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ドン・キホーテ北千住店

VMDとは空間のブランディング

VMDとは空間のブランディング

VMDとは、「買い物空間のブランディングである」と売場塾でよく言っています。
小売店にとっては店舗がブランドですが、小売店という軒下を借りているメーカーにとっては売場がブランドです。

先週、近所に「ドン・キホーテ」がオープンしたので行ってみました。
やっぱり楽しい店舗ですね。
トンネルをくぐるような圧倒的な陳列と過度の装飾、そしてPOPのユニークさ。
この「熱帯雨林陳列」こそがドンキのブランドたるゆえんでしょう。

そして商品もユニークで安い!!
通常5,000円以上はする「モエ・エ・シャンドン」が4,500円で、私の好きな不二家の「LOOKチョコレート」も山積み価格。
こんなわけだから、私を含め北千住に住んでいる人は「またドンキに来よう!」というローヤリティが形成され、ブランディング効果絶大になったのでした。

ブランドは多階層になっている

さてここまでブランドがいろいろ出てきました。
「ドン・キホーテ」は店のブランド、「熱帯雨林陳列」は売場形態のブランド、「モエ・エ・シャンドン」や「LOOKチョコレート」は商品ブランドですね。
さらに、「ドン・キホーテ」は会社のブランドでもあります。

なんだか、ブランドってたくさんあってわかりにくいですね。
ちょっと下記に整理してみました。
ブランドって実は多階層になっていて、冒頭言った「買い物空間のブランディング」はおおよそ、緑色の層に属します。
下に行くほど、メーカーが関わる部分が多くなってきます。

上記ブランド階層図をドンキに当てはめてみましょう。
ドンキの親会社は、「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」という会社グループの組織がブランドになっています。
その下に事業ブランドがいろいろあって、そのひとつが株式会社ドン・キホーテになるわけです。

ユニクロで言うと、ファーストリテーリングが会社グループブランドで、株式会社ユニクロや株式会社ジーユーが事業ブランドということになります。

ここまでは会社ですが、これから下は店舗名ということになり、まずマスターブランドがあります。
マスターブランドとは核となる店舗チェーンのことで、事業名がそのまま店舗になるのがほとんどです
店舗の知名度やイメージは、「ブランドエクイティ」(知識資産のこと)として既に確立しているので、会社名と店舗名が一緒の方が大衆になじみやすい、ということです。

マスター店舗をさらに「ライン」店舗として、商品や対象顧客に合わせた店のバリエーションをつくっていくのが、ラインブランドです。
ドン・キホーテだと、「MEGAドン・キホーテ」や「ドン・キホーテUNY」になりますし、イオンだと、下記の様に「イオンスタイル」「イオンリカー」がラインブランドになります。

ラインのブランディングは、大きなフロア空間をどうデザインしていくかというVMDが中心になり、ゾーニングや導線、什器レイアウトやそのデザインなども関わってきます。

これから先の細かい売場施策に関わってくるブランドは、カテゴリーや商品といったブランドで、ドンキの場合は、「情熱価格」や「ありえ値え!」といったプライベートブランドや、「昆虫食のTAKEO」といったメーカーブランドになってきます。

イオンで言うとPB「トップバリュ」や、下着ブランド「BODY SWICH」「PEACE FIT」あたりになります。
ここでのVMDは、これらのPBブランド売場、商品ブランド売場をどうするか?というコーナー対策的なブランディングになります。
ABCマートで言うと、ナイキやプーマのインショップ売場ブランディングになり、メーカーと小売店が協業でVMDを行っていくことになります。

ライン・ブランドを成長させるのは超大変!

実は、ライン・ブランドは浮き沈みが激しいです。
私はもう18年VMDの仕事をしていますが、一世風靡をして消えてしまったライン・ブランドは多いです。

例えば、伊勢丹の「エムアイプラザ」。
これは、伊勢丹の小規模専門店ブランドで、郊外SC中心にかなり展開していましたが、今はほぼ終了間際になりました。

フランフランの原宿的なミステリアスな雑貨店「フランフランUFO」は、一昨年かなり話題を集めましたが、意外と持たず1年で閉店しました。

Zoffの女性業態店舗「コンソメ」は、スイーツショップをベースにした店舗デザインとMDPで一世風靡しましたが、こちらも数年で撤退。

そんな中、「ワークマン女子」や「ジーユー」などは、数少ない成功ライン・ブランドと言えるでしょう。

いずれにしろ、「百貨店」や「GMS(総合スーパー)」という業態ブランド自体が縮小していく昨今、マスター・ブランドのみの運営では、企業として心もとなくなりました。
なので、みんな必死でライン・ブランドを開発しています。
ましてや、特約店、FC店、代理店形態で直接ライン・ブランドを運営できない事業ブランドも多いので、本部として四苦八苦してVMDしているお得意先も多いです。
そんなブランドをやりくりしているクライアントの皆様、売場塾卒業生の皆さん、がんばりましょう!!

