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ギンザシックスのディスプレイ

ディスプレイをふわっと浮かせる2つのテクニック

1.ワフティングとフローティングとは

今回はワフティングとフローティングについてお話しします。

どちらもディスプレイ制作のテクニックです。
ワフティングは、ふわっと商品を持ち上げること。
フローティングは、ふわっと商品を宙に浮かせること。

英語に直すと下記です。

waft = 漂わせる ふわりと運ぶ
float = 浮かべる 浮かせる

どちらも似ています。
どちらも、重たい商品をフワリとさせることを言います。

では、二つの違いはなんでしょう?
それはライザーが見えるか見えないかの違いです。

ライザーとは、展示台のことです。
ライザー忘れた方は、こちらを見てください。
●ライザーの使い方

それでは実際にどんなディスプレイか見てみましょう。
ワフティングとフローティングを使って、テーブルディスプレイをそれぞれ作ってみました。
インスタグラムでお馴染み、カフェテーブルです。(^^)

●商空間スタイリスト インスタグラム

テーブルカフェ
テーブルカフェ2

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

もう少し、近づいて見てみましょう。

ワフティング
フローティング

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

二つのディスプレイテクの違い、わかりましたでしょうか。
どちらも商品をふわっと浮かせています。

両者の違いを種明かしをしましょう。

ライザーの様子
ライザーの様子

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

わかりますか。
ワフティングは、商品を足で支えています。
フローティングも、商品を足で支えています。

足とはライザーのことです。

「なーんだ、ワフティングもフローティングもライザーを足ゲタにして商品を注に浮かせている、同じじゃん」と思うかもしれません。
確かにその点では同じなんです。

大きな違いは、足が見えるか、見えないか。
そこだけです。

足が見えると、「おー、商品を空中に上げているなあ」というのがわかります。
足が見えないと、「あれ、なんでこの商品浮いているんだろう?」と不思議になります。

つまり、フローティングの方がワフティングよりもオドロキが大きいんです。
デパートや駅ビルに行くと、大きなオブジェが空中をふわふわと浮いていますよね。
下の写真を見てください。

東京駅

おー、あんなでっかいねぶたが浮いている~!!と来店客は感動します。

これが、床に置かれた状態だとあまり目が行きません。
床には他のディスプレイや什器、柱、店舗スタッフその他大勢でごちゃごちゃしているからです。

空中は、他に遮るものがなくノイズも少ないので、まるで飛行機を見上げる様。
地上のものよりも、注目率は高まります。
地上のディスプレイが3次元なら、こちらは4次元のディスプレイなんです。

論より証拠。
お菓子のディスプレイを浮かしてみましょう。

お菓子箱を使ったフローティング1

これが3次元の普通のディスプレイ。

お菓子箱を使ったフローティング2

これがフローティング。
あれれ、浮いているー!!と驚いたと思います。

改めて見比べましょう。
下の写真を見てください。
左が普通のディスプレイ。
右がフローティング。

お菓子箱を使ったフローティング3

これ、黄色いルックチョコを後でライザーが支えているだけなんです。
でも、ライザーは見えないですよね。
だから不思議に見えるんです。

2.ワフティングの実際

ワフティング

今度は実用編。
上の写真はアラモアナのショーウインドウ。
ミラーボールがライザー代わりになり、靴をワフティングしています。
キラキラボールがふわっと靴を持ち上げていて、靴に注目が集まります。

シュガーフィナ店内

上の写真はシュガーフィナのテーブルディスプレイ。
赤と金色のクリスマスチョコがワフティングされています。
ワフティング、お菓子のディスプレイにとてもいいです。

3.フローティングの実際

あなたが文具店にクルトガを買いに行ったとします。
シャープペン売場に行きますよね。

売場を見ると、ユニのシャープ芯のディスプレイが。

UNIのディスプレイ
シャー不便の芯のディスプレイ

近くに行くと、「あれれ、浮いている!!」
と覗き込むようになりませんか?
これ、フローティング効果なんです。

PPとしてユニのショーケースがあるけれど、思わず見入ってしまいます。
それはシャープ芯が浮いて見えるからなんです。

ライザーは何てことない、にょっきっと後ろから出ている棒なんですが、透明プラスチックで出来ている上に背景がメタリックなので、客は棒に気が付かないんです。

これがフローティング効果です。

4.ワフティング・フローティングに有効な商品

ワフティングとフローティングは、下記の効果があるのがわかったと思います。

  • 商品を高く持ち上げ、遠くから目立たせる
  • ふわっとした軽さを表現できる
  • ディスプレイのフォーカルポイントになる
  • 動いているような躍動感ができる
  • 商品のくくりをわかりやすくできる

