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メーカーの売場自体を広告にする方法

これを言うとみんなびっくりしますが、オーバルリンクは広告会社として登記しています。
VMDの会社だというと、ディスプレイスタジオやプランニング会社が想定されると思いますが、オーバルリンク、実は広告会社なんです。
つまり業界として電通さんや博報堂さんと同じということです。
日本の広告会社年鑑にも出ていますのでせひ見てください。
ここが他のVMD会社と違う点です。

そのため、クライアントもメーカーがとても多いです。
アパレルメーカーはもとより、パソコンやケータイなどの家電メーカー、シャンプーや肌ケアのような化粧品メーカー、自動車やバイクといった乗り物メーカーまでありとあらゆるメーカー様のVMDのお手伝いをしています。
詳しくは当社事例をご覧ください。

●当社事例

なぜ当社が広告会社登記をしているかと言うと、メーカーの販促としてVMDを使っていただくノウハウを教えているからに他なりません。
メーカーの売場づくりは4つに分けられ、①棚メーカー ②量販店のショップインショップ ③直営店 ④地域の系列店なのですが、私の仕事としてはだんぜん②のショップインショップが多いです。

①の棚メーカーとは、小売店の棚だけいただいているメーカーです。
例えば、養命酒さんはドラッグストアの中で健康飲料の売場に置かれています。
独創的な商品なので1棚は必ず確保されています。
ただ、この1棚にVMDを導入できるかと言うとできないです。
VMDは最低ショップのコーナー展開をするくらいの規模でないと、効果を発揮できないんです。
1棚だけではせいぜいPOPを置くくらいが関の山で、VMDのノウハウを使うにはあまりに売場面積がなさすぎるのです。

飲料メーカーでも、モエエシャンドンの売場位に面積があってコーナー展開をしていれば、そこをVMDノウハウを使ってブランドのショップインショップにできるのですが。
今なら、花見でモエシャンといったテーマで来店客のモチベーション啓発とモエエの世界観を演出できるでしょう。

なので、もしあなたが棚メーカーの販促担当で、VMDを量販店の売場に導入したいと思ったら、最低コーナーは取るようにしましょう。
棚メーカーから脱出するVMDのコツは下記です。

  1. 什器レイアウト
  2. グランドプレゼンテーション
  3. エクスペリエンス

1.什器レイアウト
量販店のほとんどは、イトーキやコクヨなどのシステムワゴンを使っています。
このワゴンの間取りの仕方を量販店に提案するのです。
取り方は、下記の4つがあります。

  • コーナー
  • 通り化
  • アイランド
  • 柱展開

コーナーは文字通り、フロアの入隅を取る方法です。
2方向からお客様が来て客だまりになりやすいですし、壁も抱いています。
角にテーブルを置ければ、文字通りメーカーコーナー最高となるでしょう。

通り化は通路の左右を取り、そこで自社商品を買わせる方法です。
玩具店ならレゴブロック通りみたいな感じです。

アイランドは、島什器にするのですがテーブルにしてもよいですし、キヨスクややぐら型にしてもよいです。
こうすると、文字通りショップの中に店があるように見えます。

柱展開は柱ぐるりを取る方法です。
柱は天井まで伸びているので、遠目からの視認性が高いので、そこにメーカーのデザインを施すことができます。
ダイソンがこの方式で家電店の柱を自社売場塾にしていました。

お勧めの間取りは、コーナーと柱展開です。
なぜかというと鉛直面の壁かあるからです。
鉛直面があると、ポスターや壁紙といった大きな面でブランドの世界観を表現できるので、メーカーのブランディングに適しているからです。
向こうの売場が見えないのでノイズも入りにくいというわけです。

PPなどの展示も天井近くに置けるし、オーケストレーションと言って、陳列と展示と棚を組み合わせて壁自体をアート的にできます。

 

2.グランドプレゼンテーション
グランドプレゼンテーションとは、売場のデザインのカタマリのことで、遠くから来るお客様を対象に、遠目→中目→近目と商品情報を小出しにしていく手法です。

・遠目
グランドプレゼンテーションは、ブランドのキャラクターをどのように打ち出すかなんですが、まずは色のキャラありきです。
ブランドによりメイン色があり、アップルは白、ライカやレイバン・プーマは赤、アディダスとナイキは青と白・・・となっています。
この色のキャラを、サイン・POP・什器・パッケージ・展示物という売場の構成物に振り分け、トータルに売場を色で演出します。
お客様は遠くの、色が美しく固まっている売場に気を引くというわけです。

