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ニューヨークヤンキースのグッズ売場

阪神タイガースのアレはどうなっている?

1.阪神タイガーズのグッズ売場のアレ

阪神タイガース、リーグ優勝しましたね。
おめでとうございます。
岡田監督のアレが実現しました。
アレは、今年の流行語候補に完全に入ったと思います

今週土曜日からの日本シリーズも阪神のアレ、期待したいです。

ところで阪神タイガーズのグッズ売場のアレはどうなんでしょうか。
アレとは、グッズ売場のVMDです。
全国各地に阪神グッズ売場があって、百貨店やスポーツ店もコーナーをつくっています。
ネットで調べると少なくとも前年対比50%は売れているみたいで、10倍の売上になったところも。
全体的な経済効果も1000億近くなるみたいです。すごいですね。

今年から売場塾は銀座で行っていて、野球チームのグッズ売場も店舗診断ルートになっています。
なぜなら、東京オリンピック、WBC、ワールドカップラグビー、バスケ、パレーとスポーツチームのキャラクターグッズ売場はここ数年かなり注目されている売場だからです。
コンサートやスポーツなどのエンタメ企業にとってグッズ販売は命綱。
ディズニーランドの物販売上が全体売上の40%というのは周知だと思います。

2.ジャイアンツとヤンキーズのアレを比べてみよう

手元に阪神タイガーズの売場写真はなかったので、羽田空港で撮影した読売ジャイアンツの売場を紹介します。
上記がそうです。

次に紹介するのは、ニューヨーク空港のニューヨークヤンキーズのグッズショップ。
上の写真をじっと見てください。

次に先ほどのジャイアンツの売場をじっと見てください。


次に、左右の写真を見比べてください。
日米のプロ野球チームのVMDを比較してみましょう。違いがわかりますか。

違いは一目瞭然。
鉛直面にありました。

鉛直面とは、建築用語で、垂直面のことをいいます。
VMD用語では、バーチカルマーチャンダイジングといいます。

人は立って店内を歩いています。
視野角といって、人の目は前方を上下50度の視野角の中に収めています。
その視野角の中には売場があります。

このジャイアンツの店を見る私の目の視野角も50度で、水平に切ると上30度、下20度で売場を見ています。
つまり、売場の上の方が目に入る範囲が広いということになります。

 

すると、手前の什器を飛び越して壁も見えています。
天井までは詳しく見えませんが、壁の上部の額もよく見えています。
上の図でわかるように、視野角に入る鉛直面の売場が見えています。

両社の違いは鉛直面、壁と什器の鉛直面の商品のたたずまいが違うんです。

そのたたずまいは、

A.フェイシング
B.ハーモニゼーション
C.ポイントプレゼンテーション

に違いがありました。

 

3.日米野球チームのたたずまいの違い

日米野球グッズ売場

さあ、日米野球対決です。
たたずまいが違って見える理由の一つ、壁面のフェイシングから詳しく見てみましょう。

 

A.フェイシング

ジャイアンツはバスタオルやぬいぐるみ、ポシェットなどが置かれていますが、そのたたずまいは、積み上げられているという感じ。

片や、ヤンキーズの壁面は、カットソーがハンギングされていて服のシルエットやデザインがよく見えます。
また、マグカップやキャップのデザインも見やすく、色も統一されています。
白いマグカップで固めたり、黒いマグカップで固めたりしています。

ヤンキーズの方が断然、デザインやシルエットが見やすく、わかりやすいです。
巨人はバスタオルに選手の名前があるみたいですが、積んであるバスタオルが邪魔してそれが読めません。

 

B.ハーモニゼーション

日米野球グッズ売場

次に壁面のハーモニゼーションを見てみましょう。
ハーモニゼーションとは、「商品をリズミカルに陳列するテクラック」のことです。
そう、陳列には魅力的に見せるテクニックがあるんです。

ジャイアンツの陳列は、どさっと積んであるんでリズミカルではないですね。
バスタオルもそうですし、ポシェットも真横一線にひな壇に並んでいます。
倉庫っぽい感じです。

