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ディスプレイ構図

構図に優れたディスプレイは気持ちいい

ディスプレイの構図の話をします。
この間は構造線の話をしたので、今回は全体構図の話です。

構造線、忘れた人は下記を振り返ってみてください。
●構造線(リニアスキーム)の話

■ ■ ■ 売場塾生の作品を見てみよう ■ ■ ■

まずはこのディスプレイを見てください。
売場塾生徒がVMD基本講座でつくったディスプレイです。

ディスプレイ制作作品1

恋人がパリの旅情を語るような雰囲気のするディスプレイ。
素敵ですね。

次はどうでしょう。
下記は子供の楽しいピックニックの雰囲気がするカラフルなディスプレイ。

ディスプレイ制作作品2

今度は夏のビーチでバカンスという感じ。

ディスプレイ制作作品3

下記はハロウインの夜長にシャンパン!!てな感じですね。

ディスプレイ制作作品4

4つのディスプレイは、いずれも売場塾のワークショップで20分くらいでつくってもらいました。
受講生の皆さん、いつもお上手です。(^^)

■ ■ ■ ディスプレイ構図の4つの種類 ■ ■ ■

さて、本題です。
この4つのディスプレイ、ディスプレイテーブルにピタッときれいに収まってますよね。
つまり構図がうまいんです。
これら4つのディスプレイは、下記のいずれかの構図に当てはまるんです。

  • 黄金矩形—– 縦横の比率が1:1.618
  • 等分割矩形— 縦横の比率が1:1、1:2、1:3など
  • √2矩形—— 縦横の比率が1:1.414
  • √3矩形—— 縦横の比率が1:1.732

ディスプレイ構図

「えー、構図って絵画に使うものではないの?」と思うかもしれませんが、NON。
ディスプレイにも使えるんです。
実際に先ほどの写真に比較寸法を入れてみます。
まず最初のディスプレイ。

ディスプレイ構図1

シンメトリーになっている中央のカタマリAの矩形(四角のこと)は√2矩形に近いことがわかります。
全体の構図Bは、√3矩形に近いです。

今度はピクニックがテーマのディスプレイを見てみます。

ディスプレイ構図

皿とジュースがリピテーションになって3つ連なっています。
このうち1つのディスプレイAに尺度を入れてみます。
√2矩形に近い構図になっているのがわかります。
全体ディスプレイの構図Bはぴたりと1:2の等分割矩形になっています。

今度は夏のビーチのディスプレイ。
こちらは黄金矩形に近いですね。
いわゆる黄金分割といって皆さんがよく知っている構図です。
庭の木の葉っぱも、リビングにおいてあるツボも黄金分割になっているんですよ。

ディスプレイ制作構図

最後のハロウインシャンパンは、シンメトリー中央のAが√2矩形。
全体構図Bも√2矩形です。
√2矩形は日本人が好きな構図で、白銀比、大和比とも言われています。
法隆寺や東京スカイツリーが√2矩形でできています。

ディスプレイ制作構図4

こうやってディスプレイを見ると、気持ちいい~と思うディスプレイは、黄金矩形、等分割矩形、√2矩形、√3矩形のどれかに属しているんです。
もちろん、√4や√5なども絵画の構図で使われているんですが、今回の例は√2が多かったです。

だから銀座を歩いて、「あ、このディスプレイ、素敵だな」と思ったウインドウのVPは、いずれの構図に属していると思ってよいでしょう。
優れた構図って心地いいんです。

そして、VMDインストラクターの方は生徒のディスプレイを直すときは、数メーターディスプレイから離れて、構図をチェックしてみてください。
「この構図の方が気持ちいいかな」というところまで直してOKを出してみてください。
ただし、物差しで測るなんてマネをしないてくださいね。
そこまでやる必要はまったくないです。
たぶん、あなたが見て気持ちいいと思ったディスプレイは、いずれの矩形に当てはまっているからご安心ください。

と、ここまで書いてただし、です!!
ディスプレイは絵画と違います。

●絵画=平面
●ディスプレイ=立体

ですので、「どの角度から見るか」がディスプレイは重要なんです。

絵画は普通まっすぐ正面を見ます。
視線に対して直角ですね。
だから構図はほとんど変わりません。

でもディスプレイって正面からだけでなく、ヨコからもナナメから下からも上からも見ます。
そのため、お客様がディスプレイを見る角度によって、構図はみるみる変わります。

「このディスプレイは正面から見てください」なんて注意は掲示できないですよね。
美術館ならそれでいいかもしれませんが、ここはお店。
お客様はどこからも来ます。

なので、ディスプレイをつくる人は
●お客様はどこから来るのか?
を考えなければいけません。

簡単に言えば、お客様がディスプレイに気が付いて立ち止まった、その角度がディスプレイのベストアングル。
ディスプレイの向きと構図を考えるときは、そのフロアでお客様が一番来る方向かどうかを見極めることです。

だから、お客様が極端に斜めから来るお店は、店頭のテーブルディスプレイを通路に対して斜めに置かなければだめなんです。
駐車場からの入り口からのお客様の流入が多ければ、そちらの方にVPを向けましょう。

