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ディスプレイをしっかり見せるためのコツ

ディスプレイのセンスがないとお嘆きの皆さん、大丈夫です。
ディスプレイのセンスはスキームを勉強することで向上します。
スキームとはなんでしょうか。
一言で言うとコツなんです。

今回も写真を使って解説します。

この間は、リニアスキームを使ってのディスプレイ構成のうまい作り方をお教えしたので、今度はリーディングラインというスキームを使ってディスプレイをきちんとお客様に見せるコツを会得します。

まずは上のAとBのディスプレイを見てください。

紅茶のディスプレイです。
A,Bどちらのディスプレイの方がよいと思いますか。

答えはB。

Bの方が小売店にとっても紅茶メーカーにとってもいいんです。
Bがいい理由は、3種類の紅茶すべてが目に留まるからです。

写真を使って解説します。
まずAから。

青い線をお客様の視線だと思ってください。
これをリーディングラインと言います。

このディスプレイの第一のフォーカルポイントは中央の缶です。
真ん中にあって目立つからです。

一方、左右の紅茶缶は斜めを向いていて、中央の缶ほどは目立ちません。
それどころか、左右の缶の向きは中央の缶を向いているので、お客様の視線も缶に向いてしまいます。

これはどういうことでしょうか。
リーディングラインは、モノの向いている向きに影響されます。
両方の缶を人間だとすると、両方の人物は中央の缶をじっと見ている構図になります。
人の視線は他人が見ている方向を追う性質があるので、自然と両方の缶が向いている方を見てしまいます。

すると、お客様のすべての視線は中央の缶に向いてしまいますので、中央以外の缶は目だたなくなるんです。

これがBだと、リーディングラインはこうなります。

リーディングラインはやっぱり中央が強いのですが、左右の缶はまっすぐ前を見つめているため、サブリーディングラインになるんです。
そのため、3種類の缶がいっしょに目だつんです。

改めて比べてみましょう。

リーディングラインの使い方、わかりましたか。

さあ、今度は復習です。
AとB、どちらが優れたディスプレイですか。

答えはB。

リーディングラインはこうですね。

Aだと、せっかく左右に振れた視線が結局は中央の紅茶に戻ってしまうんです。
左右のコーヒーが中央の紅茶を見てね!!と言っているのかのように視線からどいているようにみえますよね。
中央は王様のおでまし~という感じ。
左右のコーヒーは家来になっています。

これではコーヒーがかわいそう。
なんで、コーヒーも正面向きにして、お客様の視線を中央に行くのをなるべく防いでいるんです。

わかりましたでしょうか、リーディングライン。
いくつかの百貨店が、Aを禁止しているのはこのためなんです。

VMDインストラクターの皆さん、商品は真正面に置きましょう。
「上からも三角形」を意識してしまうと、左右の商品が目立たなくなるので注意しまょう。

なお、今回のリーディングライン、オンラインセミナーで詳しく教えています。
実際にディスプレイをつくってみる実技もあるので、ぜひ参加してみてください。
年2回やっています。
●センスアップセミナー ディスプレイ構成PART3

(VMDインスタラクター協会事務局)

ディスプレイ、なぜ三角形がよい?

ディスプレイはなぜ三角形がよいのでしようか。
今日は美術用語を使ってこれを解き明かしたいと思います。

三角構成がよいのは、下記で説明がつきます。

●リニア・スキーム
●フォーカルポイント
●フォーマルバランス
●バランサー

リニア・スキームとは、メインの線とそれを支えるサブの線を活用した構図をいいます。
絵画を鑑賞するときに、これらを活用すると便利です。

上の絵を見てください。
例えばモナリザは、頭から下にすそ広がりになった三角形の構図になっています。

顔から胸のラインはメインラインでモナリザの頭と手を結びます。
サブラインはサックドレスの左右の輪郭線になります。
このメインラインとサブラインは三角形の構図になっており、富士山のようにすそ広がりになっているので、安定しています。
すそ広がりの方が重しが下にあるので安心感があるんですね。

リニア・スキームをコップのディスプレイを使って表すとこうなります。
モナリザと同じですよね。

フォーカルポイントとは視線が集中するポイントのことです。
人は線の帰結線をとても気にしますので、線の後を追っていくんです。
メインラインとサブラインを追っていくと、交わった頂点がフォーカルポイントになりますから、一番上のコップが目立つんです。
何かを目立たせるためには、ラインの交わったところに置くとよいです。

