ディスプレイのコツ」タグアーカイブ

スーパーマーケツト

オシャレな店には演出がある

1.PP,VPでディスプレイ演出

VP,PP,IPというディスプレイ用語があります。
VMDを業務としている人には必須の用語です。

VPは店頭の大きなディスプレイで、店全体を代表します。
PPは店内のディスプレイで、売場を代表します。
IPは陳列のことで、見やすく買いやすい売場をつくります。

この用語、詳しくは下記をご覧ください。
●ディスプレイの定義をつくろう

VPやPPはアパレルショップや雑貨店で堅調です。

・ユニクロ
・無印良品
・ZARA
その他の多くのアパレルショップ

・フランフラン
・アフタヌーンティ
・ディズニーストア
その他の多くの雑貨店・バラエティショップ

このような店には展示棚があり、そこにPPを設置するようになっています。
主に壁面の上やテーブルの上にあります。
PPやVPなどの展示ディスプレイは商品や店を演出できるツールとして重宝できます。

なぜなら、商品を使った生活スタイルを訴えることでき、お客様はワンランク上の自分や、楽しい生活シーンを想像できるからです。
ここが展示演出ツールの効能です。

しかし、下記の量販・コンビニ業態の店舗ではPP,VPのような展示ツールはあまり見られません。

  • スーパーマーケット
  • コンビニエンスストア
  • ホームセンター
  • 書店
  • ドラッグストア
  • キヨスク
  • 家電店

このような店はIP、つまり陳列だけでできている売場が多いです。
日用品、食品、文具など繰り返し買う頻度の高い生活必需品店舗は、サッと入ってサッと買う目的買いの店、またはワンストップで効率よく買い物できる店です。
よい品をたくさん揃え選べることによって、買い物客に失敗しない買い方を促しています。
シャンプーやトレぺ、ボールペンやのこぎりのように種類の豊富さと自分の欲しい商品が選択購入できるIPが主軸となるのです。

2.PP,VPはなくても演出はできる

ここで演出という意味を考えてみましょう。
Wikiで調べてみると、「演出とは、物事を表現するときに、それを効果的に見せること」とあります。
まさに、店舗演出とは「個性的に洗練された商業空間を醸し出すための重要なツール」と言えるでしょう。

「店舗演出はうちはいらないよ」「モノが売れればそれでいい」店は、倉庫や体育館でモノを売ってもよいでしょう。
でも、来店客に快場、つまり楽しんで買い物できる空間を提供するブランドショップは体育館や倉庫でモノを売るわけにはいきません。

では、量販店・コンビニはどうやって演出空間をつくったらよいのか?
「買ってください、買ってください」とたくさんの商品をぎゅうぎゅうに棚に詰める量販店はともすれば、ゆとりがなく必死さは感じられるものの、値段のみが購入のバロメーターになってしまいます。

そんなお店でも演出ツールを用いれば、空間を足さなくてもワンランク上の洗練された店舗を築けます。
それには、今からお話しする3つの事例がヒントになります。

3.ローソンとナチュラルローソン

ナチュラルローソン

ローソンとナチュラルローソンの店舗空間を比べてみましょう。
ローソンには演出はあまりないのですが、ナチュラルローソンにはあります。
ナチュラルローソンの演出ツールとは、まず演出POPです。

  • 大きなデザートが食卓に載っている写真POP
  • 香り立つコーヒーカップの拡大写真POP
  • 焼き立てのパンの拡大写真POP
  • オーガニックワインをアピールする黒板POP

これらは壁や店頭に大きく掲示されています。
また、カウンターやワゴンエンドにはいろいろなプロップス(装飾品)が展示されています。

  • ツディやモンステラなどのグリーン
  • ブドウやポトスのツル
  • テーブルクロスとかご
  • 花と花瓶
  • じょうろや風見鶏のオブジェ

このような演出POPやプロップスは、ローソンにはありません。
ローソンは整然と商品が陳列されているものの、壁は白いままです。

なぜローソンは演出がなく、ナチュラルローソンにはあるのでしょう。
その理由はショップコンセプトにありました。

下記のナチュラルローソンのショップコンセプトを読んでください。
●ナチュラルローソンのショップコンセプト

ここには

「プレミアム感とくつろぎの演出をテーマに、お店そのものをナチュラルに。居心地のよい快適な買い物の時間を過ごせる空間を提供しています」

とあります。
そう、POPやプロップスなどを使って、ローソンより洗練された空間をつくる必要があったんです。
演出はPOPやプロップスだけでなく、什器のフレームが黒く棚が木目だったり、イートインスペースも木のテーブルと椅子を使うなど、店内全体の雰囲気をナチュラルでリラクシングしているんです。