ヤンキーズの方を見ると、マグカップや帽子が左右対称に陳列されているのがわかります。
しかも、真横一線ではなく波型に見えるように陳列されています。
陳列に凹凸があるんです。
くねくね波型に陳列されていて、アクティブな陳列。
しかもシンメトリーに並んでいるので、とてもきれいなたたずまいに見えます。

波型の陳列ってリズミカル。なんかワルツのようです。
アンドゥトロワみたいな感じの陳列、いいですね。

 

C.ポイント・プレゼンテーション

日米野球グッズ売場

3つ目の理由はポイント・プレゼンテーション。
これもVMD用語です。展示ディスプレイと訳してください。

VMDでは陳列のことをIP、展示のことをPPというんです。
詳しくは下記を一読ください。

●PPとは

島什器の陳列と展示を見てみましょう。
まずはジャイアンツ。

展示物であるPPは、エンドのPOP上部にある二つのバスタオルのようです。
キティとのコラボバスタオルですね。
後はすべて陳列で展示物がありません。片やヤンキーズの島什器の展示物はトルソ。
トルソとは半身のボディマネキンのことです。

I LOVO NYのTシャツがかわいいですね。
マグカップも三角形に積まれています。

確かにTシャツはたたんで積んでいるけれど、そこかしこに展示物があります。
ボディ2つに三角形に展示しているマグカップが2つ。
つまり、ヤンキースの方がジャイアンツよりも展示物が2倍多いんです。

3.オーケストレーションが歩行者の興味を引く

まとめです。

下記の3つの要素とは、オーケストレーションを構成する要素だったんです。

A.フェイシング
B.ハーモニゼーション
C.ポイントプレゼンテーション

オーケストレーションとは、壁面全体のディスプレイのことで、これを魅力的にすればするほど、店舗イメージもよくなります。
そのためには、ぜひ上のA,B,Cをしっかりつくってください。

 

お菓子売場日米対決

今度は、日米お土産売場対決行ってみましょうか。
上の写真右がハワイのお菓子売場、左は羽田空港のお菓子売場です。
どう違いますか。3つの要素で分析してみましょう。
詳しくは解説しませんが違いは判ると思います。

日米で特徴的なことは、アメリカの売場は商品は立てておいてあるけど、日本は寝かせて置いているんです。
ここが大きな日米の違いなんです。

オーケストレーションについてもっと知りたい方は、下記のブログもご覧になってください。
写真で詳しく解説しています。

●オーケストレーションとは


今年のWBCは日本が勝ったけれど、野球グッズ売場VMDでは日米どちらが上かというと、アメリカかもしれません。
巨人ファンの皆さん、ごめんなさい。
私はほとんど野球は見ないのですが、聞かれれば巨人ファンなので、ぜひ巨人グッズ売場よくしてほしいです。

全国のスポーツチームグッズ売場の皆さん、ぜひVMDを活用して魅力的な売場にしてくださいね。(^^)


(VMDインストラクター協会事務局)

メガネ店のVMD

メガネ店の売場づくりのコツ

メガネ店、あるいはメガネメーカー・卸の方向けに、今日はメガネ売場のVMDフレームワーキングしたいと思います。
メガネ売場を改善するフレームワークは主に下記です。

  • VMD分類
  • ゾーニング
  • リレーション
  • くくり
  • フェイシング
  • 定量
  • ディスプレイ構成
  • ディスプレイ用品
  • サイン編集
  • POP編集

それではフレーム項目に沿って解説していきます。

VMD分類・ゾーニング・リレーション

メガネ店は、特売、メンズ、レディス、ユニセックス、サングラス、キッズなどでフロアが区分されています。
この区分をゾーンと言い、それを考えることをゾーニングといいます。

それぞれのゾーンは、、PB(プライベート)ブランド、ナショナルブランド、海外ブランドなどのグループに分けられます。
グループはさらに、セルフレーム・メタルフレームなど素材別、またはオーバル、ボストンなどフレームのシルエット別に分けられます。

