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美的センスを取り入れよう

美意識を鍛えよう、という動きがビジネス界で唱えられています。
元来、ビジネスとアートは交わることがありませんでしたが、それを取り入れるようとしている会社が多くなっています。
代表的なのがアップル社でしょう。
言うまでもなく創業者のスティーブジョブスは究極なまでにアートを追求し、製品や広告、店舗だけでなく、建物や社風にもそれを表現しました。

片やウインドウズはどうでしょうか。
青い透明なiMacが話題になった時、同社は青く塗った自社製品でそれを揶揄しました。
「パソコンを青くしただけ」という評価でした。
その後アップルは時価総額でウインドウズを追い越しました。
今になっては、ウインドウズはアップルストアに似たデザインの店舗を展開しています。

現在、世界の優秀な企業の経営陣は美的センスを社内に取り入れることに余念がありません
日本で言うと、(株)良品生活がそうです。
「無印良品」を経営してる同社はアドバイザリーボードという各業界のデザイナーからなる委員会を設置し、そこから製品デザインや店舗デザインの方向性を見出し、時には軌道修正もしていきます。
(株)スープストックトーキョーはスープ店「Soup Stock Tokyo」を経営している会社ですが、会長は商社出身だがアートに造詣があることで有名です。
仮想ペルソナ「秋野つゆ」の好むお店になっているか?というユニークなデザインルールが商品にも店舗デザインも敷かれ、スタッフの共通言語にもなっています。

VMDインストラクターは、チェーン店舗のブランディングや店舗スタッフの教育をしています。
VMDと言う言葉は直訳すると、売場における総合的視覚演出体系です。
たくさんの商品を販売している店舗に美的センスを与えるのがVMDインストラクターの使命だと言えます
なんだか、カッコいいですね。
今回は、一般の人がVMDインストラクターのように、いかにして自分や自分の会社に美的センスを取り入れるかについて教授します。

センスのあるなしは「基準」で決まる

●センスのありなし

センスがない、センスがある。

この線引きはどうやって決められるのでしょうか。
上図を見てください。
「私はセンスがない」という人は、その人の中に基準というものがないということです
基準を0ゼロと仮定すると、プラスはいい方向、マイナスは悪い方向になります。
当然、センスがあるというのはプラス、センスがないというのはマイナスです

だから歌のセンスがないというのは、歌を歌う基準に到達していません。
少なくともマイナスということになります。
料理のセンスがないというのは、料理をおいしく作る基準に達していません。
少なくともマイナスということになります。

私の仕事で言うと、「ディスプレイのセンスがない」というのは、上手なディスプレイをつくる基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

例えば、子供に「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」というテーマでディスプレイをつくらせたとします。
家にある雑貨で食卓につくらせてみるのです。
男の子は喜んでディスプレイをつくるでしょう。
でも出来上がったディスプレイはこんな感じになったとしたら。
うーん、センスがいいとは言えません。

●センスのない「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」

センスのいい子供なら、「できた!!」と言ってこんな感じに作るでしょう。
コーヒーカップ軍艦から、一斉砲撃している感じがとてもダイナミックです。
そう、この子供はセンスがあるんです。

●センスのある「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」

センスのある人は型を知っている

この、センスある「ゴジラを一斉砲撃」とセンスのない「ゴジラを一斉砲撃」の差はなんでしょうか。
それは、センスのある子供は「上手なディスプレイとは何か。その基準を知っていた」ということです。
その基準とは下記です。

●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っていた
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構造線を知っていた
→だから、「食器の軍艦」と「丸い砲弾」を放射状にゴジラに向けて置いた。

もうわかったと思います。
この子供は「マスターパターン」と「リニアスキーム」というディスプレイの型を知っていたのです。
型を実行すれば基準以上に到達することがわかっていたのでした。

型はいろいろな分野に存在します。
料理の型、ヨガの型、歩く型、プレゼンの型等々。
例えば「今までウォーキングしてきたけど、なんか歩き方センスないなあ」と嘆くあなたは、本を読んでもいいし、ウォーキングの先生についてもいいでしょう。
とにかく歩く型を学ぶことが先決です。