次に、フォーマルバランスについてですが、下の写真のコップのディスプレイがフォーマルバランスになっています。

つまり、左右に均等にコップが置かれている状態で、すごく安定しています。
重量が均等なんですね。
落ち着いたどっしりした商品は、この方が優雅で安定します。
高そうな食器や時計はこのようにディスプレイすると効果的です。

でもこのような完璧なシンメトリー(左右対称)は、ややもすると飽きます。
バランスが整いすぎて変化がないのがつまらないんです。
芸術は変化を好みます。
そこでコップをアンバランスにしてみます。

どうですか。
左に支えがないので不安定ですよね。
右の斜めの線だけでは、おっとっと!という感じですよね。
実はこのおっとっと!という不安定な感じ、このように展示を繰り返すリピテーションに効果的なんです。

でも、どうしてもバランスを取りたい!という方は、バランサーを使いましょう。
バランサーとは継ぎ手のようなもので、バランスをとるための線なんです。
これを見てください。

この矢印がバランサーです。
バランサーを使うと少し安定してくるでしょう?
改めてこの2つを比較してみてください。
左がバランサーなし、右がありです。

バランサー、売場塾の古い写真を振り返って応用してみましょう。15年前の写真です。
左に物足りなさを感じるのは、右のライナーがめくれていてそこに重さを感じます。
なので、左にシュガースティックをバランサーとして置いてみます。(矢印のもの)

すると安定しました。

まとめです。

  • ディスプレイにはリニア・スキームというメインの線とサブの線があり、それらを支えあうように構成すると安定してくる。
  • 三角構成は左右の輪郭ラインが末広がりになっているのでとても安定している。
  • 三角構成は左右の重心を同じにすればさらに安定する。
  • ただし、重心を崩させバランサーで適度に安定感を与えてやると、ディスプレイは個性的になる。

いかがでしたでしょうか。
今日は、リニア・スキームを使って三角構成を説明してみました。
絵画の見方とディスプレイの見方は実に類似点がありました。

実は、今回の緊急事態宣言下、売場塾のすべてのテキストを改訂しました。
その中でディスプレイ指導講座には上記のような美術用語も取り入れています。

●ディスプレイ指導講座

受講する方はお楽しみに。(^^)

(vmd-i協会事務局)

美的形式原理をディスプレイに応用しよう

なぜ、みなさんはこのディスプレイはきれいだ。
このディスプレイは美しい、と思うのでしょうか。

きれいなものには法則がありました。
それが美的原理というものです。

美的形式原理は下記の7つの法則があります。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

どの言葉もなじみがあると思います。
そう、売場塾の授業でよく出てくる言葉だからです。

ハーモニーは、ハーモニゼーションのところで出てくる等間隔陳列、ウエーブ陳列が思い起こされます。

バランスは、オーケストレーション自体がそうです。
壁面の集合ディスプレイのバランス加減でよくも悪くもなります。

プロポーションとは、黄金比、三分割比、ラバットメントパターンなどかあり、絵画でよく使われている法則ですが、ディスプレイでも使えます。

コントラストとグラデーションは、色の授業で出てきました。
リズムに関してはリピテーションがその代表と言えましょう。

美的形式原理はディスプレイだけでなく、店舗デザインやPOPでも使えます。
一度、美術の本を紐解いてこの原理を深く学ぶのもよいですね。
または当社ディスプレイ指導講座でみっちり鍛えています~。

●売場塾 ディスプレイ指導講座

(vmd-i協会事務局)

売上を上げるには完全リバイス!

リバイスとは売場の再編集の意味で、店内の売場を短時間で改善することです。

●リバイス

リバイスの活用目的は下記があります。

  • 52週の期の変わり目の売場改編
  • 生産性をよくするための売場改善
  • スタッフOJTなどの実習
  • ガイドラインのBefore After事例作成
  • 改装・新装のインスタレーション

百貨店、ドラッグストア、スーパー、カー用品店、バラエティストアなど、ほとんどのお店は毎週売場が変わっています。
これを52週MDサイクルといいますが、このタイミングで小売店・卸・メーカーは売場をリバイスしています。

リバイス作業には、当社フレームワーク55のうち5科目37課目を活用しています。
5科目のうち4科目とは下記です。

  • ゾーニング
  • IP
  • PP,VP
  • POP

メーカー、インショップの場合は下記の1科目が加わります。

  • GP,AP

今度は部分リバイスと完全リバイスの違いをお話しします。
リバイスはこの2種類に分かれます。

まずは部分リバイスからお話しします。
部分リバイスとは、店舗全体をリバイスせずに店舗の一部分を直すことです。
特に下記の場合です。

・フロアの中~小分類を直す。
例えば、百貨店なら下着・靴下などの洋品売場、おもちゃ店ならガールズトイ売場、バッグ店なら旅行鞄売場、家電店なら洗濯機売場を直すような感じです。