・中目
そして近くに行ったらブランドのロゴなり、ポスターなり、展示(PP)に気づくので、そこでブランド自体に興味がわく、というわけです。
これが中目です。

・近目
棚の手前、つまり近目では、商品POPや商品そのものに興味を持ち、購入する気になります。
ここの肝は商品を体験できること、効果的な商品説明POPがあることです。

 

遠目→中目→近目にデザインを考えていく。
これがグランドプレゼンテーションのつくり方です。

当社事例だと、江崎グリコさんの売場がグランドプレゼンテーションです。
インショップ名も、ぐりこ・やという名前になっています。

●ぐりこ・や 事例

 

3.エクスペリエンス
体験と言う意味です。
ショップインショップの中でいかに体験させるかが、インターネット時代のリアル店舗のキーになっています。
体験とは、試飲・試食・試乗、美容部員によるお肌のアドバイス、クラフト制作教室などいろいろな形態があります。

例えば、先ほどのぐりこ・やさんでは、「ゴールイン神社」と称して、あのゴールインするマスコットにあやかって、お願いの絵馬を飾れるようにしました。
受験生にとってよかったと思います。
これも体験なんです。

 

メーカーのみなさん、だいたいわかりましたでしょうか。
タイトルの売場自体を広告にする、とはまさにメーカーVMDがなせる業なんです。
棚メーカーの皆さん、VMDを導入するなら、最低コーナーは取ってくださいね。
それが無理なら、販促会社に言って目立つPOPをつくってもらうしかありません。

(vmd-i協会事務局)

POP文体がブランドの個性をつくる

POPの文体について話ししますが、星のやが格好の材料になります。

まず、テラスBARのPOPを見てみましょう。

「夕日に沈んだ軽井沢の夜、テラスで過ごしてみてはいかがでしょうか。
お供にハーブティーとウイスキーを用意しました。
温かなハーブティーカクテルを片手に、涼しい夜風をお楽しみください。」

星野や軽井沢に滞在中、夕方部屋に戻ると、さりげなくこんなPOP(しおり)が、リビングに置いてありました。
その近くには、シーバスリーガル12年物とハーブが。

面白いのは、しおりの文体でした。
「夕日に沈んだ軽井沢の夜、テラスで過ごしてみてはいかがでしょうか」
なんだか洒落ています。
おせっかいだよ!!と言いたくなるような文章ですが、それでいいんです。
実に星のやらしい。
(実際飲みませんでした・・・)

次はこれを見てみましょう。
部屋の防虫スプレーの脇にあるPOPなんですが、こう書かれています。

「自然豊かな谷の集落では、四季を通じて様々な虫たちが暮らしています。
その環境ゆえに、時折彼らも客室にお邪魔してしまう場合がございます。
長時間の扉、網戸の解放にはお気をつけください。
万が一お部屋でお見かけの際には、集落の虫を知り尽くしたスタッフが伺いますので、フロント【7番】までご連絡をお願いいたします。」

これも、粋な文体。
ベランダにオオミズアオが飛んできていたので、その虫博士に蛾のこと伺ってみたかったです。
なんだか、キンチョールで虫を殺す前に、うんちくを聞きたい気持ちです。
(もちろんオオミズアオは殺しませんでした)

さて、

    • 売店のPOP
    • 部屋の案内ファイル
    • レストランのメニュー

星のや軽井沢の中のPOPの文体はどこも上記のような感じです。

文体がエッセーみたいな感じなので、カジュアルに読めて心が和みます。
たかが防虫スプレーの案内書きでも、それに添えられているPOPにぬくもりがあります。

普通のキャンプ場では、キンチョールが置いてあって、そこに「虫刺されにご注意ください」みたいなPOPが、赤字で貼り付いているだけでしょう。
でもここのPOPは、アイデンティティがあるので、なるほど星のやだ、という感慨を受けます。

売場塾のPOP指導講座では、書体の他に文体や言い回しのことも講義していますが、文体とは、まさにお店やブランドのアイデンティティから来るもの。
その人となり、そのブランドとなりが表現されていなくてはいけません。

私が好きな文体は、MUJIや中川政七商店のPOP。
ここのPOPコピーは単なる機能説明に終わっていないんです。
です・ます調であり、形容詞が豊富。感情的なんです。

まあ、なんといっても人気のある表現は、ヴィレッジヴァンガードのPOPでしょう。
あの人を食ったような書き方は、ヴィレヴァン独自の文化というか社風にもなっています。
商業界で読んだのですが、サリンジャー「ライ麦畑で捕まえて」という本のPOPは、「ジョンレノンを殺った男の必読書でした」という衝撃的な文句があったそうです!!
うーん、これは読んでみたい・・・となるかもしれません。