階層どうしのブランドのせめぎあい

ブランドの階層構造、だいたい分かったと思います。
この階層構造、いつも同じではなくて時代によりトレンドにより、せめぎあいが続いています。

特にマスターブランドの中に、インショップブランドが入る場合
家電業界で言うと、ビックカメラ。
昔は、ソニーやパナソニックなどのインショップメーカーとしてのブランド色が強く打ち出されていましたが、今はビックカメラのブランドが強く打ち出されていると思います。
今のビックを見ると、メーカーのPOPがほとんどありません。
フロアの見え方が均一になって白く、すっきりしています。
バーミキュラやダイソンのような強力な差別化ブランドでなければ、カテゴリーの中に包括されてしまうメーカーも多くなってきました。

「どこのメーカーの商品も同じ」時代に、マスターブランドである小売店が今一度店舗ブランドを見直しているのではないかと思います。
でないと、生き残っていけないからでしょう。

コロナ禍の後に、どんな風にブランド階層が変化していくか。
これからも推測していきたいと思います。

(vmd-i協会事務局)

PROプロモーションを店舗に取り入れよう

このところ、お店に専門的な接客を取り入れる動きが加速しているように思います。

接客がなくてセルフで買いたい顧客が増えている半面、じっくり店員と話をして納得するものを買いたい・・・という人も増えています。

少々高くても自分が気に入ったものを外れなく買いたいという欲求は、モノが飽和した現代だからこそ隆盛なのです。

そのため、「その道の専門家」を店舗に常駐させてお客様一人一人のオリジナルな欲求を解決させていく・・・ という店も流行っていきます。

●原宿にできたナイキショップはまさにそんな店。

二階以上は、窓際にコンピューターを設置した顧客カウンターがあり、顧客ひとりひとりにあったオリジナルな靴をつくるためのコンサルティングを店員がしています。

ABCマートで安いランニングシューズを買う、という客とは別のこだわりたい客のためのサロンスペースがあります。
イチローみたいなプロの客だけではなくて、自分の走法と健康、そしてファッションにあった靴を買いたい人は多く、引きもひらないでしょう。

●昨年池袋にできたヤマダ電気日本総本店もそうです。

電機量販店はどちらかというと、メーカー説明が通常だったが、家電全般の専門家として、丁寧に接客。顧客の要望にひとつひとつ応えるために、全国から選りすぐりのプロ販売員を集めたといいます。

フロアは広く、接客サロンも各所にあります。
例えば、炊飯器コーナーは、キッチンスペースがあり、そこでいろいろなメーカーの米を炊いて食べさせてくれます。

キャスタがついた移動式のカウンタもあり、そこで家族と店員とで炊飯器談義をすることができます。販売員はすべてのメーカーの炊飯器を使用して米を吹き、食べてその特徴を掴んでいるから何でも応えられるのです。炊飯器のプロ、洗濯機のプロ、パソコンのプロ、ケータイのプロがここにいるのです。

●スタバには、バリスタの上を行くコーヒーの達人が1,000人以上います。

そのプロが、コーヒーにうるさい人に応えてくれます。提供するコーヒーの産地や栽培方法、焙煎の火加減など知り尽くした知識で客を魅了してくれます。

最近は、コーヒー教室も各地のスタバで盛んに行われているそうです。

H&Mやマック、ユニクロといった、セルフで安く買い物できる店はとても増えました。しかし、接客で売る店も重宝され、プロショップとして、普通の買い物で飽き足らない客を取り込んでいます。

プロモーションとは、まさにPRO-MOTION。プロがモーションをかければ、客はその店のとりこになってくれます。専門家が店にいること自体が 「プロモーション」になるのです。そんな時代になってきました。
あなたのお店は専門的な接客をしていますか。

たんに「いらっしゃいませ」と声掛けをし、商品説明に終始しているなら、普通の接客です。
それなら顧客は、カタログとインターネットを見れば済むかもしれません。
顧客が知りたいのは、プロとしてのこだわりであり、カタログで知りえなかった商品のウラ情報なのです。

PROモーションはVMDの体験販促の要になる販促方法なのです。

 
(vmd-i協会事務局)