型がわかって、毎日型に沿った歩き方をまじめに重ねていくと、3か月経てば上手に歩くことができます。
そこで、他人からも「なんか最近カッコよくなったね、スタイルもよくなったよ」と言われるはず。
あなたは、歩く型を身に着けることで、歩くセンス以上のものを得たのです。

うわべだけのマネはいけない

VMDの世界でも、ビジネスの世界でも、今までは「私のようになりなさい」という指導がはびこってきました。
すし店の店主は「私の後についてこい」と言うだけで数年助手をやらせるし、あなたの上司は時あるごとに武勇伝を語って「俺のマネをしろ」と言うでしょう。

残念ながら「本質」がわからないで、ただマネをするだけでは部下はいつまで経っても上達しません。

以前「もちクリーム」という大福を販売しているチェーン店があり、三越デパ地下で毎週100万円売るほどの優良店でした。
ガラスケースに展示された色とりどりの大福はファッション感覚抜群で、フルーティな味を食べ比べられる和菓子でした。

これをマネする会社がいて、ある日私の住居近くのデパ地下に売場を設けました。
確かにもちクリームと同じような商品でしたが、売場に賑わいはなく半年で消えました。

このようにうわべだけマネするだけではビジネスはうまくいきません。
もちクリームの下記の本質はマネされていないからです。

●大福の中身は特殊なゼリーと生クリームがミックスされている。このクリームは同社の特許製法でつくられている。
●職人の手でなく工場で大量生産されており、冷凍保存でき冷凍のまま販売している。日持ちがよいため、催事でも販売可能。
●価格は1個150円で種類は24種類あり1個から選べる。バナナ・オレンジ・りんごなどの柑橘系、カフェオレ・チーズ・赤ワインなどの嗜好系に分けられ、食べ比べできるのが楽しい。

このように、内装やディスプレイをマネて、単にあんこにいちごジャムをまぜて販売しても売れないのです。
上記の本質を見抜いて取り入れないと、スタート地点にも立てません。
ただし、製法も売り方も独自のものがあるため、本質をマネしようとしてもできないのがオチでしょう。

原理原則を知って社内に広めよう

当社は売場塾というVMDの学校を開催しています。
文字通り、売場づくりの型を教えている学校です。

卒業生は900名以上(21年5月現在)ですが、日本の企業のみならず欧米の有名ブランドのVMD担当も多数受講しています。
きっちりVMDを会得しているはずなのに、どうして売場塾に来るのか?彼ら彼女たちはこう言いいます。
「本部からは、どうしてこのディスプレイになるのか、理由を教えてくれないんです」。

ディスプレイ指示書というものがあります。
欧米本部から日本のVMD担当に送られてくる売場づくりの指示書です。
商品のフェイスのつくり方や陳列の仕方が細かく書かれています。
しかし、「このようにやれ」とはあるものの、「なぜそのようにするのか」理由が書かれていないのだ。なんとなく売場をつくっているものの、腑に落ちないことが多く、売場塾に学びに来るのでした。

売場塾では、55の売場づくりの型を教えて、型の店舗スタッフへの教え方も教えています。
図6のように、売場塾卒業生はVMDインストラクターとなって、頭の中の引き出しに入っている型を引っ張り出して、明確な言語で指導するスキルが備わっています。

店舗スタッフでさえ、「この売場はなんとなくいい」「なんとなく悪い」と肌でわかっていても、どこがよくてどう悪いのか、知る術はないのでした。
55の型を知ることによって、VMDインストラクター・店員ともに売場づくりが腑に落ち、ディスプレイのセンスもよくなっていくのが売場塾なのです。

型は更新し、新しくしていく

センスは、基準や型を身に着けるだけではいけません。
センスに独創性を加える必要があります
センスのよい人は、オリジナルな型をいくつも持って、常時更新または新たにつくっています。
センスはあなたやあなたの会社オリジナルの基準になってこそ、真のブランドとなりえるからです。