最後にもうひとつ。
ディスプレイをつくるときは、お客様目線でつくってください。
上記の場合なら、駐車場から来るお客様の目を意識してつくるということです。
そして出来上がったら、文字通り駐車場の入り口に立ってみて、だんだんディスプレイに近づいてみてください。

そして「これなら気持ちよくみられる」と思ったところでOKを出してください。
あなただけでなく、来店客もきっと気持ちいいはずです。

今日は、ディスプレイの構図についてでした。
ディスプレイに興味ある方は、ぜひディスプレイセミナーにお越しください。
3か月に1回やっています。

●売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

美しいアシンメトリーのつくり方

今日はアシンメトリーのつくり方について教授します。
まずは上の写真を見てください。
あなたはバッグ売場のVMD担当だとします。
シンメトリーをつくるとこうなりますね。

■基本編

次にこれをアシンメトリーにしてみます。
こんな感じになりました。

アシンメトリー

でもなんか物足りない。
なぜでしょうか。
それはバランスが悪いからです。

えっ、アシンメトリーってシンメトリーじゃないディスプレイのことを言うよね。
これでいいんじゃないの?と思いますよね。
確かにアシンメトリーなんですが、これだと「バランスの悪いアシンメトリー」になってしまうんです。
ちょっと工夫すると「バランスの良いアシンメトリー」になるんです。
今回は、バランスの良いアシンメトリーのつくり方について解説します。

ここでいうバランスとは重量感のことです。
もう一度上のアシンメトリー写真を見てください。
ディスプレイは二つのカタマリに見え、どうみても右の方が軽いですよね。
右が浮いているという感じ。

そこでバランサーという「重し」を右に加えてやります。
こんな感じになりました。
バッグは右は一つしかないけれど、ワインのボトルの重さが加わってバランスがとれています。

わかりましたか。
アシンメトリーだからって、アンバランスじゃだめなんです。
バランサーを使って、左右の重量感を均等にしてください。
バランサーはこのようにプロップスを足してもいいですし、一回り大きいバッグを置いてもいいです。
バッグの上にバッグを重ねてもOKです。

■応用編

では今度は応用編行きます。
下の写真を見てください。
A、Bともアシンメトリーですが、どちらの方がバランスいいですか。

アシンメトリーのAとB

答えは、Bです。
ええ?Aもいいんじゃないの?
だって同じ重し(バランサー)じゃないの。
と思いますよね。

でもよく見てください。ボトルの置かれている方向が違いますよね。
Bの方が方向がいいんです。

なぜBの方がいいのか、リニアスキームを使って説明します。
リニアスキーム覚えていますか。
ディスプレイの構造線のことです。
忘れた方は、こちらの記事を振り返ってください。

●リニアスキーム

シンメトリーのリニアスキーム

まずシンメトリーのリニアスキーム(構造線)から見ていきましょう。上の写真です。
きれいなV字をしています。
奥に行くにしたがって扇のように膨らんでいきます。
これはとても美しい形です。
なぜ美しいと思いますか?それは下記です。

●奥にバッグをズラして置くことで、ディスプレイに奥行きが生まれたから
左右に奥行きができたので、3次元パースになっています。
つまり左右に視線の行きつく先「消失点」ができるので、立体を感じます。

●両側の奥に向かって進む線は放射線状になっているので、優雅に見える
放射線状のリニアスキームは、縦の線、横の線とは違って華やかに見えます。
凱旋門から発信する道路、クジャクの羽、ダビンチの人体図、すべて放射線状になっていて広がりがあり、ダイナミックです。

アシンメトリーのバッグ""

今度は、アシンメトリーのリニアスキームを見てみます。
上の写真を見て下さい。
リニアスキーは左の片方だけになっていて、右のバッグはちょこんと置かれているだけ。
放射状の線も消え、3次元パースも消えるので立体感は半分になりました。

バッグのディスプレイのリニアスキーム

今度はAのリニアスキームを見てください。
上の写真です。リニアスキームを引くとこんな感じ。
ボトルが左側に寄っているので、二つのディスプレイのカタマリの線は左側に寄ってしまっています。

これだと、安定という名から遠いです。
おっとっと!!とディスプレイ全体が左に流れて行ってしまっています。
あー、左側に洪水で流される~!!って感じ。

ディスプレイのリニアスキーム

今度は、ボトルが右側に寄った構図を見てみます。
上の写真を見てください。
なんだか安定してますよね。

ボトルが右に寄ったことで、右のディスプレイのカタマリの線が右奥に流れます。
すると、先ほどのシンメトリーのようにVの字が現れるんです。
放射状にも見えるし、3次元のパースがついたような気がするんです。

アシンメトリーのAとB

改めて、AとBを見てみましょう。
見えない構造線(リニアスキーム)を感じてください。
ほら、右の方が立体感が増して安定感も増すでしょう?

アシンメトリーの作り方、まとめです。

●アシンメトリーをつくる時は、重量バランスを考える。
●バランサーという追加物で重量バランスを整えることができる。
●きれいなアシンメトリーは、奥行きとパース感があり、リニアスキームでそれらをつくることができる。

以上です。
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実際にディスプレイを作ることでディスプレイのコツを会得できます。

●ディスプレイセミナー

どなた様もお気軽に。

(VMDインストラクター協会事務局)