ディスプレイに群化の法則を活用しよう

群化の法則というものがあります。
群れを同族と認識する、人間の心理から成り立っている法則です。商品の陳列がバラバラでも、色や柄、サイズやカタチなど同族商品を同じものとして認識できることをいいます。

この群化の法則は、くくりと密接な関係があります。
くくりは、VMD基本講座で習った通り、垂直くくり、水平くくり、ブロックくくりなどがあります。塊を囲うことによって柄や素材、色などの群れを認識しやすくする手法です。

一方、群化の法則はくくりというよりはモノの置き方で、くくりをデザインとして捉えさせる手法です。
上記図の7つの法則から成り立っています。

くくりは、くくるという言葉から来るように、同じ仲間を縄でくくって同族にする、という発想です。
でも、優れた人間の知覚は単純でなく、離れているものでも同族だという認識ができるため、上の図のように、色やカタチが離れていても同族ととらえることができます。

群化の法則は、ネガティブスペース、シンメトリー、リピテーションなど私たちVMD関係者になじみの深いパターンを応用していますので、構図的にも優れます。美術に群化の法則が用いられるのも納得がいきます。

群化の法則は、シャンプーやマスクといった日用品売場で使うよりも、衣料品、ケーキ、チョコレート、アクセサリー、書斎用品、革製品、バッグの専門店など、陳列を個性的にしたい売場で活用することができます。

販売チャネルとしては、DIYショップやドラッグストアではなくて、ブランドショップ、百貨店、バラエティショップ、アミューズメントショップ、空港やテーマパークの売店などで使えます。

興味があったらディスプレイセミナーで実際にディスプレイしてみよう。
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(VMDインストラクター協会事務局)

美しいアシンメトリーのつくり方

今日はアシンメトリーのつくり方について教授します。
まずは上の写真を見てください。
あなたはバッグ売場のVMD担当だとします。
シンメトリーをつくるとこうなりますね。

■基本編

次にこれをアシンメトリーにしてみます。
こんな感じになりました。

アシンメトリー

でもなんか物足りない。
なぜでしょうか。
それはバランスが悪いからです。

えっ、アシンメトリーってシンメトリーじゃないディスプレイのことを言うよね。
これでいいんじゃないの?と思いますよね。
確かにアシンメトリーなんですが、これだと「バランスの悪いアシンメトリー」になってしまうんです。
ちょっと工夫すると「バランスの良いアシンメトリー」になるんです。
今回は、バランスの良いアシンメトリーのつくり方について解説します。

ここでいうバランスとは重量感のことです。
もう一度上のアシンメトリー写真を見てください。
ディスプレイは二つのカタマリに見え、どうみても右の方が軽いですよね。
右が浮いているという感じ。

そこでバランサーという「重し」を右に加えてやります。
こんな感じになりました。
バッグは右は一つしかないけれど、ワインのボトルの重さが加わってバランスがとれています。

わかりましたか。
アシンメトリーだからって、アンバランスじゃだめなんです。
バランサーを使って、左右の重量感を均等にしてください。
バランサーはこのようにプロップスを足してもいいですし、一回り大きいバッグを置いてもいいです。
バッグの上にバッグを重ねてもOKです。

■応用編

では今度は応用編行きます。
下の写真を見てください。
A、Bともアシンメトリーですが、どちらの方がバランスいいですか。

アシンメトリーのAとB

答えは、Bです。
ええ?Aもいいんじゃないの?
だって同じ重し(バランサー)じゃないの。
と思いますよね。

でもよく見てください。ボトルの置かれている方向が違いますよね。
Bの方が方向がいいんです。

なぜBの方がいいのか、リニアスキームを使って説明します。
リニアスキーム覚えていますか。
ディスプレイの構造線のことです。
忘れた方は、こちらの記事を振り返ってください。

●リニアスキーム

シンメトリーのリニアスキーム

まずシンメトリーのリニアスキーム(構造線)から見ていきましょう。上の写真です。
きれいなV字をしています。
奥に行くにしたがって扇のように膨らんでいきます。
これはとても美しい形です。
なぜ美しいと思いますか?それは下記です。

●奥にバッグをズラして置くことで、ディスプレイに奥行きが生まれたから
左右に奥行きができたので、3次元パースになっています。
つまり左右に視線の行きつく先「消失点」ができるので、立体を感じます。

●両側の奥に向かって進む線は放射線状になっているので、優雅に見える
放射線状のリニアスキームは、縦の線、横の線とは違って華やかに見えます。
凱旋門から発信する道路、クジャクの羽、ダビンチの人体図、すべて放射線状になっていて広がりがあり、ダイナミックです。

アシンメトリーのバッグ""

今度は、アシンメトリーのリニアスキームを見てみます。
上の写真を見て下さい。
リニアスキーは左の片方だけになっていて、右のバッグはちょこんと置かれているだけ。
放射状の線も消え、3次元パースも消えるので立体感は半分になりました。