このゾーンやグループに分けるもとになるのがVMD分類
それをまとめると下記になります。

  • ブランド
  • 国内・海外
  • PB・仕入れ
  • 値段
  • 性別
  • エイジ(年齢)
  • フレームの色
  • 素材(メタル・セル・ツーポイント)

そのほかの分類としては、

  • オケージョン(つけるシーン、釣り・読書・スポーツetc)
  • テイスト(服と同じでクラシックとかモダンとか)
  • シーズン(春・夏・冬)
  • トレンド(アドバンス、コンサバなど)

などがあります。

VMD分類項目のどれを優先にするかで、ゾーニングやリレーションが変わってきます。
メンズ・レディス→ブランド→価格→フレームの素材 がいいのか、
メンズ・レディス→価格→ブランド→フレームの素材 がいいのか
メンズ・レディス→フレームの素材→ブランド→価格 がいいのか、
来店客の買い方によりかなり違ってきます。

例えば、レディスゾーンでも価格に敏感な女性が多ければ価格帯優先にゾーンを組むべきですし、ブランドに敏感な女性が多ければブランド優先にゾーンを決める必要があります。

よくあるのが、仕入れ先別ブランドにゾーニングしてしまうこと。
エイジやテイストが優先なのに、コーチ、ハナエモリ、ラルフローレン、カルバンクラインなどと仕入れ先別に売場を分割し、メーカー持ち込み什器で売場が混とんとしてしまうという例があります。

エイジが優先なら

  • ティーン(13-15歳)
  • ハイティーン(16-19歳)
  • ヤング(19-24歳)
  • ヤングアダルト(25-34歳)
  • アダルト(35-44歳)
  • ミドル(45-54歳)
  • マチュア(55歳~)

などと、エイジ別に分け、それにふさわしいブランドを配置すべきです。

その時の隣同士の売場は、必ず年齢が近いブランドを配置するなど考慮しなければいけません。
これをリレーションといいます。

くくり

売場の棚割りレベルの「くくり」に関してもゾーン同様、優先順位というものがあります。
先ほどVMD分類の項目で述べたとおり、

  • カラー
  • 素材
  • シルエット
  • トレンド
  • テイスト

などと分類項目が考えられます。

これもゾーン同様、お客様の購買優先順位を考えてくくります。
素材が優先なのに、フレームのシルエットを大くくりにしてしまい、次にメタル・セルとくくっても後の祭りです。
お客様が買いにくいこと、この上ありません。
本来は、売上データと顧客データを分析し、きちんと優先順位を決めるとベストです。
ただ、それができない場合は推測でもいいのでゾーンごとの優先順位を決めてください。
さらに優先順位は、男性と女性とで違うケースがあるので注意してください。

さて、くくりの仕方ですが、下記に留意してください。

・グリッドライン
シルエット別でも色別でもそれがわかるように、分類と分類の間を空けて、フレームを折りたたんだ場合は、「智」(ヒンジ部分)が一直線に揃うように置いてください。
これをグリッドラインといいます。

・ネガティブスペース
くくりが素材→シルエットでしたら、素材同士のくくりは8cm空けてシルエット同士のくくりは5cm開けるなど、最新の注意を払って陳列させてください。
この5cmとか8cmとかの隙間をネガティブスペースといいます。

定量

多くの一般メガネ店が、いろいろなブランドのメガネを仕入れており、店内に陳列しているその数は200種類を下らないでしょう。
ABC分析やC-C分析もせずに、卸やメーカーが持ってくるものをすべて並べていたら、棚はいろいろなブランドであふれかえってしまいます。

しかも、3万円のブランドも5,000円のブランドも同じようにぎゅうぎゅうに棚に詰めている様は、よろずメガネ店としかいいようがありません。
しかも、4万円のオリバーピープルズのフレームの横に6,000円のMr.JUNCOを置くなどリレーション(隣同士の関連性)も乱れていると言う始末です。