「型を知る」→「型を実行する」→「型を自分らしくする」

これが大事です。
この概念は、守破離やPLAN DO SEEといっしょです。
当社で言えば、「フレームワーキング」ですね。

●フレームワーキング

型はいつでも知ることができますが、そこから「型を実行する」「型を自分らしくする」に進まないと、センスも上向かないし、自分らしくなれないのです。
例えば、ファッショナブルになりたいあなたは、今までは妻のアドバイス、ファッション本、You Tubeでなんとか型を学習してセンスをよくしてきました。
今度は、あなたオリジナルの型をつくる段階です。
それには本やYou Tubeだけでなく視野を広げるとよいです。

●百貨店に行ってみる
●話題のカフェに入ってみる
●美術館に行ってみる
●野球観戦に行ってみる
●映画を見る etc

こういう何気ないことにもアンテナを張ると、ファッションセンスを上げるヒントがピピッと来ます。
それは第六感、あるいはセレンディピティというやつです。
そんな出会いがあったらすかさず、メモをとりましょう。スマホで写真を撮りましょう。パンフレットをもらいましょう。店員さんと会話しましょう。

すると、ムクムクと自分の型が出来上がってきます。
「今度はこんなスタイルで会社に行ってみるかな」「これは冒険だけど、一度この色合いの服でプレゼンしてみるかな」
というように。
自分の型を創り出して実行してみるのです。

しばらくして、周りの人が「なんか●●さん変わったね」「格好よくなったね」と言い始めたら、しめたもの。
あなたの作った型は当たっているのです。

私は、気に入ったディスプレイをスマホやデジカメで撮影して、常時キーワードを写真のキャプションに入れて保存しています。
キーワードとは、三角構成、コントラスト配色、什器レイアウトなど、型を表す用語です。
こうしておくと、「三角構成の新しい型をつくりたい」場合は、ホルダーの検索に「三角構成」と打つと瞬時にして三角構成が素敵な写真がピックアップできます。

こんな風にして、売場塾で教える107のディスプレイの型は生まれたのです。
107の1/3以上は私の生み出したオリジナルの型です。
スマホが必需品の今日、写真を撮って型のヒントを創り出すことをお勧めします。

ゴジラディスプレイの続き

こんな記事を書いていたら、前日ゴジラディスプレイ写真を親戚の男の子に送ったことを思い出しました。
実はこのディスプレイ、なにか腑に落ちなかったのです。
テーマは「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」だったが、写真を見返してみるとセンスがないのがわかりました。

●「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」Before

ただ単にゴジラの上に毛糸を垂らしたからです。
これではゴミがゴジラの上に乗っているだけです。
ディスプレイを作り直しました。

●「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」After

マンハッタンのビルが倒壊して、ゴジラがモスラの糸にぐるぐる巻きにしているのがわかると思います。
つまりAfterの写真は下記の型を足したのです。

●フェイシングという型を使って、ゴジラのシェイプをわかりやすくした
→ごみのような毛糸がゴジラに載っているだけなのでゴジラの輪郭がわからなかった。だから、毛糸でゴジラをぐるぐる巻きにして輪郭をはっきり出した
●リニアスキームという型を使って、クモの糸のようにした
●リニアスキームという型を使って、マンハッタンのビルを放射状に倒した

独創性はこんなところです。
●マンハッタンのビルを木の枝と見立てて、蜘蛛の巣状に毛糸を配置した
→モスラは蛾だが、クモの糸に置き換えることにより、ゴジラがいけにえにされている表現ができた。

このように、センスは日常の遊びでも鍛えることができます。
あなたのセンスがよくなることを祈っています。

型を覚えたい方、ぜひ日本橋のVMDセミナーに来てください。~
今度のセミナーはVMDの型を教えています。
●VMDセミナー

(vmd-i協会事務局)

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店5

ディスプレイはマスターパターンでキレイになる

今までいろいろディスプレイの構造についてお話してきました。
今回は、等分割のマスターパターンを会得しましょう。
マスターパターンとは、基本的な構図の方法と捉えてけっこうです。

あなたはロールケーキを切るときに等分割しますよね。
また、チョコレートも最初からちょうどいい一口サイズに分割されていますよね。
部屋の窓枠やカレンダーのマス目も等分割。
そう、人間は知らず知らずのうちに等分割に慣れていて、それを見ると気持ちいいんです。