ちなみに私は、文体で好きなのは、週刊アエラの「現代の肖像」で、これは十何年も毎週読んでいました。
「現代の肖像」は同誌のシリーズで、毎回取材先と筆者が違います。
ただしアエラ編集者は毎回うまく文体をコントロールして、いつも言い回しはいっしょなんです。
このシリーズは、現代のがんばっている人を取材するドキュメンタリールポなのですが、その文体から取材された方の、生きるのに一生懸命な息遣いが聞こえてくるんです。
人の生き様を読むのが好きなので、いつもこれを読んでは感動しています。

実はこれに影響されすぎて、私の「VMDインストラクターのお仕事取材」の書き方も「現代の肖像」風になっています。(笑)

●VMDインストラクターのお仕事取材

ともあれ、POPはお店やブランドの個性を表すもの。
VMD担当の皆さん、POP文体や言い回し、研究してみましょう。

(vmd-i協会事務局)

瞬殺!!VMD5秒トレーニング で売場づくりを鍛える

瞬殺!!VMD5秒トレーニングについてお話します。
これ、VMDのゲームみたいなもので、去年からわが社で
取り入れている研修コンテンツです。

瞬殺というのは、サッカーに例えるとサドンデスみたいなものです。
点が入るとゲームセット!!っていうやつですね。

同じように、5秒で売場のどこが悪いか言えないと失格!!
というやつです。

これ、受講生にけっこうウケていて、楽しいっていう人も多いです。
VMDインストラクターの方はぜひやってくださいね。

ご存知の通り、VMDインストラクターは、55のフレームワーク
という引き出しがあって、売場づくりを指導する際に、
それをいかんなく発揮しています。
つまり、売場づくりの欠点を瞬時に見抜き、頭の中の引き出しに
収納しているフレームワーク用語を使って、売場スタッフに
指導します。

フレームワーク用語があると、抽象的な言葉ではなく、詳細で正確な
指導ができるというわけで、VMDインストラクターの武器になっています。

例えば、壁面の陳列状態を見て、
●IPとPPのメリハリ
●フェイシング
●くくり
●カラーライゼーション
などの用語がポンポン頭の中の引き出しから飛び出て来る・・・
というわけです。

それを現場スタッフに伝えればいいのです。

もちろん、売場スタッフにVMD習熟度がない場合は、やさしい言葉に
置き換えて指導しますが、ある程度VMD教育がなされている売場は
これら専門用語で十分通用します。

これを写真でやるのが、瞬殺!!VMDトレーニングなんです。
やり方は下記です。

  1. 直しがいのある売場の写真をひとつスライドに出す。
  2. 「どこを直せばいい? 5秒見てから、なるべくフレームワーク用語で言って」
    と講師は言う。
  3. 講師は5秒、声に出してカウントする。
  4. 受講生はまずフレームワーク用語を言ってから、直し方の詳細を言う。
  5. 講師はそれを聞いて正す。

こんな感じ。
特に4がおもしろいです。
受講生は、「ええっと」とか言いながら、
「くくりが不鮮明ですね」と言い、
「紅茶売場のくくりがわからないので、どこがアッサムでダージリンなのか
カタマリをつくって、カタマリとカタマリの間に
ネガティブスペース10cmほど空けるといいですね」
などと言えば、瞬殺は勝利!!

「次はPOP編集が違うかな・・・」
「というのは、プライスカードと商品説明POPが混ざり合って、
どの商品を指しているのか、わからないので」
「プライスカードは商品のカタマリの真ん中に設置、
商品説明POPは、カタマリの左側に立てます」

などと言えば、瞬殺は受講生の勝利!!です。
(ここまで言えると一級モノです)

これ、最近のVMD初心者研修でもやり始めていて、
自分たちの売場の写真を瞬殺!!トレーニングに使うと、
「あー、やられたなー」みたいに現場スタッフは納得してくれます。

そして、研修終わった後も、受講生が
「ネガティブスペース!!」
「PPとIP!!」
「リピテーション!!」
と口ずさみながら暗唱している風景を見ます。

こういう初めての用語を自在に使えると言うことは、
受講生にとっておもしろいんです。
用語は専門用語なので、研修のやった~!!感も醸成できます。

確かに、「専門用語覚えても、意味はない」とおっしゃる方も
いると思います。

しかし、専門用語を覚えると、生徒はわかった気になり、
専門用語を現場で口ずさむことによって、いつまでもフレームワークを
覚えてくれます。
さらに、本部やスタッフ同士のいつもの会話の中に入れていただくと
効果が増し、売場はVMDがキープされた状態を続けることができます。