4.セリアとセリア・カラー・ザ・デイズ

セリア

今度は100円ショップのセリアとセリア・カラー・ザ・デイズを比較してみましょう。
セリア・カラー・ザ・デイズにあってセリアにないもの。
それはやはり演出です。

セリアの都市型店舗は、「カラー・ザ・デイズ」とサブネームがついており、ショップコンセプトが普通のセリアと違います。

それはこのQ&Aを読むとわかります。
●ふたつのセリアの違い

これによると、セリア・カラー・ザ・デイズのコンセプトは概して下記になります。

セリア・カラー・ザ・デイズの店舗は、「日常を彩る」をコンセプトに、店内照明、内装、手作りコーナーの設置など、提案型の店作りを目指した新タイプの店舗です。
これまでの100円ショップにはない、オシャレで洗練された雰囲気を感じ取って頂けます。

どの辺が「オシャレで洗練された雰囲気」の演出でしょうか?
それは下記です。

  • 店頭の食器売場の什器は木目調で棚ライトがついている
  • 柱周りと壁面にはスポットライトがついている
  • 食器什器の最上段に展示棚がある(下の写真)
  • ところどころに演出POPが掲示されている
  • 壁面に緑色の彩色が施されている
  • ショップコンセプトが大きく壁面に描かれている
セリアの什器

上記があまりないのが、普通のセリアと言えます。
まさに演出ある店舗は、洗練された空間を演出していると言えます。

5.ダイソーとダイソー・スタンダード・プロダクツ

ダイソースタンダードプロダクツ

今度は、ダイソーとダイソー・スタンダード・プロダクツの2業態を見てみましょう。
この二つの店舗は銀座のユニクロTOKYOの上層階に隣通しであるので、そこに行くと一目瞭然にわかります。
上の写真はダイソー・スタンダード・プロダクツです。

ダイソー・スタンダード・プロダクツは、「ちょっといいのがずっといい」というショップコンセプトです。
●ダイソー・スタンダード・プロダクツのショップコンセプト

なのでこれも下記のように、セリア・カラー・ザ・デイズやナチュラルローソンと同じような演出ツールが豊富にあるんです。

  • 演出POPがテーブル・壁面・柱などに多数ある
  • 木目調のナチュラルな什器デザインになっている
  • テーブルプレゼンテーション(卓上ディスプレイのこと)を設置している
  • 展示棚を多く設けていて、そこにPPをディスプレイしている

今度は、ダイソーとダイソー・スタンダード・プロダクツの2業態を見てみましょう。
この二つの店舗は銀座のユニクロTOKYOの上層階に隣通しであるので、そこに行くと一目瞭然にわかります。

ダイソー・スタンダード・プロダクツは、「ちょっといいのがずっといい」というショップコンセプトです。
●ダイソー・スタンダード・プロダクツのショップコンセプト

なのでこれも下記のように、セリア・カラー・ザ・デイズやナチュラルローソンと同じような演出ツールが豊富にあるんです。

この演出空間は普通のダイソーよりもちょっといいどころか、だいぶいいですね。(^^)

価格帯も、100円よりもその上のプライスラインが多く、多少値が張るがよいものを扱っています。
MDクオリティの違いはナチュラルローソンやセリア・カラー・ザ・デイズでも顕著でした。

6.陳列を展示にする方法

実は店頭演出は、IPだけでもできます。
いつもの並べ方ではなくは、ちょっとした工夫で、陳列をまるで展示のように演出することができます。

ダイソースタンダードプロダクツIP

例えば、ダイソー・スタンダード・プロダクツのアロマオイルの売場を見てみましょう。(上の写真)
普通の100円ショップだと、単純に商品を棚に押し込んでいますが、この陳列は三角形になっています。
形がおもしろいですよね。
たったこれだけのことで、「なんか楽しい」雰囲気になってしまいます。
いつもよりちょっと違う空間のオシャレ感を得ることができます。

