わかりやすいアパレルショップとわかりにくいショップのVMDの違いは何でしょうか。
ズバリ下記です。
- フェイスアウトが多くなるとわかりやすくなる
- 型数が少ないとわかりやすくなる
- 同一品番のフェイスが多いとわかりやすくなる
- 定量が少ないとわかりやすくなる
- 色数が少ないとわかりやすくなる
- デザインがシンプルなほどわかりやすくなる
- アイテムが少なくなるとわかりやすくなる
- ルック&テイストが絞られるとわかりやすくなる
ひとつひとつ解説しましょう。
●フェイスアウトが多くなるとわかりやすくなる
服のIPは、フェイスアウト、フォールデッド、スリーブアウトのどれかでフェイスを設けます。
フェイスアウトは、デザイン、シェイプ、色がわかりやすいです。
スリーブアウトは色とサイズ以外はわかりにくいです。
フォールデッドは色と身頃の胸から上のデザインはわかりやすいです。
従って、手に取らずに、店内を歩くだけで服の全容がほぼわかるフェイスアウトは商品をわかりやすくする陳列です。
●型数が少ないとわかりやすくなる
型数とは、Width(広さ)と言ってデザインの種類のことです。
ブラウスやシャツとはいえども、見頃、襟、袖、裾などのデザインは型によって変わってきます。
1200のシングルハンガーに14本スリーブアウトでブラウスをかけるとして、1型×1枚ののべ14型から1型14枚ののべ1型まで並べ方は千差万別。
前者をWidthが広い、後者を狭いといいます。
当然Widthが狭い方がわかりやすくなります。
1型×1枚ののべ14型というと、古着屋のそれで、一枚一枚手に取らないとデザインはよくわかりません。ましてや、ブラウスだけでなく、他アイテムのジャケットやニットなどが混ざるとますますわかりにくくなるでしょう。
アイテム過多の場合、1200mm幅ハンガーの定量を半分の7枚くらいに抑えないと、デザインがよく見えません。
定量が多すぎると、やっぱり古着屋のハンガーになること、うけあいです。
●同一品番のフェイスが多いとわかりやすくなる
同一品番で色違い、サイズ違いの奥行きはあると仮定しても、基本的に同じデザインのものが連続してあると、売場はわかりやすくなります。
H&Mやフォーエバー21などは店舗面積が広いため、同一品番の多フェイス化はあたりまえ。
1200のハンガーに14本同一品番同一色のフェイスがズラッと並んでいるため、とてもわかりやすいです。
百貨店テナントの場合は、1シングルハンガーあたり3型×色違い×2フェイスがよく見るパターンですが、定量が8~14本位と決まっているため、わかりやすいです。
とはいえ、色の並べ方がバラバラだったり、型の揃え方がバラパラだとわかりにくくなるので、色でリピートか型でリピートすることは必須と言えます。
●定量が少ないとわかりやすくなる
これは言わずもがな。
1200シングルハンガーに20本、15本、10本、5本と×数量を減らせば減らすほど、わかりやすくなります。
なぜかというと、減らすことにより、サイドから見頃のデザインが見やすくなります。
ぎっしりパイプに吊るしたのと比べると一目瞭然。ぎっしりパイプの場合は袖しかわからず、手で取らないとデザインはわかりません。
当然定量が少ない方がわかりやすいですし、ペラッとめくれるので見頃のデザインがすぐわかります。
●色数が少ないとわかりやすくなる
売場の服の色が統一されていればいるほどわかりやすくなります。
同品番の色やサイズの違いのことをDepthといいます。特に色はサイズより豊富にあることが多いのですが、全色出してしまうと、お客様は迷いやすいのと、遠くから売場を見た場合、濁色になってしまいます。
最低トーンを同じにしてグラデーションで並べるなどを施せばまだいいのですが、それでも1色、2色に絞られた売場は遠くから目を引き、選ぶ手間も少なくなります。
ZARAやH&Mが売場の色を統一する狙いはそこにあります。
そうして、色を2週・3週ごとにローテションしていけば、売場の鮮度はぐっと上っていきます。
●デザインがシンプルなほどわかりやすくなる
フリル、ペプラム、カシュクール、ティアード、ビジュー、パイピングなどディティールデザインが充実している服は、フェイシングに難があると、手に取ってみなくては正しく商品特徴をつかむことができません。
例えば、ナラカミーチェのフリル付きブラウスはこのフリルのディティールを訴求するためにPPでフェイスアウトするのが普通になっています。
これがスリーブアウトだけだったり、フォールデッドだった場合、すべての特徴をフェイスに表現するのは難しいでしょう。
そのため、ディティールが細かい服はPPをつくるかファイスアウトを最低1か所しなくてはいけません。
その逆で、シンプルでディティールがない服は定量を絞れば、スリーブアウトやフォールデッドでも十分いけます。
●アイテムが少なくなるとわかりやすくなる
単アイテムの集積売場は、ユニクロやジーンズメイトなどでお馴染みです。また、東京シャツやブリックハウスはお店自体がシャツ単品しか扱っていませんので、単アイテム店舗です。
こうした単アイテム集積の売場や店はわかりやすく、同型の色違い、柄違い、ディティール違い(襟元など)がフォールデッドでリピートして並んでいるので、わかりやすく探しやすいです。
あまり服にこだわらないお客様は、コーディネート型売場も併用しているセレクトショップよりも、単品アイテム売場の方が買いやすく、選びやすいです。
●ルック&テイストが絞られるとわかりやすくなる
ルックとテイストは、着た時に他人が見た服の感じ方です。ルックは正統派のスタイル、テイストはルックの一部を取り入れた〇〇ぽいという感じをいいます。
ルック&テイストは、アイテム・色・柄・シェイプ・生地・ディティール・コーディネートなどのパーツにより千差万別に作ることができますが、同一グループ(面積でいうとコーナー)でルック&テイストが違う商品があると、売場はわかりにくくなります。
例えば、マリンルックとカントリールック、ロックルックが交錯しているクループは、通路から見てゴチャゴチャな雰囲気しかありません。
ここまでわかったら、あなたのお店をざっと歩いてみましょう。
わかりにくいなと思ったら、上記の逆を行っているはずです。
型が多くて、数量も多く、色もまとまっていない。フェイスアウトやPPが少ないので、手に取らないデザインはわからない。
同一什器でルックやテイストも違うのが何枚か置かれていて、置き方もリピートしていない。
そんなときは、上記のポイントを直すとと、わかりやすい店になること間違いなしです。
アパレルの皆さん、VMDがんばってくださいね。
VMDのコツはセミナーでも習得できます。
●VMDセミナー
(vmd-i協会事務局)