これを解決するために、定量と言って、プライスラインごとに置く数を決めることをお勧めします。

例えば、3万円以上のフレームは6cm間隔でフレームを並べ、1万円以下は3cm間隔で並べるなど、価格帯ごとに並べるスペースを決めます。
すると、価格帯により売場のたたずまいは変わりますので、お客様も「このブランドは高級そうだな」とブライスカードを見ずとも、すぐに認識できるのです。
高級ならブランドの世界観を逸することもなくなります。

フェイシング

メガネが他の商品と違うのは、商品が透明ということです。
これはレンズのことを言っています。
ほとんどのフレームには展示用のレンズがついており、天井のライトを反射してキラッと光っています。

実は透明というのはやっかいで、後の景色を拾ってしまいます。
つまり、フレームの後ろの他のフレーム、壁紙、POP、メガネケースなどあらゆるものが、レンズごしに見えてしまうのです。

するとどうなるか?
それら透過物はフレームのシルエットのノイズとなり、商品がきれいに見えなくなるのです。
特にプロップスの透過にも気をつけましょう。
プラダやグッチなど高級メガネには、こことばかりにみんな装飾を施します。
造花やスカーフ、壺にクリスマスツリーなど、メガネの後に配置しています。
するとそれらがレンズを通してノイズとなり、グッチのフレームシルエットがわからなくなるのです。

モデルのポスターも注意してください。
メーカー供給のポスターやPOPをそのままメガネの背後に置くと、やっぱりフレームのシルエットはわからなくなるのです。
「メガネの後には何も置かない」
このひとことを念頭に入れておいてください。

ディスプレイ構成・ディスプレイ用品

VPやPPなど、売場のフォーカルポイントとなる展示物は、美しいプロポーションが求められます。
そもそもメガネ自体、ノーブルでインテリジェントな感じのする商品なので、ディスプレイも品よく構成するのが望ましいです。

低価格帯のメガネは、一方向に等間隔でズラッと並べていますが、プラダとかバーバリーなどのハイブランドは展示のように置かれています。
ただし、メガネが通常のVP,PPと違うのは、それは見本ではなく売り物だということです
メガネ店ではディスプレイしているメガネはすべて現品です。
そのため、展示する商品は、取りやすく戻しやすくする必要があります

三角構成にする際は、本や辞書のようなプロップスやメガネスタンドを使った方が安定します。
針金やワイングラスを使ったワフティング(宙に浮かせること)も面白いですが、そこにフレームを置いたら不安定になります。
そういう展示はウインドウの中だけにしましょう。

サイン編集・POP編集

この場合のサインとは分類サインのことです。
メガネはその性質上、どれも同じに見えるし、メンズとレディスとを見間違えることもあります。
ブランドの他に、読書用・釣り用・スポーツ用・PCメガネ用など用途を絞ったメガも多数販売しています。

そんなみんな同じに見えるメガネをわかりやすくするために、分類サインや分類POPがあるのです。
分類サインとは、プラカードのようなものを什器上や天井近くに展開するもので、スーパーの「ふりかけ」「コーヒー」のようなプラカードと同じようなものです。

ところが、この分類サインが下記の理由でわからないケースが多いです。

  • サインとPOPの位置関係が逆転している。
  • サインがPOPや商品に隠れて見えない。
  • サインの位置がバラバラ。
  • サインのデザインがバラバラ。

例えば、一つの什器に「レイバン」「サングラス」「ポリス」というサインやPOPがあったとします。
レイバンの大きいPOPが什器の一番上にあって、その下に「サングラス」のサインと「ポリス」のPOPがあったりします。

これでは、サングラスの売場というのはわかるけど、どれがレイバンで、どれがポリスか、わからなくなります。
分類サイン展開の仕方は、天井近くが大分類のサイン、その下が中分類サインと心得ましょう。

POPに関しては、メーカー提供のPOPの扱い方に特に注意します。
POPを適当に置いている売場はどうなっているかというと、「メガネがPOPに埋まった状態」になっています。
スタンド型POPにしろ、プライスカードにしろ、棚でのPOPの位置を決めないと、POPが商品より主役になってしまいます。

