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ランダムリニアのディスプレイ

個性的なディスプレイ構成にするコツ

今日はディスプレイ構造線の表現方法をお話しします。
ディスプレイ構造って三角構成が基本だけど、それだけじゃあつまらないですよね。
もっといろいろな構成表現があってもいいはず。

それで今日は、リニアスキームを駆使した構造線の作り方をお教えします。
リニアスキームのリニアとは線のこと。
スキームとは、策略のこと。
リニアスキームとは、線を策定してディスプレイを表現する技法なわけです。

リニアスキーム、忘れた人はこちらを読んで復習してください。
●ディスプレイ、なぜ三角形がよい?

まずはAとBのコップの三角構成の構造線を見てみましょう。

ディスプレイの印象、どう違う1

これに構造線を入れるとこうなります。

ディスプレイの印象、どう違う2

A・B二つを比較してみましょう。
特に赤い線を意識してみてください。

Aはりりしく見えて威風堂々としています。
Bはコップがあちこちを向いていて、落ち着かないですよね。
でも、とてもアクティブに見えます。

このように、構造線が変わるとディスプレイの印象は変わるんです。
これがリニアスキームの醍醐味です。

青い線はディスプレイの輪郭の構造線なのですが、商品そのものの置き方や向きが作用してディスプレイの中身にも構造線を作ることができます。

ディスプレイの構造線はざっと下記のタイプがあります。

●いろいろなリニアスキーム
リニアスキーム技法いろいろ

ディスプレイは色や柄、素材や形でテーマやテイストを表現できますが、リニアスキームを使えば、表現の深みを増すことができることを覚えてください。

それでは、実際に身近な例でリニアスキームのハウツーを解説します。
あなたがリビングルームでコーヒーを飲んでいたとします。
テーブルの上のディスプレイをいろいろな構造線で作ってみます。

●横の構造線
ディスプレイ 横の構造線2

これは横の構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 横の構造線1

なんか穏やかですよね。
ボーダーのランチョンも横を意識して配置しました。
おちつく~って感じ。

●斜めの構造線
ディスプレイ 斜めの構造線1

これは斜めの構造線です。
実際に線を入れてみます。

ディスプレイ 斜めの構造線2
横だけの構造線と違って、動きが出てきたと思います。
なんか、楽しい!!
元気が出てきそうなディスプレイになったと思います。

●丸い構造線
ディスプレイ 丸い構造線1

これは丸い構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 丸い構造線2

ふわっとしていて、物事がきちっと収まっているという感じ。
親しみやすく、温かみが感じられるディスプレイになりました。

●ジグザグの構造線
ディスプレイ ジグザグの構造線1

今度はジグザグの構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ ジグザグの構造線2

斜めだけの構造線も動きがありましたが、よりアクティブになりました。
きびきび、リズミカルに動いています。
そう、ディスプレイが動いて見えるんです。
楽しい夏の行楽の雰囲気がよく出ています。

●波型の構造線
ディスプレイ 波型のリニアスキーム1

今度は波型の構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 波型のリニアスキーム2

ジグザクの構造線と違って、そんなにきびきびしてないですよね。
ゆっくり動いているという感じ。
とても自然な動きです。
自然の時に身をゆだねているな~って感じ。

●クロスの構造線
ディスプレイ クロスの構造線1

今度はプラスのカタチにクロスしている構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ クロスの構造線2

バランスとてもいいですね。
安定感があって、なにがあっても揺るがない感じ。
どっしり風格があります。

●放射状の構造線
ディスプレイ 放射状の構造線1

今度は放射状の構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 放射状の構造線2
クジャクの羽のように優雅だと思います。
なんかパーティっぽい、という感じになっていると思います。