・1スパン、1カセットを直す。
アパレルならパーティスタイルのカセットのみ、デニムカセットのみ、カー用品店ならカーオーディオの1スパンのみ直すといった具合です。

この作業、2、3時間で終わることが多いので、VMDインストラクターも頻繁にOJT研修に取り入れています。
ラックの移動が容易な雑貨店、加工食品売場、生活用品店、おもちゃ店はゾーニングから直すことができます。
また作業がディスプレイ中心になるので、やって楽しく、売場のBefore Afterを見て違いがよくわかるので現場スタッフ教育に多大に貢献します。

今度は全体リバイスをお話しします。

全体リバイスとはフロア全体をリバイスすることです。
とはいえ、せいぜい50坪までです。
ゾーニングから直すため時間がかかり、1日6時間ではこの面積が限度だからです。
百貨店、GMS、スーパーはフロア全体が150~300坪もザラですので、すべてを1日でリバイスできません。
その場合は閉店リバイスといって2日~1週間はフロアを閉業せざるを得ません。
その場合は、OJTに利用するというより改装のための作業という位置づけになります。

OJTで行う完全リバイスは50坪以下の売場を利用しています。
50坪の売場でも30名前後の受講生を揃えれば、ゾーニングから作業できます。
量販店や百貨店だけでなく、SCに入居しているテナントも50坪以下の店が多いので、テナントショップを対象に全体リバイス研修をするケースは多いです。

さて、ここからが本題です。
部分リバイスと完全リバイス、どちらが売上が上がるかについて話します。
それは完全リバイスの方が圧倒的に売上が上がるということです。

最近、過去8年間の毎年の上位5位のべ40社のお得意様のリバイス結果を振り返りました。
結果とは単純に売り上げが上がったか、下がったかです。

完全リバイスした会社のうち、売上が上がった会社は92%。
上がらなかったまたは結果を聞いていない会社は8%でした。
部分リバイス方式でコンサルした会社は、完全リバイスほど売上アップは顕著ではありませんでした。

このことから部分的に売場を変えるよりも、一気に全フロア変えてしまった方が売上に貢献する可能性が高いということが言えます。

それはなぜか。
それは部分リバイスだと作業はディスプレイ中心になるからです。
部分的にディスプレイだけ直しても売上が上がるケース顕著ではありませんでした。

全体リバイスは、店舗診断→ゾーニング→IP→PP,VP→POPという流れを1日で行う作業になります。
(メーカーの場合はそれにGPとAPが加わります)
特に店舗診断とゾーニングが抜けているところが、部分リバイスが売上に貢献できない大きな理由なのでは、と思っています。

当社の店舗診断は、フロアのすべての売場の写真を撮ってそれを分析して改善点を列記する手法なので、重なりがなく漏れがありません。

●店舗診断

対して部分リバイスは、その場で売場を見てすぐ直す作業となり、写真でじっくり分析することもありません。
だから漏れがすごくあるんです。
After写真を見た後、「あちゃー、ここも直せばよかった」と思うことが少なくありません。

また、ゾーニングを直さないということは、フロアのVMD分類、導線、マグネット売場、什器レイアウトを直さないということになります。
これらが売上に与える影響は強く、ここに手を入れないとなると効果は半減するのは明らかです。

ここがVMDビジュアルマーチャンダイジングは、ディスプレイだけの技術ではないという所以です。
VMDは、下記の4分野を見直してこそ、売上が上がるものだと実感できました。

  • ショップ空間
  • 品揃えと展開
  • ディスプレイ
  • 体験販促

詳しくはこちらをご覧ください。
●VMDとは

だいたいわかりましたでしょうか。
部分リバイスと完全リバイスの違い。
売上を期待する場合は、完全リバイスをしてくださいね。
もディスプレイだけで終わろうとはせず、ゾーニングから直さなければいけないということを念頭においてください。
メーカーの場合はぜひコーナー編成、つまり什器レイアウトから始めてくださいね。

一方、部分リバイスは簡単にできるディスプレイを中心とした作業なので効率がよく、少人数でもできます。
スタッフ研修にぜひ利用してください。

●注
・GP,APとは

・GPグランドプレゼンテーション

・APアーチクルプレゼンテーション

(vmd-i協会事務局)