ましてやタグ処理を怠っていて、フレームのブリッジやリムにタグが引っかかっていたり、ヨロイに糸がぐるぐる巻きついていたりと、タグがフレームのノイズになっている状態をよく見ます。
これでは、メガネのシルエットがよく見えません
タグは最小限にとどめ、つけたとしてもどの位置にどのようにつけるか決めなければいけません。
こうしたタグ処理とPOPの適正数量、POPの位置と取り付け器具をコントロールして、商品が主役になる売場づくりを心がけます。

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メガネVMD関係者の皆さん、わかりましたでしょうか、
メガネを心地よくショッピングできる快場つくってくださいね。
ちなみにホームページで私がかけているメガネは、シャルマンのラインアートです。
●オーバルリンク代表 深沢泰秀
さわやか~な感じを醸し出しています。(^^)

メガネのVMDもっと覚えたい、というあなたは、毎月開催している日本橋のセミナーにお越しください。
●VMDセミナー
またはオンラインでもやっています。
●オンラインVMDセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ドラッグストアの化粧品売り場

ドラッグストア・化粧品店の売場づくりのコツ

ドラッグストア業界、このところますます勢いづいていますね。
コンビニやスーパーマーケットの機能を付加させ、流通の覇権争いの中心業態になっています。

一方、化粧品店はメーカー別チャネルの整理が進んでいて、お店や売場のブランディングが進んでいます。
特に自然派化粧品、高級化粧品のブランドVMDが盛んです。

VMDの学校{売場塾」では化粧品メーカーの受講率が高く、売場自体をブランド化する目的で勉強されている方も多いです。

●ハリウッド化粧品のVMD

そんなドラッグストアと化粧品店のVMDについて今回はお話しします。
化粧品店やドラッグストアでよく使う売場づくりのフレームワークは、下記です。

・POP編集・制作
・フェイシング
・リレーション(売場のつながりのこと)
・くくり
・テーマ設定
・PP・IPの配置方法
・マグネット売場

それでは個々の直し方を説明しましょう。

●POP編集

化粧品店の店内にはたくさんのPOPがあふれています。
メーカーの販促物としてのPOP、お店の制作したPOP、卸会社の持ち込みPOP・・・。
これらが入り乱れている売場が多いんです。

基礎化粧品売場を見てください。

メイベリン、マキアージュ、KATE、雪肌精、SK-Ⅱ、コスメデコルテ・・・。
こういったブランドサインが売場のあちこちにありますが、ほとんどPOPで隠れていると思います。

目薬売場を見てください。

スマイル40、サンテPC、マイティアCL、アイボン・・・。
薬のパッケージの商品名が見えない、効能のキャッチフレーズが読めないと思います。
それはPOPがパッケージに覆いかぶさっているからです。

まだあります。

有名なタレントのPOPが化粧瓶を隠しています。
POSレールは4.5cm幅なのに、8cmくらいの大きなPOPがニョッキっと出ていて、シャンプーのラベルが隠れている売場があります。
格安表示の大きなプライスカードは、商品説明POPの上に覆いかぶさっています。

結論から言いましょう。
POPは読めなければ意味がありません。商品は見えなければ意味がありません。
POPがきちんと読めて、商品がきちんと見えるように陳列してください。

それにはまず、POPと商品陳列を含めた棚割りを考えることです。
棚の空いた隙間にPOPを貼る・・・こんな考えではいけません。

●フェイシング

ブランド商品はパッケージ自体もブランド。
お客様が棚をパッと見てブランドらしさがすぐわかるようにフェイスをつくってください。

ネピアの鼻セレブは、ちゃんとペンギンの顔が見えていますか。
キンチョーの蚊取り線香は、鶏のマークが見えていますか。

Agプラスは、ニオイ鑑定人のオバさんシールが見えていないとCM想起はされません。
ユンケルはやっぱり、イチローの顔が隠れていてはブランド感が減退します。

化粧品や薬は、パッケージそのものがPOP。
商品名はもとより商品の特徴を表しているコピー、テレビCMのタレント、商品のシェイプ・・・それらがきちんと見えるように陳列してください。
それをフェイシングといいます。