マスターパターンは絵画の世界でよく用いられている手法です。
絵を2分割・3分割・4分割・・・と切り分けることにより、安定した構図が得られます。
そのため、絵を見ると「なんだか気持ちいい~」と感じることができます。

マスターパターンは、ディスプレイにも応用が効き、特にショーウインドウで威力を発揮することができます。

まずはこのウインドウディスプレイを見てください。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図1

Jクルーのウインドウです。
これに等分割ラインを引くことによって、どのように分割されているかがわかります。

これに分割ラインを引いてみます。
この等分割マスターパターンは、タテ6分割、ヨコ2分割です。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図2

画面は左右に二つに大きく切り分けられています。
右側3つのマネキンのカタマリと左側の写真と、雪の結晶のカタマリです。
二つの間には1/6分のスキマが空いています。

また、上下の切り分けについて、
●上は写真とマネキンのトップス、
●下は雪の結晶とボトムス・靴
に分けられています。

服や写真は、上下二つに切り分けられた上の部分に集中しているのに、大きい雪の結晶は下にあるので、上下のバランスがよいです。

さて、ここに斜めの対角線を引いてみます。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図2-2

するとあら不思議。
右のマネキン2つの肩が斜めの線に沿っています。
そして、雪の結晶の下側ラインと重なっています。
さらに、左の写真の女性の肩も斜めの線に沿っています。

このように、マスターパターンの線にリニアスキームを沿えることで、ディスプレイを完璧な構図に近づけています。
※リニアスキーム忘れた人はこちらをお読みください。
●リニアスキームについて

もうひとつ、Jクルー行きますか。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店5

じっと見てください。
かわいいVPですね。
構図すごくいいです。

マスターパターンを入れてみます。
今度は、上下とも4分割というのがわかります。

スターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店6

真っ二つに分かれた右側はキッズのマネキン3体、左側はツリーのお化けが立っていて、それぞれ、やや中央気味に固まっています。

斜めの線を見てください。
右は女の子の肩、左はツリーお化けの肩にラインが一致しています。
そしてなんと背景の雪山の肩ラインとも合っているんです。

今度は上下のヨコラインに注目しましょう。
このウインドウ、一見真ん中ラインの下側にディスプレイが偏っているではないの?と思いがちですが、違います。
真ん中ラインの上を見てください。
ツリーお化けのスキー帽、雪山の二つの頂上の3つの三角形が、ちょうど真ん中ヨコラインの上、左右タテラインの中央2分割の中に収まっています。
人は、三角形の頂点に注目しますから、ディスプレイのあまりない上の方にも目が行くんです。

この絶妙なマスターパターン。
これをマスターすれば、ウインドウVPにおけるマネキン配置もうまくいきます。
ヨコにズラッと並べたマネキンを、私はよく「三十三間堂になっている」と注意しています。
なんだか、三十三間堂の仏壇みたいで味気ないからです。
マスターパターンは、ワンパタでつまらないディスプレイを変えることができるんです。

マスターパターンは、ウインドウだけでなく日常のディスプレイにも応用できます。
テーブルディスプレイを見ていきましょう。
朝のコーヒータイムに「ミッキーとミニー」をテーマにしたテーブルプレゼンテーションをつくりました。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図9

一見ランダムに見えるこのディスプレイも、マスターパータンに則っています。
線を入れてみましょう。
タテ6分割、ヨコ4分割の技法です。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図10

中央のタテラインに注目してください。
赤と黒のランチョンマットがペアになって、キレイに左右に分割されているのがわかります。
そして、各々のランチョンのタテラインは1/6分割線に沿っているのがわかります。
食器類は、左右から2つ目のライン以内に集中して置かれており、バランスを取るため、中央ラインよりに一つカップを置いています。

今度は上下のヨコラインに注目してください。
中央ヨコラインの上側は、二つのカップとミルクポット、下側は急須とチーズケーキ皿があります。
つまり、真ん中の線を境に上下に食器を分散させているんです。

