売場コンテスト・売場づくりコンテストの仕方

売場コンテストまたは売場づくりコンテストは、メーカーの対小売店施策のひとつです。

目的は、なんといっても自社製品の売場面積を広げること。

  • ワゴンエンド展開やアイランド展開で自社専用売場を確保できる
  • 店頭や主通路沿いに、目立つ売場を確保できる
  • コンテストを通じて、小売店と太いパイプを つくることができる
  • 定番売場の他にもうひとつ売場を設けることができる
  • チラシやCMなど小売店の宣伝に便乗できる

など、メリットたくさんの企画です。

当協会は、売場コンテストを主催するメーカーのコンテスト評価基準書等VMDマニュアルを作っていますが、簡単にできる評価基準をお教えしましょう。

■店頭または主通路から見える位置に売場が設けられているか?

せっかく新しく設置した売場が、来店客に認知されないと意味がない。
店舗入り口、主通路沿い、コーナー突き当たり、ワゴンエンドレジ付近など、多くのお客様が通過するところ、客ダマリのあるところにコンテスト用売場を設置しなくてはならない。

■ディスプレイのテーマが一瞬でわかるか?

きれいで豪奢なディスプレイを施しても、そのディスプレイが何の意味を表しているのか一瞬で客にわからないと意味はない。
これからクリスマスの季節だが、単にツリーやオーナメントを飾るだけでは意味がないのである。
クリスマスで、その商品を使ってどういう生活ができるか?それが大切なのだ。

■商品のグルーピングがすぐに見てわかるか?

単一の商品ならいいが、多くの商品はシリーズ展開や関連商品と組み合わせてある。
シリーズごとの商品の違いは、容量・テイスト・価格・使用用途などで小分類されているはず。
または、他商品と組み合わせたセット販売になっているはずだ。
商品のくくり方をわかりやすくして、お客差に買いやすくしなければいけない。
商品を積み上げるだけでは意味がないのだ。

■売場のカラーは3色以内に収められているか?

コンテスト売場は、パッケージの色も合わせて、豪華絢爛・彩色豊かな売場になっているかもしれない。
でも、それは逆効果で、遠くからは濁色になっているだけである。
売場のメインカラーを3色以内に絞ってみよう。
そうすると、遠くからでも目立つ売場になる。

■ディスプレイ構成は、タイトに集約されているか?

シンメトリー、リピテーション、トライアングルといったディスプレイ構成はもとより、ディスプレイがタイトに集約されているかが重要。
ディスプレイが、ワゴン棚の中、ワゴンの上、ワゴンの足元などいろいろところに点在している・・・・ようなディスプレイ部分と陳列部分がごった煮になっている売場は魅力がない。

おわかりいただけましたでしょうか。

売場コンテスト用の売場を確保したものの、たくさんの種類の商品を積み上げ、POPや装飾用品をゴマンと飾り付けるだけでは、顧客視点の売場にはなりません。

メーカーの売場コンテストのもうひとつのメリットは、自社商品の売場づくりの基準をつくりだすことができ、かつ売場づくりのノウハウを蓄積できることなのです。

(vmd-i協会事務局)

店舗コンセプトのつくり方

コンセプトとは「どんなお店なのか」ということです。
新しいお店をつくったり、お店をリモデルする場合は 「どんなお店にしたいか」ということを考えることです。

あなたが、経営者でない、店長やスタッフの場合、ショップコンセプトは本部がつくるものなので、あなたが考えてもしかたないかもしれません。

その場合、本部に「どんな店を目指すのか」や 「どんなお店なのか」。改めて訊きましょう。
店長やスタッフは、コンセプトはつくらなくても、コンセプトを 知ることは義務といえましょう。