●くくり

いろいろなメーカーの商品が並んでいる売場はにぎやかさがありますが、探しやすくないとお客様のためになりません。
メーカー別に陳列商品をくくっていると思っても、アメーバのようにくくっていては探しにくいです。
つまり、タテヨコの商品のグリッドラインを揃えて陳列しないと、どんな種類の商品がカタまっているのか、お客様にはさっぱりわからないのです。

エッセンシャル、TSUBAKI、いち髪、パントーン、キュレル・・・。
こうした商品が、ブランド別にくくられて、さらに香り別にくくられて、さらにシャンプーとリンスとにくくられて、さらに詰め替えとボトルにくくらなければいけません。
フェイスはまっすぐ列数もそ揃えて、くくりもタテヨコにグリッドラインを揃えましょう。

●テーマ設定

「赤ちゃんのようなつるつるお肌」「夏の紫外線を撃破」「雨の日でもサラサラいい気分・・・」。
ワゴンエンドにその週のMDテーマ展示をしているお店は多いのですが、テーマに見合わない商品が棚にまぎれていないか、チェックしましょう。

「赤ちゃんのようなつるつるお肌」の棚に肌をつるつるにする入浴剤を集めたのに、「温泉の素」がまぎれている。
「夏の紫外線を撃破」のエンドに日焼け止めや乳液などを置いたのに、カラフルマニキュアがまぎれている。

こんなことがないように、テーマに沿った商品が展示・陳列されているかチェックしましょう。
ワゴンエンドは、ひとつのテーマに絞り込むとわかりやすいです。

●PP・IPの配置方法

PPは展示のこと、IPは陳列のことですが、これが同じ棚にバラバラに置かれていませんか。
PPはポイント・プレゼンテーションといい、IPはアイテムプレゼンテーションといいます。

※IPとPPは当社ホームページ「VMDのディスプレイ」参照

SK-Ⅱの棚、コスメデコルテの棚、トワニーの棚、クレ・ド・ポーの棚・・・。
こうした高級化粧品は、POPと展示物と展示台を一体化させた「展示」が必要なんです。

もちろん、テスターやカタログ・パンフも「展示」の中に入ります。
そして、隣接して「陳列」を置き、そこで商品を買い上げてもらうようにします。
つまり、展示は商品をアピールする場所、陳列を商品を買う場所と、メリハリをつけてディスプレイするんです。

ところが、展示と陳列をごっちゃにして「空いた棚に適当に置いている」店は、展示と陳列がバラバラになり、在庫置き場のように見えてしまいます。
これでは高級化粧品のブランドは瓦解してしまいます。

そうならないように、たとえひと棚のディスプレイでも、ひとつのブランドに限定し、展示と陳列のメリハリをつけたものにすることです。

化粧品の売場って、とくにクリスマス時期になったら大変。
美容部員さんがツリーやリースを自社売場に展示するのはいいのですが、先ほど言ったように、展示と陳列の区別をつけないで適当に置いた場合は、あわれなブランド空間になります。
ツリーのようなプロップスを含めたすべてのディスプレイ用品をどう配置するか、ディスプレイ構成を考えてディスプレイしてください。

●リレーション

ドラックストアは、ラックを単調に並べてその中に商品を入れ込みます。
ラックは、アイテムごとに並べられており、店内は大きく、化粧品、薬、エチケット用品、健康器具、健康食品、・・・などと大分類されています。

そして化粧品が、メイク、基礎化粧品、ヘアケアなど。
薬が頭、目、口、体、皮膚、胃腸など。
エチケットが、アロマ、バス、ボディ、オーラル、マスクなど。
健康器具が、ボディ、フェイス、家庭用品、服飾など。