マスターパターン、だいたいわかったら次のテーブルディスプレイを見てみましょう。
「今日から海開き」をテーマにつくりました。
あなたなら、どのように分割しますか。

スターパターン テーブルディスプレイの構図11

もうわかりますよね。
今度は上下2分割、左右3分割です。
これは説明する必要ないほど簡単。
6分割にきれいに「絵」が分かれているのが実感できたと思います。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図12

このように、一見適当につくったようなディスプレイでも、実はマスターパターンの法則が使われているんです。
百貨店や専門店のウインドウをつくるような方は、マスターパターンを駆使してつくるとよいでしょう。

ただ、家でちょっとしたディスプレイをつくるときにいちいちマスターパターンを気にしてつくるとストレスになりそう!!と思う方。
そんな時はこうしてください。

●ざっとディスプレイをつくってみて、俯瞰で眺めてみる。
●なにかおかしいなと思ったらマスターパータンを調整してみる。

というようにしてください。
すると、ほんの少し食器を動かすだけでも、きれいなディスプレイに仕上がります。

今日は、マスターパターンについてでした。
ディスプレイ実地で勉強したい方は、ディスプレイセミナーを行いますので、お気軽にお越しください。
5月は20日に行います。

●ディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイ構図

構図に優れたディスプレイは気持ちいい

ディスプレイの構図の話をします。
この間は構造線の話をしたので、今回は全体構図の話です。

構造線、忘れた人は下記を振り返ってみてください。
●構造線(リニアスキーム)の話

■ ■ ■ 売場塾生の作品を見てみよう ■ ■ ■

まずはこのディスプレイを見てください。
売場塾生徒がVMD基本講座でつくったディスプレイです。

ディスプレイ制作作品1

恋人がパリの旅情を語るような雰囲気のするディスプレイ。
素敵ですね。

次はどうでしょう。
下記は子供の楽しいピックニックの雰囲気がするカラフルなディスプレイ。

ディスプレイ制作作品2

今度は夏のビーチでバカンスという感じ。

ディスプレイ制作作品3

下記はハロウインの夜長にシャンパン!!てな感じですね。

ディスプレイ制作作品4

4つのディスプレイは、いずれも売場塾のワークショップで20分くらいでつくってもらいました。
受講生の皆さん、いつもお上手です。(^^)

■ ■ ■ ディスプレイ構図の4つの種類 ■ ■ ■

さて、本題です。
この4つのディスプレイ、ディスプレイテーブルにピタッときれいに収まってますよね。
つまり構図がうまいんです。
これら4つのディスプレイは、下記のいずれかの構図に当てはまるんです。

  • 黄金矩形—– 縦横の比率が1:1.618
  • 等分割矩形— 縦横の比率が1:1、1:2、1:3など
  • √2矩形—— 縦横の比率が1:1.414
  • √3矩形—— 縦横の比率が1:1.732

ディスプレイ構図

「えー、構図って絵画に使うものではないの?」と思うかもしれませんが、NON。
ディスプレイにも使えるんです。
実際に先ほどの写真に比較寸法を入れてみます。
まず最初のディスプレイ。

ディスプレイ構図1

シンメトリーになっている中央のカタマリAの矩形(四角のこと)は√2矩形に近いことがわかります。
全体の構図Bは、√3矩形に近いです。

今度はピクニックがテーマのディスプレイを見てみます。

ディスプレイ構図

皿とジュースがリピテーションになって3つ連なっています。
このうち1つのディスプレイAに尺度を入れてみます。
√2矩形に近い構図になっているのがわかります。
全体ディスプレイの構図Bはぴたりと1:2の等分割矩形になっています。

今度は夏のビーチのディスプレイ。
こちらは黄金矩形に近いですね。
いわゆる黄金分割といって皆さんがよく知っている構図です。
庭の木の葉っぱも、リビングにおいてあるツボも黄金分割になっているんですよ。

ディスプレイ制作構図

最後のハロウインシャンパンは、シンメトリー中央のAが√2矩形。
全体構図Bも√2矩形です。
√2矩形は日本人が好きな構図で、白銀比、大和比とも言われています。
法隆寺や東京スカイツリーが√2矩形でできています。