つまり、「モノを売る」スタッフというよりも、コンセプトを明確にさせるスタッフと心がけます。

たとえば、「お金のない人でも手軽に買える、My フラーショップ」 というコンセプトでしたら、そのようなイメージをスタッフであるあなたが持つべきです。
「お金のない人でも手軽に買える、My フラーショップ」 にするためには、自分はどうすればいいか。
男性でも気軽に声をかける。デートにいい花を教えてあげる。
花言葉を行ってみる。栽培の仕方を教えてあげる・・・など接客態度からして変わるものなのです。

私は店員だから、売上を上げるだけでいい、というのは全くの間違い。
お店のコンセプトに沿った動きをしなければ、店長をやっている資格はないでしょう。

とはいえ、ショップコンセプトを店長に教えていない本部もたくさんあります。
これはとても困ったこと。本部の責任と言えるでしょう。今一度、店舗スタッフに「どの方向をむいている店なのか」 「どんなお店を目ざしているのか」、伝えるのは本部VMDの義務なんです。

さて、本部VMDのあなた、コンセプトの表現の仕方はいろいろあります。
一般的なものは「言葉で表現すること」。

そのほかに

  • コンセプトを絵で表現する
  • コンセプトを図で表現する
  • コンセプトをストーリーで表現する

など、いろいろあります。

例えば、スターバックスのショップコンセプトは「第三の場所」です。
たんなる喫茶ではなく、「家」、「職場」の次にある、第三の安らぎの場なんです。

スープストックは、ストーリーにし、「ケンタッキーフライドチキンの営業部にいる田中さん」という OLが登場してきます。
田中さんはストレッチもこなすスポーティ派で曲がったことが嫌い、プライベートの友達付き合いもよく、 自然食が好き・・・という性格です。
そんな都会派の彼女が行くのがスープストックというわけです。

どうですか。
一口にコンセプトと言ってもいろいろ表現方法があるのです。
その表現は全店舗スタッフに伝えやすい方がよいでしょう。

だから、オーバルリンクも「快場を日本に広げる」などと 、わかりやすい表現を使っているんです。

ショップコンセプト、とても大事なので今一度考えてくださいね。
あなたが店舗スタッフでも、「自分が雑貨屋を開くとしたらどんな店にするか」 みたいに空想してもいいと思います。

全国の店長さん、コンセプト磨き、がんばってください。

(vmd-i協会事務局)

お店の通路が狭いと売上は減る

このあいだ、できたばかりの秋葉駅構内のお土産店舗へいってきました。

このお店、狭いのにまずびっくり。
上野駅と違って、コンビニというかリーチインキオスクと言った感じです。

これ、JRがやっているだけあって、全国各地の名産が日替わりで楽しめるお店なんです。
1階はコンビニ風お土産売り場で、2階はカフェでした。
おもしろい試みのお店ではあります。

ただ、土産物、販売苦戦しているのではないかな。
なぜなら、ズバリ、通路が狭いからです。
1日30万人は通過するであろう秋葉原駅構内のお店にあって通路幅70cmは狭すぎました。。。。
これでは通路に人一人入ったら、もう入る気がなくしてしまいます。

私もお菓子たくさん買う方なんですが、店内に5人いるだけでもう奥に行けません。
行けないこともないのですが、人をかき分けて買い物するのがいやなんです。
奥にいるお父さんの図体がでかいので、ますますそこに行く気がなくなります。
特に女性ならいやでしょう。

このお店、店舗レイアウトからやり直した方が・・・。

確かに壁面は固定PP棚が高さ1800位にあり、赤ペコや招き猫やらおもしろいオブジェがディスプレイされていますが、問題は居心地ですね。
通路幅をなんとかしないと解決できないでしょう。
しかも、ジャンブル什器が通路角にありました。

日本の店舗、書店、スーパー、レンタルビデオ、どこをとっても狭いです。
秋葉原にヨドバシカメラができて、他の小さい家電店が撃沈したのは通路幅が原因といっても過言ではないでしょう。
それほど、今までの秋葉原電気街の通路は狭いんです。
SCに人が言っているのは、テナントスペースが高くて広くて、スムーズに歩けるからです。