と中分類に分かれています。
その下に、小分類、小々分類と細かく棚が分かれています。

各々の大分類・中分類・小分類・・・の隣通しの分類群や商品群がリレーション、つまり関連性がないと、お客様にとって不便極まりない売場になってしまいます。
それどころか、ついで買いが誘発されないため、買い上げ率が少なくなってしまいます。

中分類では、メイクのヨコに目薬が来る、健康器具のヨコにエチケットが来る。
基礎化粧品のヨコにマスクが来る。
こういう並び方では、ついで買いも誘発されず、お客様は買いにくいままです。

メイクのヨコがたとえ薬ゾーンだとしても、皮膚関連薬にすべきですし、基礎化粧品のヨコがたとえエチケットゾーンだとしても、バス・ボディなどのリラックス商品にすべきでしょう。

●マグネット売場

マグネット売場とは、目立つ売場のことです。
あなたのお店は、とにかく棚に商品を詰め込んでしまい、倉庫のようなお店になっていませんか。

倉庫のようなお店だと、すべての売場が同じように見えてしまい、踵が動きません。
つまり、「あっちの売場、おもしろそうだから行ってみようかな」という視覚的に魅力的に見える売場がないと、お客様は店内を回遊してくれないのです。

店内回遊時間が少ないと、買い上げ率も少なくなり、1人当たり買い上げ単価も少なくなります。
なので、魅力的に見える売場をそこかしこにつくりましょう。

商品的には、大量にCM打っている商品、特売商品、梅雨対策などを一カタマリにしてマグネットにしましょう。

展示的には、タレントの等身大ポスター、大きなマスクをつけたヘッドマネキン、すだれなどの風物的なプロップスを使用して飾りつけをしましょう。

店舗デザイン的には、木製什器とナチュラルな壁紙を使って「ナチュラルダイエット」というコーナーをつくりましょう。

体験販促的には、酵素の試飲コーナーをつくったり、梅雨の洗濯対策プロモーションを行って人を引き付けましょう。

このようなマグネット売場をフロアのそこかしこにつくることによって、お客様の回遊率をアップさせ、店内滞在時間を長くできるんです。

だいたいわかりましたか。
化粧品店・ドラッグストアの売場改善の仕方。

以上お話ししたフレームワークは、売場づくりの基礎セミナーもしくは、売場の改装・改善セミナーで具体的にお話ししています。

興味ある方はぜひお越しください。

●売場づくりの基礎セミナー

●売場の改装・改善セミナー

お越しをお待ちしております!!

(vmd-i協会事務局)

箱出しフェイシングで商品はわかりやすくなる

フェイシングとは、商品を一目瞭然にわかる置き方をいいます。
店内を歩いているお客様は一瞬棚を見ますが、その時に商品の特徴が一目瞭然にわからないと、次の売場にさっさと行ってしまいます。

しかし正しいフェイシングをすると、お客様が商品をパッと見た瞬間に下記の商品特徴がわかるので、立ち止まって商品を見てくれます。

  • 柄がわかる
  • シルエットがわかる
  • 使い方がわかる
  • 開いた状態がわかる
  • 閉じた状態がわかる
  • コーディネートがわかる
  • ブランドがわかる
  • 商品名がわかる
  • 世界観がわかる
  • 機能がわかる
  • 効果がわかる

フェイシングを怠って、お客様をスーッと通り過ぎさせてはいけません。

さて、箱出しフェイシングとは、商品を箱から出して陳列または展示することを言います。
世の中、ほとんどの加工商品は箱や袋の中に入っています。

  • お土産店のお菓子、調味料、飲料、酒
  • 玩具店のおもちゃ、プラモデル
  • 文具店のギフトカード、フレーム、アルバム
  • 薬局の薬、化粧品、サプリメント
  • スポーツ用品店のダイエット器具

お菓子を例にとってみましょうか。
箱や袋の中に入っているお菓子は、そのままでは見えません。
透明袋のお菓子の場合でも、袋の中でお菓子ひとつひとつが小包装されています。
お菓子を袋から出してフェイシングしないと何が入っているのか、お客様はわかりません。