ディスプレイ制作構図4

こうやってディスプレイを見ると、気持ちいい~と思うディスプレイは、黄金矩形、等分割矩形、√2矩形、√3矩形のどれかに属しているんです。
もちろん、√4や√5なども絵画の構図で使われているんですが、今回の例は√2が多かったです。

だから銀座を歩いて、「あ、このディスプレイ、素敵だな」と思ったウインドウのVPは、いずれの構図に属していると思ってよいでしょう。
優れた構図って心地いいんです。

そして、VMDインストラクターの方は生徒のディスプレイを直すときは、数メーターディスプレイから離れて、構図をチェックしてみてください。
「この構図の方が気持ちいいかな」というところまで直してOKを出してみてください。
ただし、物差しで測るなんてマネをしないてくださいね。
そこまでやる必要はまったくないです。
たぶん、あなたが見て気持ちいいと思ったディスプレイは、いずれの矩形に当てはまっているからご安心ください。

と、ここまで書いてただし、です!!
ディスプレイは絵画と違います。

●絵画=平面
●ディスプレイ=立体

ですので、「どの角度から見るか」がディスプレイは重要なんです。

絵画は普通まっすぐ正面を見ます。
視線に対して直角ですね。
だから構図はほとんど変わりません。

でもディスプレイって正面からだけでなく、ヨコからもナナメから下からも上からも見ます。
そのため、お客様がディスプレイを見る角度によって、構図はみるみる変わります。

「このディスプレイは正面から見てください」なんて注意は掲示できないですよね。
美術館ならそれでいいかもしれませんが、ここはお店。
お客様はどこからも来ます。

なので、ディスプレイをつくる人は
●お客様はどこから来るのか?
を考えなければいけません。

簡単に言えば、お客様がディスプレイに気が付いて立ち止まった、その角度がディスプレイのベストアングル。
ディスプレイの向きと構図を考えるときは、そのフロアでお客様が一番来る方向かどうかを見極めることです。

だから、お客様が極端に斜めから来るお店は、店頭のテーブルディスプレイを通路に対して斜めに置かなければだめなんです。
駐車場からの入り口からのお客様の流入が多ければ、そちらの方にVPを向けましょう。

最後にもうひとつ。
ディスプレイをつくるときは、お客様目線でつくってください。
上記の場合なら、駐車場から来るお客様の目を意識してつくるということです。
そして出来上がったら、文字通り駐車場の入り口に立ってみて、だんだんディスプレイに近づいてみてください。

そして「これなら気持ちよくみられる」と思ったところでOKを出してください。
あなただけでなく、来店客もきっと気持ちいいはずです。

今日は、ディスプレイの構図についてでした。
ディスプレイに興味ある方は、ぜひディスプレイセミナーにお越しください。
3か月に1回やっています。

●売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

テスラのショールーム

カーディーラーVMDのコツ

カーディーラーの売場づくりのコツを解説します。

意外とVMDを学ぶ方は自動車関係の方が多く、売場塾にたくさんのカーディーラーやメーカーの方が来られていますし、実際に訪問コンサルもよく行っています。

●ディーラーVMD改善事例

今回は、カーディーラーで働いているショールームレディの方を特に意識しました。
彼女たちが実際にショールーム内のたたずまいをつくっているからです。
ズバリ、ショールームで改善しなければいけないフレームワークは下記の通り。
ケースが多そうな順に並べます。

  1. フェイシング
  2. テーマ設定
  3. サイン編集・制作
  4. IPワーク
  5. くくり
  6. POP編集
  7. スタリング
  8. 什器デザイン
  9. フロアレイアウト

では順に解説していきましょう。

1.フェイシング

これは商品の置き方のことです。
客としてショールームに入ると、「ノベルティ在庫棚」が多数存在するのを見かけます。
夏キャンペーンのバスタオル、Tシャツ、トートバック、etc。
これらが箱や袋に入ったまま、会議室机の上に積んであるのをよく見ます。
ノベルティの顔がほとんどわからない上に山積みになっているので、どう見ても箱が積んであるとしか見れません。
しかも、キャンペーンPOPも置かれていないので、お客様には、ただの在庫棚としか見えないのです。
箱出し、袋出しフェイシングをして、商品を魅力的にディスプレイしましょう。