バッグのディスプレイのリニアスキーム

今度はAのリニアスキームを見てください。
上の写真です。リニアスキームを引くとこんな感じ。
ボトルが左側に寄っているので、二つのディスプレイのカタマリの線は左側に寄ってしまっています。

これだと、安定という名から遠いです。
おっとっと!!とディスプレイ全体が左に流れて行ってしまっています。
あー、左側に洪水で流される~!!って感じ。

ディスプレイのリニアスキーム

今度は、ボトルが右側に寄った構図を見てみます。
上の写真を見てください。
なんだか安定してますよね。

ボトルが右に寄ったことで、右のディスプレイのカタマリの線が右奥に流れます。
すると、先ほどのシンメトリーのようにVの字が現れるんです。
放射状にも見えるし、3次元のパースがついたような気がするんです。

アシンメトリーのAとB

改めて、AとBを見てみましょう。
見えない構造線(リニアスキーム)を感じてください。
ほら、右の方が立体感が増して安定感も増すでしょう?

アシンメトリーの作り方、まとめです。

●アシンメトリーをつくる時は、重量バランスを考える。
●バランサーという追加物で重量バランスを整えることができる。
●きれいなアシンメトリーは、奥行きとパース感があり、リニアスキームでそれらをつくることができる。

以上です。
実際にディスプレイのつくり方の手ほどきを受けたい!!という方は、ぜひオーバルリンクの開催してるディスプレイセミナーに参加ください。
3か月に一回、日本橋でやっています。
実際にディスプレイを作ることでディスプレイのコツを会得できます。

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どなた様もお気軽に。

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイをしっかり見せるためのコツ

ディスプレイのセンスがないとお嘆きの皆さん、大丈夫です。
ディスプレイのセンスはスキームを勉強することで向上します。
スキームとはなんでしょうか。
一言で言うとコツなんです。

今回も写真を使って解説します。

この間は、リニアスキームを使ってのディスプレイ構成のうまい作り方をお教えしたので、今度はリーディングラインというスキームを使ってディスプレイをきちんとお客様に見せるコツを会得します。

まずは上のAとBのディスプレイを見てください。

紅茶のディスプレイです。
A,Bどちらのディスプレイの方がよいと思いますか。

答えはB。

Bの方が小売店にとっても紅茶メーカーにとってもいいんです。
Bがいい理由は、3種類の紅茶すべてが目に留まるからです。

写真を使って解説します。
まずAから。

青い線をお客様の視線だと思ってください。
これをリーディングラインと言います。

このディスプレイの第一のフォーカルポイントは中央の缶です。
真ん中にあって目立つからです。

一方、左右の紅茶缶は斜めを向いていて、中央の缶ほどは目立ちません。
それどころか、左右の缶の向きは中央の缶を向いているので、お客様の視線も缶に向いてしまいます。

これはどういうことでしょうか。
リーディングラインは、モノの向いている向きに影響されます。
両方の缶を人間だとすると、両方の人物は中央の缶をじっと見ている構図になります。
人の視線は他人が見ている方向を追う性質があるので、自然と両方の缶が向いている方を見てしまいます。

すると、お客様のすべての視線は中央の缶に向いてしまいますので、中央以外の缶は目だたなくなるんです。

これがBだと、リーディングラインはこうなります。

リーディングラインはやっぱり中央が強いのですが、左右の缶はまっすぐ前を見つめているため、サブリーディングラインになるんです。
そのため、3種類の缶がいっしょに目だつんです。

改めて比べてみましょう。

リーディングラインの使い方、わかりましたか。

さあ、今度は復習です。
AとB、どちらが優れたディスプレイですか。

答えはB。

リーディングラインはこうですね。

Aだと、せっかく左右に振れた視線が結局は中央の紅茶に戻ってしまうんです。
左右のコーヒーが中央の紅茶を見てね!!と言っているのかのように視線からどいているようにみえますよね。
中央は王様のおでまし~という感じ。
左右のコーヒーは家来になっています。

これではコーヒーがかわいそう。
なんで、コーヒーも正面向きにして、お客様の視線を中央に行くのをなるべく防いでいるんです。

わかりましたでしょうか、リーディングライン。
いくつかの百貨店が、Aを禁止しているのはこのためなんです。

VMDインストラクターの皆さん、商品は真正面に置きましょう。
「上からも三角形」を意識してしまうと、左右の商品が目立たなくなるので注意しまょう。

なお、今回のリーディングライン、オンラインセミナーで詳しく教えています。
実際にディスプレイをつくってみる実技もあるので、ぜひ参加してみてください。
年2回やっています。
●センスアップセミナー ディスプレイ構成PART3

(VMDインスタラクター協会事務局)

ディスプレイ、なぜ三角形がよい?

