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VMDの目的と成果指標KPI

クライアントからVMDの依頼があった時、その背景を皆さん、訊いていますか。
例えば、下記の様に、現状のクライアントの背景をヒヤリングから聞き出します。

今までの店舗は、店員がディスプレイやPOPを 好き勝手につくっており、売場はPOPや装飾品だらけになり、品がない店内空間になっている。
世界で知られているブランドだけに、空間の 佇まいをきれいにし、見やすく買いやすい店内 にしたい。

当チェーン店は、高級化粧品を扱っていることで 有名な店舗であり、固定客も多い。特に美容部員の駐在するメイク、スキンケア部門の売上は大きい。
しかしながら、店舗に売場づくりのバラツキがあり、きれいに整った店舗と、だいぶ崩れた店舗がある。このバラツキをなくして、美容部員の売場づくり能力を平均点以上に高めたい。

今まではメーカーだったが、直営店を出すことに 決めた。今まで卸や小売りに売場づくりを一任 させてきたので、お店のつくり方がわからない。
メーカーとしては知られたブランドで、テレビCMもよくやっているので、下手な売場をつくりたくない。
売場づくりに長けたスタッフもいないので、困って いる。

これが、依頼の背景と言われているものです。
まずは、VMDインストラクターは依頼主の背景をじっくり聞くことが先決です。

背景がわかったら、次は目的を決めます。
VMD目的というものです。
「なんのためにVMDを導入するのか」ということをクリアにするわけです。

例えば、 「どの店舗も 世界的ブランドに恥じない佇まいをキープさせる」とか

「正しい陳列と展示方法、POPの付け方を 全美容部員がマスターする」とか

目的が決まったら、次はKPIです。つまり目標数値です。

例えば「ブランドガイドラインが成功しているか」 成功基準を決めなければいけません。
企業は、成果がわからなければ、人的・時間的・資本的投下はしないでしょう。
そのために、成果をKPIという数値に表すんです。

KPIはKey Performance Indicaterといいます。
どんな感じでもいいので、数字で表します。
抽象的な目的をきちんと数値化して見える化するわけです。

例えば、 店舗診断の採点を現在を1とすると、3のレベルに引き上げる。
とか
定期的なミステリーショッパーの評価を少なくともA-にする。
とか
お客様アンケートで売場の印象度を良にキープする。
とかです。

VMDインストラクターはコンサルタントの一種なので依頼主に対して、背景、目的、成果指標(KPI)、この3点セットは必ず最初に訊かなくてはいけません。
それを達成するために、見積もりを出し、仕事をするんです。

そして、その成果が達成された時の、これ以上の気持ちよさはありません。

よくあるのが、「店の売上を上げてほしい」という依頼が ありますが、これは依頼でも何でもないんです。
「売上を上げますよ」といったあなたは、ビジネスライクではないでしょう。
売上を上げるのも確かにKPIですが、その他にもいろいろな成果があるんです。

わかりましたでしょうか。
VMD導入の背景、目的、成果指標(KPI)。
VMDのお仕事、ビジネスライクにいきましょう。(^^)
(vmd-i協会事務局)

プロトタイピングでモデル店舗を作る

プロトタイピングとは、プロトタイプのお店をつくることです。
プロトタイプとは標準的なお店のことです。
実験店のようなものです。

チェーン店は、新規のショップブランド店を出す時や、今までの芳しくない店をリモデルする時に、お店を一から作り直します。
その時、もしこれが成功したら水平展開して他のお店も替えようということになります。
これがプロトタイピングの始まりです。

ユニクロやMUJIのお店がどんどんいい方向に 変化して行っているのかは、このプロトタイピングを常にしているからなんです。

例えば、MUJIの一昨年新しくオープンした、大阪グランフロントの店はプロトタイプです。
これまでにない、新しい店でした。

ショップデザインやMD、体験スペース、ディスプレイ等、VMDの4つのジャンル全てが変わった新しい展開でした。
このプロトタイピングがうまくいったので、他店も徐々にこの業態に変えていっているのです。