このような一風変わった陳列テクニックを、売場塾では「ハーモニゼーション・テクニック」と呼んでいます。
並べ方のテクでして陳列にハーモニーを加えます。
陳列を音楽のように奏でることができます。

ダイソースタンダードプロダクツ店頭

例えば、上記写真にあるフローティング・テク。
がごが空間にゆらゆら浮いてますよね。
これだけで、なんか楽しい、ゆったり浮かぶ雲のように見ることができます。

メイシーズの皿のIP

これはタイト陳列・テク。
皿が揃っているだけで心地よさが感じます。
皿と皿の間をネガティブスペースといい、ぎゅっと詰め込む陳列でなく、適度に間隔を開けるだけで演出空間を広げることができます。

ハーモニゼーションのコツはハワイの土産店「ホノルルクッキーカンパニー」のコラムでもお話ししています。ぜひご覧ください。
●土産店VMDはホノルルクッキーカンパニーに学ぼう

7.まとめ

だいたいわかりましたでしょうか。
オシャレなお店には演出ツールがあるんです。

必要はものはインターネットで買えば十分な時代、わざわざお店に来てくれたお客様に対しては、店舗演出で心地よく買い物をしていただきましょう。
たとえばそれが量販店でもコンビニでも、商店でもキヨスクでも、工夫すればワンランク上の洗練されたお店になります。
それは同じ商品を扱っても、です。

今あるお店や売場をオシャレに演出したい方は、ぜひ下記セミナーにお越しください。
変身の術~を授けます。(^^)

●銀座リアルセミナー(3か月毎に開催)

●オンラインセミナー(毎月開催)

(VMDインストラクター協会事務局)

月刊VMDムック

月刊VMDブログ「売場づくりの知恵広場」が本になりました

1.書籍概要

●タイトル/ディスプレイが深く学べる12か月「商空間ディスプレイ教本」
・株式会社オーバルリンク 代表取締役 深沢泰秀
・定価: 2,500円(税別・送料別)
・サイズ: A4版
・体裁: 77ページ・フルカラー
・出版社: 株式会社オーバルリンク

●詳細・購入はこちら
→製本版はこちら
→キンドル版はこちら

この本は、月刊VMDムックとして販売開始しました。
この本のキャッチは、「ディスプレイが深く学べる12カ月」
毎月コツコツ実践してディスプレイのセンスを磨く本です。
研修用テキストとして、VMD担当や販売スタッフの勉強本として活用できます。
購入は1冊からOKです。

2.当ブログが書籍に昇華した理由

VMDの本

「売場づくりの知恵広場」はかれこれ18年書いてきました。
古い「売場づくりの知恵広場」はライブドアさんにて2016年まで書いていました。

2017年に始まった新しいこのブログサイトは、ふんだんに写真やチャートを足り入れているのが特徴。
アメリカの店舗視察の写真もたくさん取り入れています。
ブログを書くきっかけは売場塾の授業で話したりなかったうっぷんを放出することでした。(笑)
文章にすることによって、VMD理論を整理し、売場づくりのノウハウやハウツーを明快な言葉として開発することに力を注いできました。
ディスプレイ制作の細かいテクニックも多数生み出しました。

その代表的な新テクニックをワークショップ形式で一昨年から毎月披露することにしたのが、センスアップセミナーです。

●オンライン「センスアップセミナー」

このセミナーは、毎月テーマを変えて12か月で完結するようになっています。

1月 VMDとは
2月 VP,PP,IP
3月 ディスプレイ構成1
4月 ディスプレイ構成2
5月 ディスプレイ構成3
6月 ディスプレイ構成4
7月 ライザー
8月 プロップス活用体系
9月 陳列
10月 展示
11月 カラー
12月 POP活用体系

この月例セミナーのテキスト本として活用しているのが月刊VMDという、ブログをテキスト化した雑誌です。
つまり、「商空間ディスプレイ教本」は、1月~12月分の月刊VMD原稿をひとつにまとめ、加筆修正して初心者にもわかりやすくし、アメリカ視察のコラムも設けて本にした、というものです。

ディスプレイのレッスン本としてわかりやすく、ディスプレイ研修やVMD研修のテキストとして使用できます。
売場塾の生徒にも副読本としておススメしています。
売場塾のレクチャーで言い足りないことをブログにし、テキストにしたのがこれなので、正真正銘の副読本!ですね。