だいたいわかりましたか。
リニアスキームを使ったディスプレイ表現の仕方。
毎日のコーヒータイムでも、ディスプレイ構造変えるだけで、こんなに楽しくなるんです。

ちなみに、これは紀平梨花を模しました。

紀平梨花のディスプレイ

きのうの4回転ジャンプすごかったです。
それを表現しました。(^^)
ダイナミックでいて流れのある4回転サルコーでしたね。

ディスプレイって楽しいですね。
2月にまたディスプレイセミナーやりますので、手ほどき受けたい方はぜひ来てくださいね。
●VMDディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

履歴書イメージ

VMDで転職するときの経歴書の書き方

VMDとして転職しようと思っている皆さん、今日は経歴書(ポートフォリオ)の書き方を伝授します。

ポートフォリオに関しては、今までたくさんのVMD経験者が当社に面談に来ていて、山ほど経歴書を見ました。

悲しいことに、ほとんどのVMD経験者のポートフォリオは「作品集」という形式です。
つまり、今までつくったディスプレイの写真を掲載しているだけの方が多いです。

作品集を見せるのはいいんですが、こちら側とすれば、ディスプレイがきれいにできるのはわかった、で、あなたのオリジナリティってなんなの?
といつも思っています。

ディスプレイをきれいに作れる人は多いけれど、「私ディスプレイ、こんなにきれいにデキるんです」だけではあまりにPRが乏しいです。
なぜなら、ディスプレイはできて当たり前、あなたならではのオリジナリティを企業は求めているんです。
ポートフォリオは企業に対するVMDプロのプレゼンボードだと思ってください。
例えば、こんな感じ。

●「私は、予算をほとんどかけずにお菓子の余っているパッケージだけで、素敵なディスプレイができちゃうんです」
と言って、お菓子店の菓子箱のみを使って作った、見事なオブジェ作品をプレゼンする。

●「私は100円ショップで売っているプロップスだけを使って、低予算でディスプレイが作れちゃうんです」
と言って、100円ショップのプロップスを使ったディスプレイ作品をプレゼンします。
「すごい、ほんとにこれ、100円ショップで売っているだけのもので作ったの??」という感嘆を与えるでしょう。

●「私はディスプレイしてもなかなか売れない商品を、POPの文句を変えるだけで、売れるようにしました」
と言って、自ら作ったPOP作品を売上実績といっしょにプレゼンします。
POPの文句を変えたら、いつもなら1か月10万円しか売れない饅頭が50万円売れました、という売上高のグラフをいっしょに見せるんです。

こんな感じで、あなたしかできないものは何か?というのをぜひPRしてください。

ちなみにVMDインストラクターの方は、VMDインストラクターであることを、ぜひ面接の場でPRしてください。
VMDインストラクターは、店舗診断、OJT、研修ができる人ですので、例えば施行会社に自己PRするとき。

●「コンペでクライアントに施工パースをプレゼンするときに、私の店舗診断シートを添付すると、100%プレゼンが通るんです」
とか

●「クライアントには店舗デザインだけではなくて、ディスプレイの直し方もプレゼンできます。つまり施工というハードに、リバイスの仕方というソフトもプレゼンできちゃうんです」

とか言ってほしいです。

本当の話、施行会社などといっしょにコンペに参加した場合は、55のフレームワークを使った店舗診断シートを添付すれば、100%の確率で勝てています。

VMDで転職したい皆さん~、ぜひ説明会にお越しください。
転職のコツ、お教えします。(^^)
●売場塾&VMDインストラクター説明会
●売場塾&VMDインストラクター説明会(オンライン)

(vmd-i協会事務局)

ディスプレイに群化の法則を活用しよう

群化の法則というものがあります。
群れを同族と認識する、人間の心理から成り立っている法則です。商品の陳列がバラバラでも、色や柄、サイズやカタチなど同族商品を同じものとして認識できることをいいます。

この群化の法則は、くくりと密接な関係があります。
くくりは、VMD基本講座で習った通り、垂直くくり、水平くくり、ブロックくくりなどがあります。塊を囲うことによって柄や素材、色などの群れを認識しやすくする手法です。

