もう壁に30cm手前です。
商品もプライスカードもよく見えます。
赤ワイン風味のコナ地区の顆粒タイプの商品を手に持ったあなたはこう言います。
「買おう!こりゃ週末飲むのにいい」
これがオンスクの法則なんです。
図にまとめるとこうなります。
ということで、遠くからお客様が来る視点で売場を描いてみました。
「ハワイアン カフェ」売場にお客様がだんだん近づいてくる様子が分かったと思います。
お客様の動向をオンスクの視点で解説します。
●おや →ハワイアンカフェの壁面全体に気がつく (壁面全体)
●ほう →ハワイアンカフェの売場だと気づく (大見出しPOP)
●なるほど →味別のコーヒー売場になっていることに気づく (中見出しPOP)
●そーか →飲み方別パッケージになっていることに気づく (小見出しPOP)
●買おう! →コナ地区のワイン味のコーヒーパッケージをつかむ (プライスショーカード)
これを壁面だけの図にするとこうなります。
3.オンスクの法則は新聞の編集と同じ
オンスクの法則を生かしたPOPによる売場集客の組み立て方がわかったと思います。
それは新聞の表紙の編集の仕方と同じなんです。
上の写真は12月15日(火)の夕刊の表紙です。大谷翔平がドジャーズ入団が決まった日の夕刊です。
これをオンスクの法則と同じように説明します。
●「朝日新聞」題字は店名と同じ
●大見出し「ドジャーズ大谷 勝つために」は大見出しPOPと同じ
●大谷の写真は店のショーウインドウと同じ、つまりVP
●中見出し「この10年成功と思っていない」は中見出しPOPと同じ
●小見出し「入団会見」は小見出しPOPと同じ
●本文はプライスショーカードと同じ
●愛犬デコピンの写真は店内ディスプレイと同じ、つまりPP
どうですか。
改めて両者を見比べてください。
オンスクの法則と新聞って構造的に同じことがわかります。
「売場づくりは編集と同じ」と、私たちVMDインストラクターがよく言うことがよくわかったと思います。
そんな法則で売場を見ると、オンスク法則があちこちにあることがわかります。
例えばこれ。
「KITCHEN」が大見出しで、「食べる」が中見出しということがわかります。
そんな目でオンスクの法則を使って売場をいろいろ見てください。
すると、ああユニクロはオンスクの法則がしっかり生きているな、とか
ヨドバシカメラもPOPがある程度大見出しや小見出しが固定されているな、とか
セリアはPOPが見やすいな、と感じるはずです。
あなたはPOPを店内に適当に貼っていませんか。
そしてデザインもバラバラに組んでいませんか。
オンスクの法則を使ってPOPをデザインし設置しましょう。
すると、あなたの集客したいショップインショップやコーナーにお客様は集まってきてくれます。
POPについて詳しく学習したい方は、ぜひセンスアップセミナー「POP活用体系」にお越しください。
7月開催です。
また、セミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」の12章でも詳しくPOPの活用の仕方を教えています。
この機会にぜひ勉強してください。
今回は、オンスクの法則でした。
(VMDインストラクター協会事務局)