3.研修会社のテキストやスタッフの勉強本としても利用可能

ディスプレイの本

皆さんがVMDの講師だったら、ぜひこの本を研修テキストとして利用下さい。
購入部数により割引サービスがあります。
いろいろな売場の写真やチャート図が毎ページ入っているので、すべての業種・業態・取扱商品のお店に適合します。
販売スタッフ研修や店長研修にうってつけです。

100冊以上購入の場合は、広告枠をいれることができるので、自社の宣伝や従業員のベルティとしても使えます。
30冊から段階的に割引価格が適用されます。
詳しい料金・広告サイズは、資料請求をしてください。

●「商空間ディスプレイ教本」資料請求

4.注意 ブログの中身すべては書籍化していません

最後に注意です。
このブログが元となってできた本と言いましたが、ブログすべてを網羅しているわけではありませんので、ご注意ください。
前述のごとく、ブログを一部抜粋し加筆修正した本となっています。

それでは皆さん、月刊VMDムック「商空間ディスプレイ教本」と当ブログをよろしくお願いします。

(vmd-i協会事務局)

モデルの写真

演出POPでブランド空間を演出する

以前、このブログでPOPの種類は6つあるといいました。
商品・演出・告知・誘導・注意・案内の6つですが、今回はそのうちの「演出POP」について講義します。

※参考/POP6つの種類

1.演出POPとは

演出POPとは、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記の様なものが演出POPです。一つ一つ解説します。

●タレントのポスター 

タレントのポスター
  • 雪肌精の新垣結衣や大谷翔平
  • SKⅡの綾瀬はるか
  • CWXのイチロー
  • スカイナーの浅田真央
  • ソフトバンクの「お父さん」 etc

これらはテレビや新聞の広告と連動してることが多いです。
タレントをアイキャッチに、商品写真は小さめにレイアウトしています。
タレントが商品やブランドの推奨役になっています。
タレントのキャラクター性を商品やブランドに刷り込んでいます。

●モデルのポスター

モデルのポスター

下記の店内に掲示されているモデルのポスターがこれに当たります。

  • ユニクロのようなSPA
  • ルイ・ヴィトンのようなブランドショップ
  • ゼビオのようなスポーツ用品店
  • ヤマダ電機のような家電量販店
  • テンピュールのような寝具店 etc

これらの店ではモデルが商品を使用しているシーンが多いです。
服を着てゆったりした生活を送っているシーン、アスリートがランニングしているシーン、キャンバスでケータイを使っているシーンなど。
ライフスタイル、ステイタス、テイスト、トレンド、エイジなどを商品やブランドにスライドさせています。

●絵画・風景写真ポスター

絵画・風景写真ポスター

これはファッション店でよく見ると思います。
服と直接関係ない、海や山の風景、鳥や動物、都会の街並み、部屋のインテリアなど、風景を切り取った写真がフレームに入れて飾られています。
これは、服を着たシーンを切り取った一コマの場合もありますが、多くはブランドや商品の世界観を表している抽象的な写真です。
例えば、サーファーの店なら、ビーチや波のうねり、海の家、駐車場のオープンカーといった風景写真になります。

また、インテリアディスプレイと呼ばれるもので、スターバックスにあるような絵画フレームも演出POPです。

  • コーヒー店、レストランなどの額縁
  • 保険ショップ、ブライダルショップなどの壁面の額縁
  • ヘアサロン、マッサージ店などの壁面の額縁
  • 百貨店、ショッピングモールの待合いスペースの額縁
  • 歯医者や耳鼻科などクリニックの待合いスペースの額縁 etc

●商品ポスター

商品ポスター

これは商品を説明する説明POPではなく、商品を拡大してドラマチックに見せるためのPOPです。

  • ケータイショップにおけるiPhoneのポスター
  • カーディーラーにおける車のポスター
  • ジュエリーショップにおける結婚指輪のポスター
  • 食器店におけるワイングラスのポスター
  • ハンバーガー店や回転ずし店におけるメニューポスター
  • 家電店における家電品のポスター
  • 旅行代理店による旅行先の風景ポスター etc