たかが専門用語、されど専門用語。
そもそも専門用語がないと、VMDだけでなく釣りもヨガも上達しません。

VMDインストラクターの皆さん、ぜひVMD研修で
瞬殺!!VMD5秒トレーニング やってくださいね。(^^)

ちなみに、瞬殺は当社のメソッド「フレームワーキング」が
ベースとなっています。

●フレームワーキング

(vmd-i協会事務局)

マネキンに関する知識

今日はマネキンのお話をします。

世界中でマネキンレンタルしているのは日本だけなんです。
欧米は販売なんです。中国からも世界に安いものが出回っています。
日本はマネキンメーカーがたくさんあり、そこが各社にマネキンをレンタルしているんです。
ヨーロッパは、小さい制作事務所があり、仕事はアートのようなもので、クライアントの注文を受けて、個性的なマネキンを作っています。
すると、服のブランドやショップランドを低下されることにもなってしまいます。
きちんと回収しメンテナンスできるレンタルシステムの方が都合がいいんです。

例えば、毎年この時期にアメリカ行っていますが、いついってもみんなおんなじマネキンを 使っているんです。
飽きるなーーと思いつつも、日本の目まぐるしいレンタルシステムに敬意を表しています。

さて、このレンタルのローテーションは、1か月単位から。
標準レンタルは、運送費は取らないメーカーも多いです。
催事やイベント等の短期レンタルは配送料とること多いです。
短期だと割高になる。1日でも1週間でも、1か月と変わらない料金になるんです。

レンタルのいいところは、毎年、次々と新しい作品が出て来るところ。
それらを好きに選ぶことができるのはレンタルのメリットです。
さっきみたいなに、「いつ来てもいっしょのマネキン」になりません。

さらに特別注文もできるんです。
色、メイク、ポーズなどその時期に合った最適なマネキンをレンタルしてもらえます。
かといって、古いマネキンも十分使うことができます。
古いマネキンは、新しいマネキンにリメイクできるんです。
例えば、平和マネキンのGINAというマネキンがそう。
顔の輪郭を変えたりしてバージョンアップできるんです。

さて、マネキンはどうやってつくられているんでしょう。

マネキンはボディは合成樹脂、FRPでつくられています。
そしてそのボディは原型作家という人がつくっています。
マネキン造作のアーチストと言っていいでしょう。
一種の彫刻家ですね。

原型は粘土原型とマスター原型があります。
マスター原型をマネキン工場で拝見しましたが、FRPと比べて少し重いです。
このマスター原型が大事で、量産のマネキンの元となります。

マネキンには種類があり、リアルマネキン、抽象マネキンがあります。
抽象マネキンは、顔がのっぺらぼうが多いですが、髪をほんのり入れて女性らしさを表現している ものもあります。
首・腰・あし・手など四肢で分解できるので、体系のバージョン変更なども簡単にできます。
ただし、首を首なしボディにつけることはできません。

マネキンの目ですが、白目にするということはまずありません。
たいてい瞳を入れます。白めだと気持ち悪いだけですもんね。
このマネキンの目、目がお客様目線になっているということはありません。
マネキンは視線をお客様にあわせないのです。お客様が気にしてしまうからです。
なんかこわーい感じになりますものね。お客様が気にしてほしいのでは、マネキンじゃなくて服なんです。

マネキンは無国籍につくってあります。何人ということはないんです。
だから、アメリカ人でもないですし、日本人でも、英国人でもフランス人でもないです。
いろんな国に当てはめられるので、どんな洋服にもマッチするんです。

それから、マネキンは年齢不詳なんです

特に女性のマネキンは年齢の幅は広いです。
大まかに言ってティーンと大人の二つはあります
そして、中高年は、マネキンの年が分かってほしくないんです。
オバサンのマネキンなんていやですよね。
ただし、男性はシニアのマネキンがあります。男性と女性はマネキンの見方が違うのです。
昔からシニアの男性はロマンスグレートいい、かっこいいんですが、シニアの女性は世間一般にはオバサンですもんね。
なんか男尊女卑みたいですみません。

さて、マネキンの素材なんですが、ボディはFRPですが、手は塩ビで制作してあります。
FRPはバリがでてしまうので、手には不向きなんです。
なお、ボディはガラス繊維でできています。
なぜかというと、リサイクルしやすいようにです。
都道府県条例で破棄するマネキンはバラバラに砕かなくてはいけないんです。
この解対物は粉上にもできますので 再利用できるんです。

いかがでしたか。
自分たちが使うマネキン、こだっわって 選びたいですね。
(vmd-i協会事務局)