菓子袋や菓子箱をそのまま陳列してもわからないのです。
単純な話、
・ドーナッツが入っているのがわからない。
・バームクーヘンが入っているのがわからない。
・マドレーヌが入っているのがわからないのです。

なので、菓子店、またはメーカーはサンプルを用意して、皿に盛りつけるなどして「何が中に入っているのか」わかるようにする必要があります。
デパ地下のGケースでは、お菓子の盛り付け例は頻繁にディスプレイされていますが、お土産店では箱をどさっと置いただけの状態になっています。
その場合は、アクリルフィギュアケースを利用してサンプル展示するなどしなければいけません。

玩具店の場合は、おもちゃのパッケージが透明塩ビのブリスターケースになっているので、何が箱に入っているのかわかります。
ブリスターケースでない場合でも、箱に中身の写真が施されています。
しかし、ここで安心してはいけません。
この場合、箱をフェイスアウトして中身を見せたり、箱の写真を見せなければいけないのです。
平置き、つまりシェルビングして置いているお店は、お客様にとってただの在庫置き場にしか見えないでしょう。

クリスマスや誕生日のギフトカードもそうですね。
カードだけ棚に陳列しても、わかりません。
カードを袋から出し、カードを開いて立体的なオブジェになるということを見せなければいけないのです。

クリスマスカードを袋から取り出して、飛び出すクリスマスツリーをディスプレイすれば、
お客様はそれを見て「わあー、このクリスマスカードすごーい」ということになります。

さて、箱出しフェイシングするスペースがない!!と悲鳴を上げている方は、演出POPか商品説明POPを掲示することをお勧めします。
演出POPとは、商品を魅力的に見せるPOPのことです。
見えないフィナンシェを皿にきれいに盛り、美しいテーブルに置いて写真を撮ります。
それをA5POPに掲示するのです。

すると、それを見たお客様は、美しいお菓子のシズル感に感銘して、「おいしそう」と商品を購入する気になるのです。

次に、薬局の薬や化粧品のフェイシングはどうあるべきでしょうか。
薬の場合は、ピルを箱から出して展示しても意味はないですよね。
お客様にとって、薬の形状はあまり関心ないからです。
かぜ薬などは箱出しフェイシングは必要ないでしょう。

では何が必要か。
それは、薬のパッケージをよく見えるようにして陳列することに他なりません。
というのは、薬はパッケージ自体がPOPになっているからです。
効果、効能、用途などがパッケージにイラスト入りで書かれていて、商品説明POPと同じ働きをしているからです。
POPレールでパッケージを隠さないこと、これにつきます。

化粧品の場合は、化粧水や乳液などのびん自体がきれいなフォルムになっているので箱からびんを出してフェイシングします。
ただし、化粧品の場合も薬と同じく、「効果が期待できるか」にお客様の関心はいくので、効果・効能を商品説明POPに集約して掲示します。
この場合は、びんの横に商品説明POPをA5~A6POPサイズで置くとよいでしょう。

スポーツ用品店のダイエット器具も薬や化粧品と同様です。
器具がどのようなものか、箱から出して展示してください。
そして、どのようにトレーニングしたらよいのか、器具を試す体験スペースをつくるとさらによいです。
そして、POP。これを使えば本当に痩せるのか?というのがお客様の最重要課題なので、効果・効能の商品説明POPを設置します。

だいたいわかりましたでしょうか。
箱出し・袋出しフェイシング。

特にお土産屋さんにアドバイスしたいです。
平素からたくさんの外国人が押し寄せています。
お菓子の箱を平置きで積むだけにしないでくださいね。
ニッポンの個性的なお菓子を箱出し、袋出しして、魅力的に見せてください。

ラグビーワールドカップ、そしてオリンピック。
この機を逃さず、ニッポン繊細なVMD、発揮させてください。

なお、フェイシングに興味ある方は、ディスプレイ・ワークショップを時々行っていますので、ぜひ遊びに来てください。
お待ちしております。

●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

(vmd-i協会事務局)