一方、群化の法則はくくりというよりはモノの置き方で、くくりをデザインとして捉えさせる手法です。
上記図の7つの法則から成り立っています。

くくりは、くくるという言葉から来るように、同じ仲間を縄でくくって同族にする、という発想です。
でも、優れた人間の知覚は単純でなく、離れているものでも同族だという認識ができるため、上の図のように、色やカタチが離れていても同族ととらえることができます。

群化の法則は、ネガティブスペース、シンメトリー、リピテーションなど私たちVMD関係者になじみの深いパターンを応用していますので、構図的にも優れます。美術に群化の法則が用いられるのも納得がいきます。

群化の法則は、シャンプーやマスクといった日用品売場で使うよりも、衣料品、ケーキ、チョコレート、アクセサリー、書斎用品、革製品、バッグの専門店など、陳列を個性的にしたい売場で活用することができます。

販売チャネルとしては、DIYショップやドラッグストアではなくて、ブランドショップ、百貨店、バラエティショップ、アミューズメントショップ、空港やテーマパークの売店などで使えます。

興味があったらディスプレイセミナーで実際にディスプレイしてみよう。
●売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイをしっかり見せるためのコツ

ディスプレイのセンスがないとお嘆きの皆さん、大丈夫です。
ディスプレイのセンスはスキームを勉強することで向上します。
スキームとはなんでしょうか。
一言で言うとコツなんです。

今回も写真を使って解説します。

この間は、リニアスキームを使ってのディスプレイ構成のうまい作り方をお教えしたので、今度はリーディングラインというスキームを使ってディスプレイをきちんとお客様に見せるコツを会得します。

まずは上のAとBのディスプレイを見てください。

紅茶のディスプレイです。
A,Bどちらのディスプレイの方がよいと思いますか。

答えはB。

Bの方が小売店にとっても紅茶メーカーにとってもいいんです。
Bがいい理由は、3種類の紅茶すべてが目に留まるからです。

写真を使って解説します。
まずAから。

青い線をお客様の視線だと思ってください。
これをリーディングラインと言います。

このディスプレイの第一のフォーカルポイントは中央の缶です。
真ん中にあって目立つからです。

一方、左右の紅茶缶は斜めを向いていて、中央の缶ほどは目立ちません。
それどころか、左右の缶の向きは中央の缶を向いているので、お客様の視線も缶に向いてしまいます。

これはどういうことでしょうか。
リーディングラインは、モノの向いている向きに影響されます。
両方の缶を人間だとすると、両方の人物は中央の缶をじっと見ている構図になります。
人の視線は他人が見ている方向を追う性質があるので、自然と両方の缶が向いている方を見てしまいます。

すると、お客様のすべての視線は中央の缶に向いてしまいますので、中央以外の缶は目だたなくなるんです。

これがBだと、リーディングラインはこうなります。

リーディングラインはやっぱり中央が強いのですが、左右の缶はまっすぐ前を見つめているため、サブリーディングラインになるんです。
そのため、3種類の缶がいっしょに目だつんです。

改めて比べてみましょう。

リーディングラインの使い方、わかりましたか。

さあ、今度は復習です。
AとB、どちらが優れたディスプレイですか。

答えはB。

リーディングラインはこうですね。

Aだと、せっかく左右に振れた視線が結局は中央の紅茶に戻ってしまうんです。
左右のコーヒーが中央の紅茶を見てね!!と言っているのかのように視線からどいているようにみえますよね。
中央は王様のおでまし~という感じ。
左右のコーヒーは家来になっています。

これではコーヒーがかわいそう。
なんで、コーヒーも正面向きにして、お客様の視線を中央に行くのをなるべく防いでいるんです。

わかりましたでしょうか、リーディングライン。
いくつかの百貨店が、Aを禁止しているのはこのためなんです。

VMDインストラクターの皆さん、商品は真正面に置きましょう。
「上からも三角形」を意識してしまうと、左右の商品が目立たなくなるので注意しまょう。

なお、今回のリーディングライン、オンラインセミナーで詳しく教えています。
実際にディスプレイをつくってみる実技もあるので、ぜひ参加してみてください。
年2回やっています。
●センスアップセミナー ディスプレイ構成PART3

(VMDインスタラクター協会事務局)

ディスプレイ、なぜ三角形がよい?