プロトタイピングは単に店舗をカッコ良く リニューアルするのではなくて、リモデルするのがポイントです。
売り方を一から変えるのです。

VMDインストラクターはこのリモデルの業務が多く、リモデルを企画運営実施できるノウハウやスキルをもっている方は1級といっていいでしょう。

このプロトタイピング、一つ欠点があって、実験店なのでお金がかかることです。お金をかければ、そこそこいい店はできるのですが、水平展開できなければ意味がありません。

すべてのチェーン店にお金をかけるわけにはいかなので、店舗改装費、維持費、人件費が全店にかからないようにしなければいけません。
だから、「改装するからお金かけてもいい」ということでプロトタイプ店をつくってしまうと、チェーン店展開が難しくなるのです。

もちろん、最初はイニシャルコストと言って、プラン・コンサルティング費、マーケティング費などがかかります。
しかし、2軒目以降はこの負担が少なくなります。

あと、プロトタイプの売上がダメだからといって、もうそれをやめてしまう会社も多いです。

プロトタイピングは、プロトタイプ1店つくったら終わりではなく、検証しながら徐々にいい方向へ変えて行くのです。

プロトタイピングにおける最初の店はうまく行かなくて当たり前。
なんせ実験店なので試行錯誤が必要なんです。
だから、最初の店を著名な建築家に頼んだだけでは意味ないんですよね。

プロトタイピングはプロジェクトチーム化が必要で、人員の振り分けと予算、そして経営幹部の容認が必要です。
だから、独立しているVMDインストラクターは、プロトタイピング1店限りの契約でなく、プロジェクトとして最低半年は契約することをお勧めします。
(vmd-i協会事務局)

売れない商品のカットの仕方

「ほこりをかぶっている」動かない商品が陳列されている小売店は多いはずです。

小売店にVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を導入するときに当社が必ずやることは、死に筋商品を見つけ、そしてカットすることです。

商品点数の10%、20%どころか、40%をカットして違うカテゴリーの商品に入れ替えたこともあります。

商品が棚から少なくなって、店員さんは困るかも知れませんが、お客様は一向に困りません。

困るどころか、お店が売りたい商品がわかるようになり、また商品もわかりやすく探しやすくなって、逆に買上率は向上するのです。

当社は過去3年VMDによって品揃えの見直しを図っていますが、商品をカットして売上が下がった事例は一度もありません。

さて、売れない商品をどのように見つけるか?

まずひとつは単品の売上推移から。
月々の単品の売上推移を見ます。

  • 売れていないのに、棚面積を大きく維持している商品はないか
  • 売れていないのに、ずっと置きっぱなしの商品はないか
  • どのカテゴリーにも当てはまらない、売上の上がらない商品は ないか
  • 付き合いで置いているような商品はないか

などに当てはまる商品を抽出していきます。

そのとき、注意しなくてはいけないのは

●プライスラインの端にあって、売れないがプライスゾーンの形成に役立っている商品。特に価格の大きい商品などは、お店の顔になっている場合があるので気をつける。

●お店のイメージを形作っている商品。
例えば、パソコン店がパソコンが収益悪いからと商品を少なくすれば何屋かわからなくなる。

など、単純に売れ行きが悪くなるからと言ってカットしては、他に影響が出る商品は売場を縮小こそすれ、維持していきましょう。

売れない商品を紐解いて、いろんな観点から検証すると売れないカテゴリーがあることに気がつきます。

そんなときはカテゴリーごとカットするかVMDのカテゴリー分類を再考します。

売場の商品を40%とか30%カットするお店はカテゴリーごとの見直しを行っているのです。

例えば、雑貨店で照明部門が弱ければ部門ごとカットしてバス用品を揃えるといった具合。 リビング用品というよりもサニタリー用品が強い雑貨店にするためにはその方がいいでしょう。

このように、単品の死に筋商品をカットしていくときは同時にカテゴリーの再編成を考えていきます。

そうすれば、このお店は●●部分を強く打ち出しているな、ということが来店客にわかるようになります。

それはお店の特徴にもなります。

(vmd-i協会事務局)