私も今までは通路幅90cmはないといけないと言っていましたが、今の時代は120cmが標準だと思います。
でないと、通路に複数人が入りません。
ということは、買い物機会喪失で、店舗は売上高にすごく響いているんです。
気軽に歩けない店内では、回遊時間・回遊距離が減って、関連買いもなければ、 ついで買いもありません。

書店もそうなんですよね。。。
実に通路が狭い大型書店がありますが、これは本末転倒。
商品よりも通路幅を大きくする方が売上、上がるでしょう。
90cmの通路に人が立ち見しているだけで、人はその通路に入らなくなります。
よほど目的買いで買うものが決まっている場合はいいかもしれませんが、それでも、他店に行くか、アマゾンで買うか選択肢がたくさんあります。

店舗VMDの皆さんは、通路を見直してみてください。
それには、客の動きを見た方がいいですよ。
見る時間がなければ、セキュリティ会社にいってビデオを見せてもらえばいいんです。
すると、以下に「通路に入るのをためらう客が多いか」わかります。

その画像に店長さんは震え上がるでしょう。
つ・通路が狭い!! これでは快場ではありません。

ということで、ゾーニング科目の中で通路幅は大切なんです。
まずは自分のVMDを担当するお店の通路幅を見てみましょう。

(vmd-i協会事務局長)

キャラクターラインがブランドらしさをつくる

キャラクターラインとは、もともと自動車のサイドデザインでその車の特徴を浮き出すボディラインに付けた凹凸のラインのことです。

店舗におけるキャラクターラインとは、デザイン帯として店舗の壁面に化粧します。
セブンイレブンなどの店舗のフロントを見てみましょう。
緑とオレンジと赤の3色ラインがファサードに走っていますね。あれです。
このラインがないと、セブンイレブンらしくありません。
また、ローソンは青いラインでないと、ローソンらしくないでしょう。

要するに、キャラクターラインのキャラクターとは、文字通りそのお店のキャラとなるデザインのことと言えば理解できるでしょう。

さて、キャラクターラインは店内にもデザインされ、コンビニの店内に入ると赤いラインが天井から1m位のところに走っていますよね。あれもそうです。

このキャラクターラインが店内に走っていると、空間が締まります。
特にテナントで入居している店舗などは、隣の店舗とデザインで差別化するためにラインを走らせています。

例えば、100円ショップのセリアの場合は緑、DHCの場合は
青いバーコードのようなキャラクターラインを走らせています。
特にDHCは平場の場合も多いので、ショップインショップとして百貨店フロア内に自分たちのお店がある・・・というように来店客に認識させなくてはいけません。
そんな時に有効なんです。

キャラクターラインは建築で言う天井モールみたいな感じと考えていいです。
そのため、キャラクターラインは、ホリゾンタルライト(壁を照らすライト) と併用されています。
ライトを壁に当てると壁が浮き出るような感じになりますのでそこにデザインラインが来ていると帯がきれいに浮き出ているように見えます。

セリアなどがそうですね。
100円ショップの割には美しい壁面です。
特に、コの字で3方が壁に囲まれている店舗は、壁面の上層部が光っていて帯が流れているので、店内が美しく上品に見えます。

このキャラクターラインは壁面以外には

●柱の上下 またはどちらか
●什器の上下 またはどちらか

にもつける場合が多いです。
什器は、最下段にキャビネットまたはトロッコが来ている場合が多いのでそれらをデザインするのです。
私は、メーカー平場の什器デザインをする時、よくやります。
什器をコーナーに並べた場合、遠目から見て、帯がまとまって見えるので 「ひとつのブランドがコーナー展開しているな」とお客様にわかるからです。
メーカーの存在をカタマリとして見せるわけです。