ディスプレイはなぜ三角形がよいのでしようか。
今日は美術用語を使ってこれを解き明かしたいと思います。

三角構成がよいのは、下記で説明がつきます。

●リニア・スキーム
●フォーカルポイント
●フォーマルバランス
●バランサー

リニア・スキームとは、メインの線とそれを支えるサブの線を活用した構図をいいます。
絵画を鑑賞するときに、これらを活用すると便利です。

上の絵を見てください。
例えばモナリザは、頭から下にすそ広がりになった三角形の構図になっています。

顔から胸のラインはメインラインでモナリザの頭と手を結びます。
サブラインはサックドレスの左右の輪郭線になります。
このメインラインとサブラインは三角形の構図になっており、富士山のようにすそ広がりになっているので、安定しています。
すそ広がりの方が重しが下にあるので安心感があるんですね。

リニア・スキームをコップのディスプレイを使って表すとこうなります。
モナリザと同じですよね。

フォーカルポイントとは視線が集中するポイントのことです。
人は線の帰結線をとても気にしますので、線の後を追っていくんです。
メインラインとサブラインを追っていくと、交わった頂点がフォーカルポイントになりますから、一番上のコップが目立つんです。
何かを目立たせるためには、ラインの交わったところに置くとよいです。

次に、フォーマルバランスについてですが、下の写真のコップのディスプレイがフォーマルバランスになっています。

つまり、左右に均等にコップが置かれている状態で、すごく安定しています。
重量が均等なんですね。
落ち着いたどっしりした商品は、この方が優雅で安定します。
高そうな食器や時計はこのようにディスプレイすると効果的です。

でもこのような完璧なシンメトリー(左右対称)は、ややもすると飽きます。
バランスが整いすぎて変化がないのがつまらないんです。
芸術は変化を好みます。
そこでコップをアンバランスにしてみます。

どうですか。
左に支えがないので不安定ですよね。
右の斜めの線だけでは、おっとっと!という感じですよね。
実はこのおっとっと!という不安定な感じ、このように展示を繰り返すリピテーションに効果的なんです。

でも、どうしてもバランスを取りたい!という方は、バランサーを使いましょう。
バランサーとは継ぎ手のようなもので、バランスをとるための線なんです。
これを見てください。

この矢印がバランサーです。
バランサーを使うと少し安定してくるでしょう?
改めてこの2つを比較してみてください。
左がバランサーなし、右がありです。

バランサー、売場塾の古い写真を振り返って応用してみましょう。15年前の写真です。
左に物足りなさを感じるのは、右のライナーがめくれていてそこに重さを感じます。
なので、左にシュガースティックをバランサーとして置いてみます。(矢印のもの)

すると安定しました。

まとめです。

  • ディスプレイにはリニア・スキームというメインの線とサブの線があり、それらを支えあうように構成すると安定してくる。
  • 三角構成は左右の輪郭ラインが末広がりになっているのでとても安定している。
  • 三角構成は左右の重心を同じにすればさらに安定する。
  • ただし、重心を崩させバランサーで適度に安定感を与えてやると、ディスプレイは個性的になる。

いかがでしたでしょうか。
今日は、リニア・スキームを使って三角構成を説明してみました。
絵画の見方とディスプレイの見方は実に類似点がありました。

実は、今回の緊急事態宣言下、売場塾のすべてのテキストを改訂しました。
その中でディスプレイ指導講座には上記のような美術用語も取り入れています。

●ディスプレイ指導講座

受講する方はお楽しみに。(^^)

(vmd-i協会事務局)