POPの種類と場所を知って売場をブランド化しよう

POPには種類があり、種類によって設置する場所が決まり、設置する仕様が決まります。
POPがうまく活用されていないと思うお店のほとんどは、POPの種類がバラバラにいろいろな場所に貼られています。
家電量販店しかり、ドラッグストアしかり、お土産店しかりです。
このようなPOP混とん店舗では、POPは売場のノイズになり、販促になるどころか売場の佇まいを汚してしまっています。
売場を整然とさせ、かつ正しい情報(POP)を正しい場所で、商品の販促になるようにするには、まずPOPには種類があるということを知りましょう。
そして種類ごとに設置する場所が決まるということを知りましょう。
以下にPOPの種類と設置するときの注意点をお話します。

■案内POPの注意点
営業時間やセール情報など、お店の情報を発信するのが案内POPです。
来店するお客様全員へ案内することが多いので、すべてのお客様が通過したり、滞留する場所を選びます。
売場のデッドスペース、トイレへの通路に貼っても見る人は少ないので注意しましょう。また、シール仕様の場合はガラスにたくさん貼ると外からの視認性が悪くなるのと、クリンリネスに差し障りが出てきます。

■演出 POPの注意点
演出POPとは文字通り、商品やブランドを演出するPOPです。
モデルのポスターや景色などの情景描写の写真をフレームに入れたPOPなどです。
ショップブランドや商品ブランドの世界観を醸成させるのが役割なので、他の種類のPOPを隣接させすぎると、それがノイズになってしまいます。
例えば、霧のかかるスコッチウイスキーの醸造所のポスターを使った、ウイスキーギフトのディスプレイの棚に、「18歳以上は飲酒禁止」という赤文字ででかでか書かれた注意POPがあると、ブランドイメージは損なわれます。
また、ディスプレイの一部に組み込む場合は、展示全体の構成に留意します。

■告知POPの注意点
告知POPとは、セール、フェア、イベントなどを告知するPOPです。
告知POPを店内にポツンと1つだけ設置しても賑わいはありません。
数をたくさん用意しましょう。
等間隔、高さ、グリッドラインは必ず守ってください。
その時、同じデザインのPOPを最低3つは連続させるとよいです。
違うデザインのPOPを連続させても、情報が多すぎてノイズになるだけです。
また、メイン通路を歩いている通行人や幹線を走っているドライバーから見える位置に配置させます。
のぼりのように風になびくものは見えるようにします。
お客様から見えないPOPは意味がありません。

■誘導 POPの注意点
誘導POPとは、お客様を売場に誘導するPOPで、ブランド名やアイテム名などが書かれた札などを指します。
分類POPなどもこの中に含まれます。
売場を見ただけで、大分類POP→中分類POP→小分類POPが適正配置されていなければいけません。
デザイン、グリッドなどにも気をつけます。大→中→小の順に高度を下げ、サイズも小さくして設置します。
これを怠ると、どこに何があるのか、商品くくりがわかりにくくなります。

■説明POPの注意点
プライスカードやショーカードなど商品やブランドを説明するPOPです。
POPが商品から遠く離れていたり、グリッド配置・リピート配置をしないと、どのPOPがどれを指しているのか、わからなくなります。
例えば、棚にプライスショーカードを配置する際は、タテヨコのラインを合わせてPOPを置いていきます。その時、POPは必ず商品の左側(あるいは右側)に置きます。
また、カウンター上にメニュー表やスペック表をたくさん置くと、カウンターが煩雑に見えてしまいます。
その場合はファイルブックにし、ブックスタンドに立てかけるなどします。

■注意 POPの注意点
注意を促すPOPです。
「火気厳禁」「20歳未満の方は購入できません」「冷暗所に保管ください」など。
このPOPは目立たなければ意味はありません。
なのでサイズはある程度大きい方がよいです。
特性上、赤などの目立つ色を使いますが、あまり数が多すぎると、ブランド演出・ディスプレイ演出の妨げになるので注意が必要です。

あなたのお店をぐるりと見まわしてみましょう。
まずはどんな種類のPOPのあるか見分けをして、種類ごとにきれいに固めておこなうことから始めるとよいてじょう。
売場が見やすくわかりやすいスペースに変身できる第一歩となります。

なお、このPOP活用体系はオンラインセミナーで詳しくやっています。
年に2回開催しています。
●POP店舗診断ゼミ

(vmd-i協会事務局)