2.演出POPの注意点

演出POPは文字通り、商品やブランドを演出するPOPなので、貼り方を間違えると、ブランド台無しになってしまいます。
注意点を述べましょう。

  • 空いているからといって貼らない
  • フレームに入れる
  • 商品の近くに置く
  • グリッドラインを揃える
  • アートになるように貼る

などです。
ひとつひとつ解説していきましょう。

●空いているからといって貼らない

POPの貼り方悪い例

ドラッグストアやスーパー、家電店のタレントポスターはほとんどメーカーの持ち込みです。
そのため、商品陳列の空いたスペースに演出POPを張るのが常になっています。

  • 棚の空いたところ
  • 壁の空いたところ
  • 天井近くの空いたところ
  • カウンターの下
  • トイレの入り口
  • ドアのガラス面
  • 商品陳列の後ろ

などなど、売場が商品とPOPでごちゃまぜになっているケースが多いです。
これだと、モデルやタレントがかわいそう。
シャンプーに押しつぶされている美人のポスター見たくないですよね。
「赤札市!!」のPOPに押し切られそうになっている野球選手のポスターも見たくないですよね。
トイレりサインの横に貼られているハリウッドモデルも見たくないはず。

演出POPは家のインテリアと同じ。
優雅に貼られることによってその価値を発揮できます。
お客様が見やすいところに、そのためのスペースを取って、きちんと貼りましょう。
一度、ラルフローレンやユニクロ、無印良品のお店を見に行くといいです。

●フレームに入れる

フレームPOP

演出POPはフレームに入れましょう。
額縁にいれることによって価値が高まります。

セロテープや画鋲、ホチキスで貼ると、ビラのように見えてしまいます
大きい演出POPは額に入れると様になります。
額といっても、おおげさに考える必要はありません。
モナリザを飾るわけではないので、プラスチックの薄いフレームでよいのです。
ほとんどのポスター用額縁はネットやディスプレイ用品店、ホームセンターで買えてしまいます。

例えば、マクドナルドやケンタッキー、ガストやミスタードーナツの壁面のポスターを見てください。
「月見バーカー」や「ガーリックホットチキン」のポスターはポスター用フレームに入っています。
壁面に等間隔で並んでいて、とてもきれいです。
これらが、カウンターの下やレジの仕切り、ドアのガラスにセロテープで貼られていないですよね。

大きなものは額、小さなものはアクリルスタンドに入れて掲示することを心がけましょう。

●商品の近くに置く

ウイリアムソノマのPOP

演出POPは商品を演出することが多いです。
商品の持つ世界観を醸し出すことができます。
例えば、ウイスキーのディスプレイ背後に、富士山の雄大なポスターを設置するとします。
すると、お客様は「このウイスキー、富士山の恵みでできているんだな」「このウイスキー、おいしい富士山の水でできているんだな」と感心してくれます。

ところが、この富士山のポスターがウイスキーから1m離れた場所に置いてあると、お客様はもう富士山とウイスキーを結びつけることができません。

演出POPは商品の近くに置くことを心がけましょう。

●グリッドラインを揃える

ホノルルクッキーのPOP

演出POPは家の額みたいなものです。
グリッドラインを揃える、等間隔展示にするのが基本です。

JTBのお店にあるハワイの写真のように展開しましょう。
これはフレームのサイズが違っていも同じです。

等間隔、グリッドラインフィックスが基本です。
写真上は額の底のラインにグリッドを合わせています。
写真下は、額の中央にグリッドを合わせています。

線を取ってみましょう。
ほら、きれいに壁に展開しているのがわかりますよね。

●アートになるように貼る

DFSのPOP

ブランドショップやセレクトショップのような店は、インテリアディスプレイとしてポスターを掲示しています。
風景ポスターや絵画をお店を家と見立てて文字通り、額として壁に掲示します。
住宅展示場やモデルハウスで見るように、センスよくアート的にPOPを掲示します。

これ、下記のブログで詳しく写真入りで解説していますので参考にしてください。

●演出POPでアートな売場をつくろう

3.まとめ

わかりましたでしょうか。演出POPの種類と注意点。
演出POPがあると、売場にブランド空間を作ることができ、商品も魅力的に見えます。
ぜひあなたのお店に演出POPを掲示してみてください。

なお、POPの活用方法に関しましては、センスアップセミナー「POP活用体系」で詳しく講義しています。
●センスアップセミナー「POP活用体系」
7月に行う予定ですのでその時はぜひご参加ください。

