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ディスプレイ万能ツール「ライザー」のフィリング効果

今回は、フィリングをどのような時に行えば効果的なのかについてお話します。

フィリングとは、「詰めもの」のことで料理でお馴染みの用語なんですが、ディスプレイ用語としても使います。
まずはフィリングとは何かについてお話します。

透明ライザーなどにオブジェやオーナメントを詰めることをフィリングと言います。
よく、デパ地下の惣菜店で見ると思います。
透明の筒にくだもののを入れて飾っている、あれです。
また、コーヒーショップでは、キャニスターにどどっとコーヒー豆を入れて、それをオブジェにしています。

透明の四角いライザーにそういった装飾品を入れると、下記の効果があります。

[フィリングの効果]
  • 無駄な空間を埋めてくれる
  • それ自体がオブジェになる
  • ディスプレイテーマの補助となる
  • ブランドの世界観を醸成させてくれる

ひとつひとつ解説します。

●無駄な空間を埋めてくれる

透明アクリルライザーと言うものは、使い勝手がいい半面、ヘンに使うと、ガランと空間が空いたり、棚の中で歯抜けをしてしまいます。
これをムダ空間と呼んでいます。

ライザーとは、そもそもrise、つまり商品を持ち上げる役目がありますので、ライザーの上に展示商品を置くことが多いです。

ところが、商品に対してライザーが大きかったり、ライザーがもろ見えだったりすることがあります。
そんな場合は、空間がぽっかり空いてしまうムダ空間が散見されますので、展示品でライザーを隠すか、フィリングしてライザーをオブジェのように見せるかします。

●それ自体がオブジェになる

透明ライザーにプロップスを入れて、ライザー自体をオブジェにします。
どのようなプロップを入れるかは、ディスプレイのテーマやブランディング等で決めます。
例えば、季節がテーマのディスプレイの場合は、春なら菜の花や桜、秋なら松ぼっくりやカエデ、冬なら、氷の結晶などを入れます。

これらは特にインサートオブジェと言って、IPの中に挿入することもできます。
例えば、高級スーパーがクリスマスシーズンにオードブル的なつまみ缶詰を陳列しているラックに、ポインセチアをフィリングしたライザーを棚ごとに点在させる・・・といった具合です。

●ディスプレイテーマの補助となる

ライザーがプロップスやPOPの代わりになることにより、ディスプレイテーマをわかりやすくしてくれます。
例えば、海辺でバーべQというテーマでは、ライザーの中にビールや野菜、ウインナなどのバーべQ食材のサンプルを入れると、それらししくなります。

●ブランドの世界観を醸成させてくれる

老舗、クラシック、モダン、前衛的、シンプル&ナチュラルなど、ルック&テイスト的な見地から見るとブランドの世界観は多様です。
例えば、クラシックなブランド観を表現する場合は、古びた本を透明ライザーの中に挿入します。
快活で楽しそうなブランドなら、ビリヤードの球をライザーに入れてもいいでしょう。

フィリング・テクニック、だいたいわかりましたでしょうか。
透明アクリルライザーは単なる商品を置く台だけででなく、プロップスの役目をしてくれます。

なお、参考リンクはこちら。

●ライザーの使い方

●フィリングテクニック

(vmd-i協会事務局)

MD分類とVMD分類の違い

VMDの分類には、MD分類とVMD分類の2種類があります。

MD分類とは、仕入れの目安にする分類のこと。
VMD分類というのは、仕入れた分類を売場に展開する時の分類をいいます。

例えば、あなたが百貨店のバイヤーでハンカチを仕入れるとします。
通常は、メーカー別に仕入れますからバーバリー、カルバンクライン、レノマ、マークジェイコブス・・・などメーカーの取り扱いブランド別に仕入れるでしょう。
これをMD分類と言い、その際の切り口は、商品ブランドになります。
でも、実際に売場に並べるとなると、勝手が違います。