ディスプレイはなぜ三角形がよいのでしようか。
今日は美術用語を使ってこれを解き明かしたいと思います。

三角構成がよいのは、下記で説明がつきます。

●リニア・スキーム
●フォーカルポイント
●フォーマルバランス
●バランサー

リニア・スキームとは、メインの線とそれを支えるサブの線を活用した構図をいいます。
絵画を鑑賞するときに、これらを活用すると便利です。

上の絵を見てください。
例えばモナリザは、頭から下にすそ広がりになった三角形の構図になっています。

顔から胸のラインはメインラインでモナリザの頭と手を結びます。
サブラインはサックドレスの左右の輪郭線になります。
このメインラインとサブラインは三角形の構図になっており、富士山のようにすそ広がりになっているので、安定しています。
すそ広がりの方が重しが下にあるので安心感があるんですね。

リニア・スキームをコップのディスプレイを使って表すとこうなります。
モナリザと同じですよね。

フォーカルポイントとは視線が集中するポイントのことです。
人は線の帰結線をとても気にしますので、線の後を追っていくんです。
メインラインとサブラインを追っていくと、交わった頂点がフォーカルポイントになりますから、一番上のコップが目立つんです。
何かを目立たせるためには、ラインの交わったところに置くとよいです。

次に、フォーマルバランスについてですが、下の写真のコップのディスプレイがフォーマルバランスになっています。

つまり、左右に均等にコップが置かれている状態で、すごく安定しています。
重量が均等なんですね。
落ち着いたどっしりした商品は、この方が優雅で安定します。
高そうな食器や時計はこのようにディスプレイすると効果的です。

でもこのような完璧なシンメトリー(左右対称)は、ややもすると飽きます。
バランスが整いすぎて変化がないのがつまらないんです。
芸術は変化を好みます。
そこでコップをアンバランスにしてみます。

どうですか。
左に支えがないので不安定ですよね。
右の斜めの線だけでは、おっとっと!という感じですよね。
実はこのおっとっと!という不安定な感じ、このように展示を繰り返すリピテーションに効果的なんです。

でも、どうしてもバランスを取りたい!という方は、バランサーを使いましょう。
バランサーとは継ぎ手のようなもので、バランスをとるための線なんです。
これを見てください。

この矢印がバランサーです。
バランサーを使うと少し安定してくるでしょう?
改めてこの2つを比較してみてください。
左がバランサーなし、右がありです。

バランサー、売場塾の古い写真を振り返って応用してみましょう。15年前の写真です。
左に物足りなさを感じるのは、右のライナーがめくれていてそこに重さを感じます。
なので、左にシュガースティックをバランサーとして置いてみます。(矢印のもの)

すると安定しました。

まとめです。

  • ディスプレイにはリニア・スキームというメインの線とサブの線があり、それらを支えあうように構成すると安定してくる。
  • 三角構成は左右の輪郭ラインが末広がりになっているのでとても安定している。
  • 三角構成は左右の重心を同じにすればさらに安定する。
  • ただし、重心を崩させバランサーで適度に安定感を与えてやると、ディスプレイは個性的になる。

いかがでしたでしょうか。
今日は、リニア・スキームを使って三角構成を説明してみました。
絵画の見方とディスプレイの見方は実に類似点がありました。

実は、今回の緊急事態宣言下、売場塾のすべてのテキストを改訂しました。
その中でディスプレイ指導講座には上記のような美術用語も取り入れています。

●ディスプレイ指導講座

受講する方はお楽しみに。(^^)

(vmd-i協会事務局)

美的形式原理をディスプレイに応用しよう

なぜ、みなさんはこのディスプレイはきれいだ。
このディスプレイは美しい、と思うのでしょうか。

きれいなものには法則がありました。
それが美的原理というものです。

美的形式原理は下記の7つの法則があります。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

どの言葉もなじみがあると思います。
そう、売場塾の授業でよく出てくる言葉だからです。

ハーモニーは、ハーモニゼーションのところで出てくる等間隔陳列、ウエーブ陳列が思い起こされます。

バランスは、オーケストレーション自体がそうです。
壁面の集合ディスプレイのバランス加減でよくも悪くもなります。

プロポーションとは、黄金比、三分割比、ラバットメントパターンなどかあり、絵画でよく使われている法則ですが、ディスプレイでも使えます。

コントラストとグラデーションは、色の授業で出てきました。
リズムに関してはリピテーションがその代表と言えましょう。

美的形式原理はディスプレイだけでなく、店舗デザインやPOPでも使えます。
一度、美術の本を紐解いてこの原理を深く学ぶのもよいですね。
または当社ディスプレイ指導講座でみっちり鍛えています~。

●売場塾 ディスプレイ指導講座

(vmd-i協会事務局)