このようなディスプレイに向いている商品は下記です。

●お菓子
・ギフト箱をふわっと持ち上げて、陳列に動きをつける
・マカロンやシュークリームをふわっと浮かせて軽快感を与える
・皿を浮かせてそこに商品を陳列すれば、皿がくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる

●スポーツ用品
・靴や帽子を浮かせることで躍動感が出る
・サングラスやバッグを浮かせることでカジュアル感が出る
・板を浮かせてそこに靴を展開すれば、板がくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる
・釣り用ルアーやビーチバレーボールなどボールを浮かせることで、動きが出る

●パーティ用品
・クラッカーや風船を浮かせることで、華やぎが出る
・オブジェであるシャンパンボトルやグラスを浮かせることで躍動感が出る
・ランチョンマットを浮かせてそこにつまみを載せれば、メニュー提案になる

●ジュエリー・腕時計
・指輪や腕時計を浮かせることで、一点豪華なフォーカルポイントになる
・スポーツウォッチを上下に浮かせることで、躍動感が出る
・ステージを浮かせてそこに商品を展開すれば、ステージがくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる

なお、フォーカルポイントの用語忘れた方は下記ご覧ください。
●フォーカルポイントとは

上記以外にもいろいろな商品が使えます。
ぜひ、ワフティング・フローティングを使って、来店客にオドロキを与えてください。

なお、毎月開催のセンスアップセミナーでは、上記を始めいろいろなディスプレイテクニックを教えています。
興味ある方は、ぜひお越しください。お待ちしております。(^^)

●センスアップセミナー


(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイのフォーカルポイント

フォーカルポイントで客目線を釘付けにする

人間は太古の昔から、視界の中に何か異質物があると身構えます。
そうすることによって、最速で敵から逃げたり仲間を助けたり、時には食べ物を見つけることができるのです。
現代人の生活においては、そんなに危険なことはありませんが、人間はその太古の性質を遺伝しているために、何か活動をしている時に視線に異質物が入ると気になってその方向を向くのです。
これがフォーカルポイントの原理です。

VMDの世界では、売場のあるポイントにお客様の目を意図的に誘導する時に、フォーカルポイントを設定します

例えば壁面の売場の場合。
壁面全体が単なる陳列の連続だと、フロアを歩いているお客様は気に留めません。
壁が周りの背景に溶け込んでいるからです。

そんな時に壁面の中にフォーカルポイントを設定すると、お客様はつい壁面に視線を注いでしまいます。
フォーカルポイントが視界に入って目立っているからです。

上の写真を見てください。
Tシャツ売場ですが、
●女性の顔
●中央のハンガーに吊るされている展示

これがフォーカルポイントです。

これがなかったら、壁面にフロア内のお客様の視線が行く頻度は少なくなっていたことでしょう。

さて、フォーカルポイントの作り方は下記の6つです。
ひとつひとつ説明していきます。

1.色がそこだけ違う

上図を見てください。白いところに目が行くと思います。
この白いのがフォーカルポイントです。
人は色が他と違うところに目が行きます

上の写真を見てください。ブルーの列の靴に目が行くと思います。
それがフォーカルポイントです。

2.サイズがそこだけ違う

上図を見てください。大きい四角に目が行くと思います。
この大きい四角がフォーカルポイントです。
人はディスプレイの中の面積の大きいところに目がいきます

上の写真を見てください。
最上段のジーンズに目が行くと思います。

3.顔がある

上図を見てください。顔に目が行くと思います。この顔がフォーカルポイントです。
人は、ディスプレイの中に顔があると、ついつい見てしまいます。
先ほどのTシャツ売場と同じです。