また、カタマリをさらに進化させるために、パラペットといって、 天井から帯を吊り下げる方法もあります。
この場合は、板パネル、紙、スチレンボードなどいろいろな素材が考えられます。
それらをワイヤーで天井から吊って、空中帯のように天井に漂わせます。
パラペットは四角い形が一般的ですが、東急渋谷店の1Fにあるように丸い形でもOKです。
また、ショップデザインの一部として、ライティングタクトとして併用したり、ガーランドのようつるを這わせている場合もあります。

さて、話は変わりますがキャラクターラインをタテ型にしているブランドもあります。
店内の壁面や柱面に垂直にラインを立てて、タテのキャラクターラインのリピートで、同一ブランドの店内という見え方をさせるのです。
ダーバンやサマンサタバサなどがそうですね。
私も、こちらの店舗できれいなタテストライプのキャラクターラインをデザインしました。

●カファレルなんばパークス店

いろいろ話は尽きないですが、ここまで解説してきたキャラクターラインの利点を整理してみましょう。

  • 店舗空間にまとまりを与える。
  • 自社ブランドのキャラクター(特色)となりうる。
  • 隣の店とデザインで一線を画す。
  • ホリゾンタルライトと併用すれば、美しい店内を演出できる。
  • 平場メーカーの場合は、ショップインショップ効果がある。
  • 来店客が遠くても、目立つ店舗・売場になる。

 
こんな利点があります。

あなたのお店には、キャラクターラインがありますか。
なんとなく、店内空間にまとまりがないときは 一度キャラクターラインを考えてみるといいでしょう。
(vmd-i協会事務局)

ブランド店舗の世界観演出の仕方

お店や売場でのブランドの世界観演出についてお話しします。

世界観とは、ブランドイメージを下記の空間要素で表現するものです。
佇まいは鉛直面が大きくないと訴求するのが難しいのですが、メーカーや卸などコーナー展開やエンド展開 しか許容されていない流通業者もあります。
その場合は、什器やPOP、装飾用品などのディスプレイ用品を駆使して世界観をつくるしかありません。

まずはお店のハード面から。
大道具による世界観演出から見ていきます。
ポイントは下記です。

 

  • 天井
  • 什器

 

ひとつひとつ解説していきます。

●床
全体照明が直接反射する面ですので、壁と天井と共に世界観を表現する重要な3大要素のひとつです。
パネルやタイル、カーペットなど様々な製品が建築メーカーから出てますし、既製品を加工してオリジナルなデザインにすることも可能です。
また、床シートも一般的になり、POPや床の模様として重宝されています。

●壁
壁は鉛直面なので、来店客の視線に自然と入ります。
最強の世界観表現要素といっていいでしょう。
壁面用照明、ウォールウオッシャーをつければ、遠くからも目立ちます。
カウンター後ろでは屋号を付けることが多く、ブランド観を決定づけます。
壁紙やパネル、タイル、シートなど様々な製品が各メーカーから出ており、加工もできますので、世界観に最適なものを選びましょう。

●天井
天井方向の目線は、サイン、POPの他に照明や天井のデザインを捉えます。
空間の解放感は、天井と什器の高さのバランス、照度、POP類の数量によって左右されます。
ダウンライト・ペンダントライトなどの照明、オープン天井・ 幕天井などの形態、廻縁や野縁の意匠性、壁紙やパネルなどのデザインパターンや素材によって、世界観は七変化します。

●柱
平場は壁がない場合も多いので、柱ほど貴重なものはありません。
壁と同じく、PPだけでなく、サインやPOPを設置することができます。
壁紙が禁止の柱でもPOPを使用し柱ぐるりを意匠化することもできます。
また、小さい柱の場合は、柱自体を床・壁・天井に次ぐショップデザインの一部にする方法もあります。

●什器
什器メーカーの既製品は、ほとんどがオリジナルデザインに加工できます。
素材もスチール、アクリル、 木材、合成樹脂など多彩です。
意匠にこだわる場合は、図面を引いて色・形・サイズ・ 素材・機能などをブランドのトーンアンドマナーに合わせるとよいでしょう。

以上です。
(vmd-i協会事務局長)