MD分類とVMD分類の違い

VMDの分類には、MD分類とVMD分類の2種類があります。

MD分類とは、仕入れの目安にする分類のこと。
VMD分類というのは、仕入れた分類を売場に展開する時の分類をいいます。

例えば、あなたが百貨店のバイヤーでハンカチを仕入れるとします。
通常は、メーカー別に仕入れますからバーバリー、カルバンクライン、レノマ、マークジェイコブス・・・などメーカーの取り扱いブランド別に仕入れるでしょう。
これをMD分類と言い、その際の切り口は、商品ブランドになります。
でも、実際に売場に並べるとなると、勝手が違います。

・柄別に分ける。
・色別に分ける。
・素材別に分ける。
・・・
となると、必ずしも、仕入れたMD分類と同じ分け方ではなくなります。

これをVMD分類と言って、売場に来たお客様の目線で分類をし直したことになるのです。

例えば、レノマでも、チェックがあったり、水玉があったりするし、カルバンクラインでもチェックがあったり、水玉があるでしょう。
その場合、水玉模様のハンカチの売場にはレノマとカルバンクラインが同居する形になります。

だから、売場のVMD担当は、バイヤーが仕入れた通りの分類で売場に並べなくてもよいことになるのです。

MD分類とVMD分類をわかりやすく言うと、MD分類は、バックヤード分類。VMD分類は、店頭分類。
と言えます。

バックヤードの在庫置き場が商品ブランド別でも店頭にいざ置く時は、柄別に早変わりします。

だから、店頭VMD担当者は、お客様の買い方をいつも注意深く観察して、臨機応変に柄別
・色別・サイズ別・性別・価格別・・・
というように店頭分類を変えていかなければいけないのです。

でないと、もしお客様が価格別でハンカチを選択購入している場合に、売場が柄別になっていると、1500円のハンカチを求めて売場を右往左往しているお客様の姿が露見してしまうでしょう。
これでは、お客様を思いやった売場と言えません。

MD分類は一度仕入れたら1からやり直すことは手間が多分にかかるが、VMD分類は、機転を利かせればすぐに再編成できます。

だから、売場のVMD担当者は、常日ごろからお客様の買い物行動を観察することが大切。

お客様の買い方に合った分類を心がけていくと売れる売場になることは間違いありません。
(vmd-i協会事務局)

寒色・暖色・中性色のディスプレイテクニック

寒色・暖色・中性色。
これらは、色物を扱っている店では常識の色です。
寒色とは、寒い色のことを言います。
青、白、水色、青緑、これら全部寒色です。
アナと雪の女王の色ですね。

暖色とは、暖かい色のことをいいます。
赤、オレンジ、黄色、ピンク、これら全部暖色です。
Jリーグのエスパルスカラーの色ですね。

中性色とは、寒くも温かくもない色。
緑、青紫、紫、赤紫、黄緑、これら全部中性色です。
中間色とは言わないので、注意してください。
中間色とは、茶色、グレーなど渋く濁った色をいいます。

あなたがアパレル店VMDなら色に敏感になりましょう。
店内ディスプレイで、季節に合わせた色を表現するように心がけます。なぜなら、VMDの世界では、「季節には季節の色を」が鉄則だからです。

春が近づいているのに、寒色だと寒いかなて気がしますね。
確かに今日は大寒だし、寒い日が本格的になりますが、それでも 季節は春に向かっているんです。
寒色は出していてもいいけれど、春らしい色をたくさん出しましょう。

都内の一部の百貨店はいつもよりも1か月品揃えを早くしていてそこに行くと春気分になりますよ。
やっぱり春の訪れ感じるなんて楽しいですよね。

もう一度いうと、 寒色・暖色・中性色って季節の色を指すのです。
春には春の色、つまり暖色をたくさん出してください。
出す場所は、フェースアウト、VP,PP、ホールデッドの一番上、T字売場のどん突きが定石。
ここならすごく目立ちます。
ブランドの中ではIPの色の配列が決まっているので。
お客様の目につく場所に「暖色が一番目立つように並べて」 ください

そして、GWが近くなったら中性色の黄緑、緑を出しましょう。
季節は新色なんです。
季節が高まるにつれて、トーンを彩度高くしてくださいね。
今はペールトーンでいいけれど、夏はビビッドトーンです。

ということで、明日はオレンジの暖色着ていきます。
明日も寒そうなので、気分はるんるんでいきます。 それではまた。

(vmd-i協会事務局)