・柄別に分ける。
・色別に分ける。
・素材別に分ける。
・・・
となると、必ずしも、仕入れたMD分類と同じ分け方ではなくなります。

これをVMD分類と言って、売場に来たお客様の目線で分類をし直したことになるのです。

例えば、レノマでも、チェックがあったり、水玉があったりするし、カルバンクラインでもチェックがあったり、水玉があるでしょう。
その場合、水玉模様のハンカチの売場にはレノマとカルバンクラインが同居する形になります。

だから、売場のVMD担当は、バイヤーが仕入れた通りの分類で売場に並べなくてもよいことになるのです。

MD分類とVMD分類をわかりやすく言うと、MD分類は、バックヤード分類。VMD分類は、店頭分類。
と言えます。

バックヤードの在庫置き場が商品ブランド別でも店頭にいざ置く時は、柄別に早変わりします。

だから、店頭VMD担当者は、お客様の買い方をいつも注意深く観察して、臨機応変に柄別
・色別・サイズ別・性別・価格別・・・
というように店頭分類を変えていかなければいけないのです。

でないと、もしお客様が価格別でハンカチを選択購入している場合に、売場が柄別になっていると、1500円のハンカチを求めて売場を右往左往しているお客様の姿が露見してしまうでしょう。
これでは、お客様を思いやった売場と言えません。

MD分類は一度仕入れたら1からやり直すことは手間が多分にかかるが、VMD分類は、機転を利かせればすぐに再編成できます。

だから、売場のVMD担当者は、常日ごろからお客様の買い物行動を観察することが大切。

お客様の買い方に合った分類を心がけていくと売れる売場になることは間違いありません。
(vmd-i協会事務局)

MDテーマとディスプレイテーマの違い

MDテーマとは何でしょうか。
よく本部のVMD担当がMDPシートを持ってきて、「今週のMDテーマはプレッピーサファリだから」みたいな言い方をしていますね。
実は、MDテーマとディスプレイテーマは同じテーマなのですが、少しニュアンスが違います。

MDテーマというのは、52週MDカレンダーに則った「売るための品揃え」ということで、ファッションテーマが基本です。
「プレッピーサファリとかカントリーウエスタン、ガーリーサーファー」みたいなのがそうです。

MDテーマは、ディスプレイをつくるためのテーマでなく、「売るための品揃え」がテーマなので、色、アイテム、デザイン、価格、マインド、ディティール、素材など商品にまつわるテーマが基本です。

要するに52週MDのMDテーマは、下記がポイントです。

  • 最適な商品を(マストアイテム)
  • 最適なトレンドと(色・ディティール・コーディネート)
  • 最適なテーマと(オケージョン)
  • 最適なディスプレイ方法で(フェイシング他)、 販売する

この4つが主題になっています。
この4つでお店の売上を上げます。

なので、MDテーマ「プレッピーサファリ」と一言でいっても、「タイトシルエットでボーイッシュ」とか「カーキ・モスグリーンが基調」とか「ジャケットはパッチポケットがついたツイード」とか、サブテーマが入ってきます。

ディスプレイテーマは、VPやPPをつくるときのディスプレイを組み立てるためのテーマで、上記のMDテーマ「プレッピーサファリ」をどうやってディスプレイにするかを基本にテーマを決めます。

例えば、「週末のキャンプ場のプレッピーサファリカップル」のように、シーンとシチュエーションを決めます。
でないと、プロップスなどのディスプレイ用品がそろわないからです。

だから、デコレーターさんに、「プレッピーサファリでVPつくって」とはあまり言わないですよね。
MDテーマのディスプレイは、店員さんがつくるテーマだからです。
デコレーターさんは、ウインドウのむずかしいディスプレイをつくりますので、「週末のキャンプ場のプレッピーサファリカップル」みたいにディスプレイテーマをまとめないと、なんのこっちゃ、になってしまいます。

このように、MDテーマとは売上施策のためのテーマ、ディスプレイテーマはディスプレイをつくるためのテーマと心得ましょう。
さて、最後にファッションテーマはどちらに入るの、ということですが、どちらにも入ります。
ファッションテーマは一般的な言葉と捉えてください。
けっこうあやふやなんです。
(vmd-i協会事務局)