2.テーマ設定

ショールームのテイストにおよそ合わない会議机の上に黒い布を敷き、その上にカーアクセサリーをたくさん置いていませんか。
こういう状態を「物置きになっている」と言います。
車内アロマグッズ、エンジン潤滑剤、高性能オイル、キーホルダー・・・と、テーマなしに適当に置いたその状態は、やっぱり物置きにしか見えません。
ディスプレイテーマ設定をきちんとしましょう。
「長距離ドライブに最適な快適グッズ」「エンジンの性能をよくするベストバイ」などとテーマを設定して展示商品を絞り込み、先ほど言ったフェイシングをきっちりやれば、ようやっと物置き状態から解放されます。

3.サイン編集

TOYOTA、HONDA、NISSAN、MITSUBISHIなどブランドサインは店内外に掲示されています。
困ったことに、これらサインは、クリスマス、ハロウイン、七夕、夏休みなどの時期になると、たちまち姿がわからなくなります。
特にカウンタ後ろのサインは気を付けてください。
ハロウインのカボチャがロゴやマークにぶら下がっていたり、七夕札がくっついていたりするのです。
ブランドマークやロゴは汚すことのできない神聖なもの・・・と考えてください。

4.IP
5.くくり

IPとは陳列のこと。
くくりとは分類整理された状態をいいます。

これ、セットで悪くなっている売場があります。
それが顕著なのはカタログコーナー。

車は、排気量、車種、用途、乗車人数などにより分類は様々。
これらがバラバラに置かれていませんか。
ひどいところになると、保険商品やメンテカタログまで入り乱れて陳列されています。
よくできた旅行代理店のパンフコーナーのように、タテ列は車種、ヨコ列は価格別・・・などと、見やすくわかりやすく陳列し直しましょう。

6.POP編集

公道を車で走っていると、ディーラーのショールームを通り過ぎることがあります。
その際、のぼりとポスターでショールームの中が見えないお店に出くわします。

そのお店は、POPが主役になっているんですね。
商品である車はわき役になっています。
これでは本末転倒です。
ショールーム内の展示車が見えるように、POPを設置しましょう。

7.スタイリング

車は物販の中では住宅の次に高価なもの。
なのに、カウンタ周りを見渡すと、100円のボールペンが転がっていませんか。
店の人が好きで置いた招き猫や七福神。
神田信用金庫のカレンダー。
ゴルフコンペの優勝盾。

これらはディーラーのブランドテイストに合わないのではないでしょうか。
カウンタ周りはすっきりさせ、カレンダー市販のものに変え、ボールペンは最低1,000円位のものを使いましょう。

8.什器デザイン

先ほど話した会議室の机。
近くのホームセンターで買ってきたラック。
通販カタログで安売りしているスチールワゴン。

これらをカタログコーナー、ノベルティ置き、雑誌・新聞ラックにしていませんか。
売場がデコボコになる上に、どう見ても、物置・在庫置き場にしか見えません。

インテリアコーディネーターを雇うほどではないけれど、服と同じように、什器もテイストを統一するということを覚えましょう。

9.フロアレイアウト

展示車、受付、グッズコーナー、キッズの遊び場、商談、メンテ待ち、カタログなどなど、ショールームにもゾーンがあります。
各ゾーンは、導線を考えてフロアレイアウトしていますか。
カタログコーナーがショールームの奥にあったり、グッズコーナーがフロアにバラバラに点在していませんか。

お客様が入ってから展示車を見て、商談に入り、そしてカタログを取って出ていく・・・などと客導線ストーリーをきっちり考えてゾーニングしてください。

ざっとこんな感じです。
まだまだありますが、今日は比較的簡単に改善できるコツを伝授しました。

さらに勉強したい方は、当社ディスプレイセミナーにお越しになると、テーマ設定の仕方やテーブルディスプレイを実際につくることができます。

●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

3か月に1回やっています。
お待ちしております。~(^^)

(vmd-i協会事務局)

ランダムリニアのディスプレイ

個性的なディスプレイ構成にするコツ

今日はディスプレイ構造線の表現方法をお話しします。
ディスプレイ構造って三角構成が基本だけど、それだけじゃあつまらないですよね。
もっといろいろな構成表現があってもいいはず。

それで今日は、リニアスキームを駆使した構造線の作り方をお教えします。
リニアスキームのリニアとは線のこと。
スキームとは、策略のこと。
リニアスキームとは、線を策定してディスプレイを表現する技法なわけです。

リニアスキーム、忘れた人はこちらを読んで復習してください。
●ディスプレイ、なぜ三角形がよい?