4.角度がそこだけ違う

上図を見てください。ひし形に目が行くと思います。
このひし形がフォーカルポイントです。
人はディスプレイの中に他と違うカタチがあると、それを注視します。

上の写真を見ると、壁面中段のフライパンに目が行きますよね。
フライパンが丸くて、四角い他とカタチが違うからです。

5.そこだけ飛び出ている

上図を見てください。飛び出した四角に目が行くと思います。
この隆起したものがフォーカルポイントです。
人は、群れから突出しているものに目が行きます。
先ほどのTシャツ売場と同じです。

6.そこだけ離れている

上図を見てください。離れた四角に目が行くと思います。
この離れた四角がフォーカルポイントです。
人は、群れから離れているものに目が行きます。

上の写真を見てください。
一番奥のポットに目が行きますよね。
このポットだけ、群れから離れているからです。

まとめ

わかりましたでしょうか。フォーカルポイントの原理。
フォーカルポイントを売場に意識して設置すると、お客様の視線はそこからスタートします。

あとは、リーディングラインを使って売場をまんべんなく見ていただくと、買い上げ率アップに貢献します。
リーディングラインに関しては下記を参考にどうぞ。
●リーディングライン

また、フォーカルポイントについては、センスアップセミナーでも解説してますので、興味ある方はぜひお越しください。(^^)

●センスアップセミナー 商品陳列

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイをしっかり見せるためのコツ

ディスプレイのセンスがないとお嘆きの皆さん、大丈夫です。
ディスプレイのセンスはスキームを勉強することで向上します。
スキームとはなんでしょうか。
一言で言うとコツなんです。

今回も写真を使って解説します。

この間は、リニアスキームを使ってのディスプレイ構成のうまい作り方をお教えしたので、今度はリーディングラインというスキームを使ってディスプレイをきちんとお客様に見せるコツを会得します。

まずは上のAとBのディスプレイを見てください。

紅茶のディスプレイです。
A,Bどちらのディスプレイの方がよいと思いますか。

答えはB。

Bの方が小売店にとっても紅茶メーカーにとってもいいんです。
Bがいい理由は、3種類の紅茶すべてが目に留まるからです。

写真を使って解説します。
まずAから。

青い線をお客様の視線だと思ってください。
これをリーディングラインと言います。

このディスプレイの第一のフォーカルポイントは中央の缶です。
真ん中にあって目立つからです。

一方、左右の紅茶缶は斜めを向いていて、中央の缶ほどは目立ちません。
それどころか、左右の缶の向きは中央の缶を向いているので、お客様の視線も缶に向いてしまいます。

これはどういうことでしょうか。
リーディングラインは、モノの向いている向きに影響されます。
両方の缶を人間だとすると、両方の人物は中央の缶をじっと見ている構図になります。
人の視線は他人が見ている方向を追う性質があるので、自然と両方の缶が向いている方を見てしまいます。

すると、お客様のすべての視線は中央の缶に向いてしまいますので、中央以外の缶は目だたなくなるんです。

これがBだと、リーディングラインはこうなります。

リーディングラインはやっぱり中央が強いのですが、左右の缶はまっすぐ前を見つめているため、サブリーディングラインになるんです。
そのため、3種類の缶がいっしょに目だつんです。

改めて比べてみましょう。

リーディングラインの使い方、わかりましたか。

さあ、今度は復習です。
AとB、どちらが優れたディスプレイですか。

答えはB。

リーディングラインはこうですね。

Aだと、せっかく左右に振れた視線が結局は中央の紅茶に戻ってしまうんです。
左右のコーヒーが中央の紅茶を見てね!!と言っているのかのように視線からどいているようにみえますよね。
中央は王様のおでまし~という感じ。
左右のコーヒーは家来になっています。

これではコーヒーがかわいそう。
なんで、コーヒーも正面向きにして、お客様の視線を中央に行くのをなるべく防いでいるんです。

わかりましたでしょうか、リーディングライン。
いくつかの百貨店が、Aを禁止しているのはこのためなんです。

VMDインストラクターの皆さん、商品は真正面に置きましょう。
「上からも三角形」を意識してしまうと、左右の商品が目立たなくなるので注意しまょう。

なお、今回のリーディングライン、オンラインセミナーで詳しく教えています。
実際にディスプレイをつくってみる実技もあるので、ぜひ参加してみてください。
年2回やっています。
●センスアップセミナー ディスプレイ構成PART3

(VMDインスタラクター協会事務局)