(VMDインストラクター協会事務局)

ギンザシックスのディスプレイ

ディスプレイをふわっと浮かせる2つのテクニック

1.ワフティングとフローティングとは

今回はワフティングとフローティングについてお話しします。

どちらもディスプレイ制作のテクニックです。
ワフティングは、ふわっと商品を持ち上げること。
フローティングは、ふわっと商品を宙に浮かせること。

英語に直すと下記です。

waft = 漂わせる ふわりと運ぶ
float = 浮かべる 浮かせる

どちらも似ています。
どちらも、重たい商品をフワリとさせることを言います。

では、二つの違いはなんでしょう?
それはライザーが見えるか見えないかの違いです。

ライザーとは、展示台のことです。
ライザー忘れた方は、こちらを見てください。
●ライザーの使い方

それでは実際にどんなディスプレイか見てみましょう。
ワフティングとフローティングを使って、テーブルディスプレイをそれぞれ作ってみました。
インスタグラムでお馴染み、カフェテーブルです。(^^)

●商空間スタイリスト インスタグラム

テーブルカフェ
テーブルカフェ2

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

もう少し、近づいて見てみましょう。

ワフティング
フローティング

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

二つのディスプレイテクの違い、わかりましたでしょうか。
どちらも商品をふわっと浮かせています。

両者の違いを種明かしをしましょう。

ライザーの様子
ライザーの様子

上の二つの写真を見てください。
上がワフティング。
下がフローティング。

わかりますか。
ワフティングは、商品を足で支えています。
フローティングも、商品を足で支えています。

足とはライザーのことです。

「なーんだ、ワフティングもフローティングもライザーを足ゲタにして商品を注に浮かせている、同じじゃん」と思うかもしれません。
確かにその点では同じなんです。

大きな違いは、足が見えるか、見えないか。
そこだけです。

足が見えると、「おー、商品を空中に上げているなあ」というのがわかります。
足が見えないと、「あれ、なんでこの商品浮いているんだろう?」と不思議になります。

つまり、フローティングの方がワフティングよりもオドロキが大きいんです。
デパートや駅ビルに行くと、大きなオブジェが空中をふわふわと浮いていますよね。
下の写真を見てください。

東京駅

おー、あんなでっかいねぶたが浮いている~!!と来店客は感動します。

これが、床に置かれた状態だとあまり目が行きません。
床には他のディスプレイや什器、柱、店舗スタッフその他大勢でごちゃごちゃしているからです。

空中は、他に遮るものがなくノイズも少ないので、まるで飛行機を見上げる様。
地上のものよりも、注目率は高まります。
地上のディスプレイが3次元なら、こちらは4次元のディスプレイなんです。

論より証拠。
お菓子のディスプレイを浮かしてみましょう。

お菓子箱を使ったフローティング1

これが3次元の普通のディスプレイ。

お菓子箱を使ったフローティング2

これがフローティング。
あれれ、浮いているー!!と驚いたと思います。

改めて見比べましょう。
下の写真を見てください。
左が普通のディスプレイ。
右がフローティング。

お菓子箱を使ったフローティング3

これ、黄色いルックチョコを後でライザーが支えているだけなんです。
でも、ライザーは見えないですよね。
だから不思議に見えるんです。

2.ワフティングの実際

ワフティング

今度は実用編。
上の写真はアラモアナのショーウインドウ。
ミラーボールがライザー代わりになり、靴をワフティングしています。
キラキラボールがふわっと靴を持ち上げていて、靴に注目が集まります。

シュガーフィナ店内

上の写真はシュガーフィナのテーブルディスプレイ。
赤と金色のクリスマスチョコがワフティングされています。
ワフティング、お菓子のディスプレイにとてもいいです。

3.フローティングの実際

あなたが文具店にクルトガを買いに行ったとします。
シャープペン売場に行きますよね。

売場を見ると、ユニのシャープ芯のディスプレイが。

UNIのディスプレイ
シャー不便の芯のディスプレイ

近くに行くと、「あれれ、浮いている!!」
と覗き込むようになりませんか?
これ、フローティング効果なんです。

PPとしてユニのショーケースがあるけれど、思わず見入ってしまいます。
それはシャープ芯が浮いて見えるからなんです。

ライザーは何てことない、にょっきっと後ろから出ている棒なんですが、透明プラスチックで出来ている上に背景がメタリックなので、客は棒に気が付かないんです。

これがフローティング効果です。

4.ワフティング・フローティングに有効な商品

ワフティングとフローティングは、下記の効果があるのがわかったと思います。

  • 商品を高く持ち上げ、遠くから目立たせる
  • ふわっとした軽さを表現できる
  • ディスプレイのフォーカルポイントになる
  • 動いているような躍動感ができる
  • 商品のくくりをわかりやすくできる