まずはAとBのコップの三角構成の構造線を見てみましょう。

ディスプレイの印象、どう違う1

これに構造線を入れるとこうなります。

ディスプレイの印象、どう違う2

A・B二つを比較してみましょう。
特に赤い線を意識してみてください。

Aはりりしく見えて威風堂々としています。
Bはコップがあちこちを向いていて、落ち着かないですよね。
でも、とてもアクティブに見えます。

このように、構造線が変わるとディスプレイの印象は変わるんです。
これがリニアスキームの醍醐味です。

青い線はディスプレイの輪郭の構造線なのですが、商品そのものの置き方や向きが作用してディスプレイの中身にも構造線を作ることができます。

ディスプレイの構造線はざっと下記のタイプがあります。

●いろいろなリニアスキーム
リニアスキーム技法いろいろ

ディスプレイは色や柄、素材や形でテーマやテイストを表現できますが、リニアスキームを使えば、表現の深みを増すことができることを覚えてください。

それでは、実際に身近な例でリニアスキームのハウツーを解説します。
あなたがリビングルームでコーヒーを飲んでいたとします。
テーブルの上のディスプレイをいろいろな構造線で作ってみます。

●横の構造線
ディスプレイ 横の構造線2

これは横の構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 横の構造線1

なんか穏やかですよね。
ボーダーのランチョンも横を意識して配置しました。
おちつく~って感じ。

●斜めの構造線
ディスプレイ 斜めの構造線1

これは斜めの構造線です。
実際に線を入れてみます。

ディスプレイ 斜めの構造線2
横だけの構造線と違って、動きが出てきたと思います。
なんか、楽しい!!
元気が出てきそうなディスプレイになったと思います。

●丸い構造線
ディスプレイ 丸い構造線1

これは丸い構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 丸い構造線2

ふわっとしていて、物事がきちっと収まっているという感じ。
親しみやすく、温かみが感じられるディスプレイになりました。

●ジグザグの構造線
ディスプレイ ジグザグの構造線1

今度はジグザグの構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ ジグザグの構造線2

斜めだけの構造線も動きがありましたが、よりアクティブになりました。
きびきび、リズミカルに動いています。
そう、ディスプレイが動いて見えるんです。
楽しい夏の行楽の雰囲気がよく出ています。

●波型の構造線
ディスプレイ 波型のリニアスキーム1

今度は波型の構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 波型のリニアスキーム2

ジグザクの構造線と違って、そんなにきびきびしてないですよね。
ゆっくり動いているという感じ。
とても自然な動きです。
自然の時に身をゆだねているな~って感じ。

●クロスの構造線
ディスプレイ クロスの構造線1

今度はプラスのカタチにクロスしている構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ クロスの構造線2

バランスとてもいいですね。
安定感があって、なにがあっても揺るがない感じ。
どっしり風格があります。

●放射状の構造線
ディスプレイ 放射状の構造線1

今度は放射状の構造線です。
実際に線を入れてみます。
ディスプレイ 放射状の構造線2
クジャクの羽のように優雅だと思います。
なんかパーティっぽい、という感じになっていると思います。

だいたいわかりましたか。
リニアスキームを使ったディスプレイ表現の仕方。
毎日のコーヒータイムでも、ディスプレイ構造変えるだけで、こんなに楽しくなるんです。

ちなみに、これは紀平梨花を模しました。

紀平梨花のディスプレイ

きのうの4回転ジャンプすごかったです。
それを表現しました。(^^)
ダイナミックでいて流れのある4回転サルコーでしたね。

ディスプレイって楽しいですね。
2月にまたディスプレイセミナーやりますので、手ほどき受けたい方はぜひ来てくださいね。
●VMDディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)