このようなディスプレイに向いている商品は下記です。

●お菓子
・ギフト箱をふわっと持ち上げて、陳列に動きをつける
・マカロンやシュークリームをふわっと浮かせて軽快感を与える
・皿を浮かせてそこに商品を陳列すれば、皿がくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる

●スポーツ用品
・靴や帽子を浮かせることで躍動感が出る
・サングラスやバッグを浮かせることでカジュアル感が出る
・板を浮かせてそこに靴を展開すれば、板がくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる
・釣り用ルアーやビーチバレーボールなどボールを浮かせることで、動きが出る

●パーティ用品
・クラッカーや風船を浮かせることで、華やぎが出る
・オブジェであるシャンパンボトルやグラスを浮かせることで躍動感が出る
・ランチョンマットを浮かせてそこにつまみを載せれば、メニュー提案になる

●ジュエリー・腕時計
・指輪や腕時計を浮かせることで、一点豪華なフォーカルポイントになる
・スポーツウォッチを上下に浮かせることで、躍動感が出る
・ステージを浮かせてそこに商品を展開すれば、ステージがくくりとなる
したがって、商品分類がわかりやすくなる

なお、フォーカルポイントの用語忘れた方は下記ご覧ください。
●フォーカルポイントとは

上記以外にもいろいろな商品が使えます。
ぜひ、ワフティング・フローティングを使って、来店客にオドロキを与えてください。

なお、毎月開催のセンスアップセミナーでは、上記を始めいろいろなディスプレイテクニックを教えています。
興味ある方は、ぜひお越しください。お待ちしております。(^^)

●センスアップセミナー


(VMDインストラクター協会事務局)

アパレルのPPとIP

VP,PP,IPとは

1.VP,PP,IPとは

VP,PP,IPとは、ディスプレイの種類のことです。
ディスプレイの種類は3つあり、種類ごとにタイプ・場所・役割・構成が違います

それぞれ、下記の様に要約します。

●VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 店舗の入り口、ゾーンの入り口、インショップの入り口
役 割/ 通行人もしくは来店客に、店や商品に関心を持たせ、立ち止まらせる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●PP(ポイント・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 商品グループの売場上部、売場手前、売場横
役 割/ 店内を歩いている来店客に、商品に関心を持たせ、引き寄せる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●IP(アイテム・プレゼンテーション)
タイプ/ 陳列
場 所/ 什器の中・上、テーブルの上、冷蔵庫・車など大きな商品は床に直置き
役 割/ 店内にいる来店客に、商品を選択・購入させる
構 成/ 等間隔、タイト、リピート、シンメトリー他

次にVP,PP,IPについて個別に述べるとしましょう。

2.VPについて

一番わかりやすいのが、ショーウインドウです。
すなわち百貨店やアパレルショップのウインドウがVPとなります。

通行人の目を留め立ち止まらせるのに有効な手段と言えるのがこのVPです。
若い女性がウインドウのウエディングドレスに見入ったり、子供が楽器店のトランペットを凝視したりするシーンをイメージできると思います。

VPは、ウインドウでなくてもOKです。
路面店よりもショッピングモールやGMSにテナントとして入居している店は、そもそもドアがなくウインドウもありません。
なので、店頭の展示台にマネキンを置いてVPにしている店はたくさんあります。(下記写真)

アパレルテナントのVP

VPのディスプレイは、店内で販売している商品を展示するのが最低条件です。
なので、単なる花のブーケやクリスマスツリーを置いてもそれはVPになりません。
販売する商品を置かないとVPの意はありません。
また、店内商品をただ置くだけではなく、テーマ性を持って展示するのが原則です。

テーマとは、「お客様が感じること」を言います。
Tシャツ3枚とGパンを置けばよい、というものではありません。
それを見ても、ただTシャツ3枚とGパンがあることがわかるだけです。

  • どこでどんなシーンで着るとよいのか?
  • どんな人が着ると様になるのか?
  • どんなテイストを醸し出してくれるのか?

など、客がVPを見ただけで服を着た情景が浮かぶようにしなければいけません。
例えば、ナチュラルなTシャツとショーパンのデニムをマネキンに着せて、リュックサックを掛けて駆け出すようなしぐさをマネキンに持たせます。
すると、アウトドアというテーマをお客様が感じるのです。

VPは通年計画としてローテーションするのが常で、1週間から1か月単位で変えていきます。商品は時間とともに変わるからです。
通常は、VPに店の打ち出し商品を出すケースが多いです。
アパレルショップなら、店側がその時強力に推し進めたい商品や色、素材、デザイン、シルエットをテーマ設定に基づいてVPとしてディスプレイすることになります。
基本的には、VPは店やゾーン全体を代表するディスプレイと捉えるとよいでしょう。

参考)
●テーマとは

3.PPについて

PPもVPと同じ展示の仲間ですが、VPよりも即興性の強いディスプレイと言えます。
店舗の代表的なディスプレイであるVPに対して、PPは売場の代表的なディスプレイであるため、カセットまたはコーナーと呼ばれる商品グループに連動して決めます。

こちらも展示のため、陳列棚と分けてディスプレイする必要があります。
商品見本展示の意味合いが濃いため、商品グループ直上に置いたり、突き出しテーブルの上に置いたりします。
服の場合はハンガーやマネキンを使うことが多いので分かりやすいと思います。
下記写真の什器上部、壁面上部にあるのがPPです。

PPもVPと同じくテーマ性が必要です。単純に什器の上に商品を一つ置いてもPPとは言えず、「在庫が置いてある」としか見えません。
VP程入念なプランは要りませんが、先ほどの審美性のセンスはほしいものです。
服だったらどんなテイストを発進するか、キッチン用品だったらどんな料理がつくれそうか、おもちゃだったらどんな子供向けにぴったりか、などのテーマを考えてつくります。

なお、PPについてはVPとあいまいな場合が多いので、あなたの店に合った定義が必要です。
それにつきましては下記参照ください。

●ディスプレイの定義をつくろう

4.IPについて

ドラッグストアやコンビニは、店舗デザインやオペレーションの都合上、VPやPPがない場合が多いのですが、最低IPはあります。
IPこそが、客が時間をかけずに

・商品を理解し
・ほしいものを選択でき
・掴んでかごに入れられる

便利なディスプレイです。
下記はスニーカーのIPです。

流通業界では「棚割りをする」という言い方がありますが、これは什器の棚に商品を置く位置決めをするということで、IPもこの働きをするものと考えてください。
ただし、IP=棚割りではありません。
フェイシングと言い、商品がよく映える置き方を考えたり、ハーモニゼーションと言ってリズミカルな並べ方をしたり、と棚割り以上のスキルが求められます。

このIP、難しいのは流動性があることです。
VPやPPはある程度の時間そのまま放っておけますが、IPは忙しい棚のため、欠品や補充が常です。
朝の始業時はきれいな棚だったのに、時間がたつにつれ、崩れていきます
お客様が商品を出し入れ、店側が商品を出し入れするからです。
現場のスタッフのメンテナンスが行き届いている棚はいつもきれいで、歯抜けがありません。
それは棚が乱れたらどのように対処するか、のIPコントロールのスキルが現場にあるからです。無印良品の棚がいつ行ってもはきれいなのは、現場教育がしっかりしているからでしょう。

また、客は商品をひとつひとつ眺めて店内を歩くわけではありません。
商品のカタマリである売場全体をサーッと眺めて歩きます。

売場という大きいくくりは商品で構成されていますが、IPが美しくないと売場全体のたたずまいは汚く見えます
商品を突っ込んただけの棚では、倉庫のようなたたずまいと化すだけです。
美しい売場のたたずまいは、それが壁であれ、島什器であれ、Gケースであれ、IPの総合力がモノを言います。
商品の量、色、置き方、並べ方など、什器1台~5台位を一つの売場単位としてIPを組み立て、たたずまいが美しく見えるようにしましょう。

VP,PP,IPをもっと勉強したいという方のために、毎月ディスプレイセミナーを行っています。
下記で日程とタイトルを確認ください。
●オンライン・センスアップセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)